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嘘つきな唇 39 

のろのろと衣類を整える里流の赤い目に、彩の放った白濁が包まれたティシュの塊が映った。

初めて、彩に好きですと打ち明けた数年前は、キスだけで精いっぱいだった。
白球と彩だけが全てだったあの日に、一度抱かれただけで簡単に戻れるなどとは思わない。だが、彩の焦燥に触れて、なぜ一度も連絡しなかったのかと里流は深く後悔した。

彩が織田朔良を選んだ時、傷つくのを恐れて、あっさりと傍から離れた。
彩が自分以外の誰かの手を取るのを見たくなくて、物わかりの良い振りをして諦めてしまった。それは夢を封じ込めたつもりの、彩の思いに似ていたかもしれない。
どれ程、煙たがれても、なじられても、そばに居るべきだった。

「彩さん……ごめんなさい。おれは……彩さんの事を思って離れたつもりだったけど……」

間違えていた……自分の事しか考えていなかったと、改めて思う。
恋人じゃなくてもただの友人としてなら、きっと彩も話をしてくれたかもしれないのに、物わかりの良い振りをして、彩の取った行動の裏を考えてもみなかった。
彩の抱えた澱が、自分にはどうにもできないのだとしても、きっと何かできることが有ったはずだ。
里流は湿った紙を掴んでごみ箱に放り込み、ホテルを後にした。

眩い朝陽に目を細め、昨夜とは変わった自分の意識を感じていた。

*****

「じゃ、彩。お母さん、お父さんの所に行って来るから。」

「……ん……よろしく言っておいて。」

「あんた、酷い顔しているけど大丈夫なの?二日酔い?」

返事をせずに、冷蔵庫の中に顔を突っ込みオレンジジュースを捜した。時間が経ち覚醒するに伴って、恐ろしい自己嫌悪に襲われていた。

「はぁ……~~~」
幾度目かのため息をついた。
あのまっすぐな瞳の里流に自分が何をしたか、全てではないにしても理解している。

「もしもし……ああ、織田だけど。うん……あのさ、お前、片桐里流の連絡先ってわかる?」

里流の友人、沢口に電話を入れた。
里流の電話番号はそのままだと沢口は告げた。

「そう言えば、あいつも織田先輩に電話したいって言っていましたよ。里流が帰省するたびに先輩の事聞いて来るんで、気になるんだったら一度電話してみろって言ったんですけど、あいつまだ連絡してなかったんですか?」

「ああ。昨日会ったんだ。それで……話をしようと思って。」

「そうですか。電話してやってください。きっとあいつ喜びます。」

沢口は高校生のころからの里流の思いを知っていた。

思わず明るくなった後輩の声に、彩は何とか平静を装って話を切った。





本日もお読みいただきありがとうございました。(〃゚∇゚〃)


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2 Comments

此花咲耶  

nichika さま

> キャー此花ちん殿 お戯れを!!! ウーーーウーーフガフガ🍥 ニチカ伊達巻1丁出来上がり

\(゜ロ\)(/ロ゜)/ そいやっ!

> ↑この人たち・・・ドンマイ(´・ω・)ノ(´;ω;)ウッウッ  主役を置いといて

(〃゚∇゚〃) 主人公はしょっちゅう煮詰まってばかりなので、生暖かい目で見守っていてください。
>
> 彩 ファイト~~

(`・ω・´)「ありがとうございます。がんばります!」←何気に鬼畜を暴露してしまった彩。
あはは~ ヾ(〃^∇^)ノ

2014/01/20 (Mon) 19:43 | REPLY |   

nichika  

キャー此花ちん殿 お戯れを!!! ウーーーウーーフガフガ🍥 ニチカ伊達巻1丁出来上がり

↑この人たち・・・ドンマイ(´・ω・)ノ(´;ω;)ウッウッ  主役を置いといて

彩 ファイト~~

2014/01/19 (Sun) 07:26 | EDIT | REPLY |   

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