FC2ブログ
FC2ブログ

嘘つきな唇 45 

「里流~、おまえ~。」

「だって……」

沢口はすっかり呆れてしまった。里流は最初に勘違いしたようだ。
彩だけが、話が見えないでいた。

「朔良はすぐ近所に住んでいる母方の親戚で、弟みたいなものだ。知っていると思うけど、あいつは見た目があんなだから、子供のころから嫌な目にも遭って来てね。酷い人見知りで人間不信な所があるんだ。」

里流と沢口は、何処に居ても目を引く織田朔良の容貌を思い起こして納得した。そう言えば、織田朔良は大勢に遠巻きにされていても、いつも一人でいた気がする。

「なかなか心を開かなくて誤解されやすいんだけど、一度信用したら妄信的なくらい一途なんだよ。朔良が俺が傍に居ないと駄目なのは、俺以外に理解者がいなかったからだ。」

「あ……はは。ちゃんと聞けばよかった。おれ……空回りして、何か馬鹿みたいだ。」

「だから俺が、里流は馬鹿だって言ってるじゃん。」

「もう~~!!沢口!「」

河川敷で走る、里流と沢口の姿を見つめながら、彩は自然に笑っていた。

*****

塾帰りらしい小学生の一群が、通りすがりに彩に気付いた。

「あ!パソコンの先生だ。」

「先生。もうガッコに来ないの?」

「グローブだ。先生、野球するの?」

「お~、元気だったか?久しぶりだなぁ。パソコンは使えるようになったか?」

「おれ、フリーメールでメアド取ってツイッター始めたんだよ。先生、フォロワー申請してよ。こいつら、ゲームばっかでつまんないの。」

「そうか。すごいな。でも、個人情報は……」

「わかってる。個人情報は安易に載せちゃ駄目なんだよね。一番最初に、先生が教えてくれたから覚えてるよ。だからフェイスブックは大人になってからにしようと思ってさ。」

「しっかりしてるなぁ。」

取り囲んで口々に話をする。
彩は朔良の父親の会社に縁故入社して、初めての仕事で子供たちにパソコンを教えた。
彼らにとっても、初めての学習は興味深く、教師よりも年の近い彩は子供たちに好かれた。
あっという間に上達し、今は教師に答えられない質問をする子もいるらしい。

「おれ達さ、スポーツ少年団のコーチが海外に転勤になったから、四月からソフトボールができないんだよ。つまんねぇの。」

「ソフト好きなんだけどなぁ。時間があるなら、塾に行けって母ちゃんがうるさいんだよな。」

「先生。野球できるんなら教えてよ。おれ達、パソコンはある程度できるのに、今の先生ったら毎回立ち上げから始めるんだぜ。出来ない振りするのも、大変なんだ。」

彩はとうとう吹きだしてしまった。

「分かった。講師の先生に、もう少しレベルを上げてやってくださいって言っておくよ。そうだよな。最近の子供は生まれた時から、側にパソコンがあるから慣れてるもんな。」

「でもね、年賀状を作るのは楽しかった。」

「そうか。お~い、里流!沢口!」

近寄ってきた里流と沢口に、小学生は面映ゆい顔を見せた。
かっこいい年上のお兄さんは、彼らには近寄りがたいらしい。

「俺がパソコンを教えた小学生なんだ。こっちは、元野球部で俺の後輩。今、キャッチボールしてたんだ。」

「野球部!?」


野球部と聞いて、子供たちの顔が輝いた。






本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)

どうやらうまく話がかみ合って、動き始めそうです。

彩がパソコンを教えた子供たちのおかげで、大切なことを思い出せそうです。(〃^∇^)o彡〇

あ、エチが遠い……(°∇°;)


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ



関連記事

0 Comments

Leave a comment