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純情子連れ狼 16 

木本が話した通り、大門は自分の店に立ち寄った帰り、何者かに襲われた。

「大門さん。」

「なんだ、お前ら。見かけねぇ面だな。墨花会の大門に喧嘩売ろうってのか?ああっ?」

マシンガンの銃声は色町に響き、大門は地べたに倒れ込んで驚愕の表情を浮かべていた。

「なんだ……?俺は終わるの……か?もう少しで……てっぺんに手が届……」

「あんたーーーっ!!」

踊るようにして無数の弾丸を受けた大門は、店から走り出てきた愛人の目の前で絶命した。

*****

墨花会では、後見人の長老たちの手によって、粛々と大幹部のしでかした後始末が行われていた。
若頭に与えられていた特権は即刻剥奪され、配下が預かっていた縄張りも店の売り上げも全て、墨花会に返上するようにと、通達が出た。

墨花会、英龍水を裏切れば手に入るはずの、地位や金は誰の手にも届かなかった。大門と交わした約束は、すべて絵に描いた餅になった。共に果たせぬ夢を見た男たちは、共謀した事実が発覚するのを恐れ、全てを知る愛人を始末するよう部下を走らせたが、大門の愛人は既に墨花会によって身柄を拘束されてた。大門が心血を注いだ墨花会の組織が完璧に機能するのを、大門だけが見る事はない。
若頭の女がマンションに隠し持った宝石箱から、血判の捺された連判状が発見され、後見人(いずれも大組長)五人すべてに、裏切りの証拠の写しが送付された。

若頭に加担した者たちは後見人たちに呼び出されると、ある意味、警察の捜査よりも念入りに取り調べを受け、容赦なく粛清された。実質的に加担しないまでも名前を連ねただけで、末席に至るまで全国の極道に破門回状を回され、今後極道として生きてゆく道を、完膚なきまでに閉ざされることになった。裏切り者には、死に等しい制裁が加えられる。
簡単には許されない。それは、裏社会なりの鉄の正義というものだった。

ただ一人の例外もある。
襲撃実行犯の張は情状酌量され、朱美の口添えも有って、命拾いした。無事に母国に送還されることになった張は、すっかり毒気が抜け中国マフィアから足を洗う事になった。無関係の張の妹は、趙のヤサから助け出されたが薬漬けにされたせいで、しばらく入院加療が必要な酷い状態だった。彼女の恋人が傍で支えると約束をしたのが、唯一の救いだった。張は深く反省し、国許で年老いた両親の面倒を見ながら細々と農業をするそうだ。
二度と日本を訪れる事はないと、首を垂れた。

事の顛末を聞いた周二は不満そうだった。

「墨花会の組長ってのは、甘いな~。結局、始末したのは大門だけかよ。足を洗ったからって、自分を襲撃した奴まで許すのか?そんな前例を作って、朱美もそれでいいのか?傍において、死ぬまでこき使ってやればいいのに。」

「正直、あたしも張に関しては甘いと思うわよ。血判状に判子押したやつらに、エンコも詰めさせないなんてね。でも、あの人ね、入院中にいろいろ考えたんですって。自分が誰かを罰する立場にいるのなら、できるだけ正しい道を選びたいって。」

「なんだ、それ。……清く正しい極道なんざ、聞いたことがねぇぞ。」

周二は、呆れたように鼻白んだ。

「前組長が、周ちゃんのお祖父さんの義兄弟だったって話、知ってるでしょう?お父さんが古い時代の任侠道の話を良くしていたらしいの。極道なんてものは、道を外れた者の寄せ集めだから、慕って来るものには優しくしてやれって。組長は、組員を束ねるだけの存在じゃない。脛に傷を持つ奴等の親のようなものだって。親は出来の悪い子供ほど可愛いもんだって。龍水は、前組長や、周ちゃんのお祖父さんみたいな極道になるんですって。」

「任侠の理想論だな。相手が話が分かる奴なら、それもいいと思うけどな、力を付けるまでは甘い顔を見せたら舐められるだけだ。油断するなよ?弱みに付け込むやつはどこにでもいるからな。大門みたいなのは、どこにでもいるぞ。親殺し何て、最近は素人でもやるからな。足元をすくわれたり、付け込まれたりしたらいくらでかい組でも簡単に終わるぞ。同じようなことが起きないとも限らねぇ。一発の銃弾で終わるんだから、龍水には信用できる奴を身辺警護に付けろよ。」

「そうね、そうするわ。周ちゃんの方が、よっぽどうちの組の頭に向いてると思うわ。あたしも本当は、龍水に極道は向いてないと思うのよ。優しすぎるんだもの。だからもし体が元通りにならないようなら、あたしは足を洗う事を考えてもいいと思っているの。簡単には行かないだろうけど、周ちゃんの所みたいに事業でやっていければって思う。」

「なんだよ、バリバリの極妻のくせに、えらく殊勝じゃねぇか。張をぼこぼこにしてたやつと同一人物とは思えねぇな。」

「気が済んだら、頭が冷えたわ。それにあんたの男の言葉が、ちょっと堪えたみたい。ずっと、胸に引っかかっていたの。」

「隼?あいつが、何か言ったか?」

「何があたしにとって大切か、思い出したわ。双葉のママでいろって言ったのは、そういうことよね。あたしは龍水のお母さんみたいに、姐として一人で組を背負えるほど強くないし、何かあった時、今度みたいにきっと組なんて捨てて双葉と龍水を取るわ。だから双葉の事も、考えてみる。籍を入れる前に、お母さんともきちんと向き合って、墨花会を支えられるかどうか考えてみる。あたしの一番は、龍水と双葉だもの。」

「そうか。」

「あの子と約束したから、一番に双葉のママでいる事にするわ。」

どこかすっきりとした表情で、朱美は晴れやかに告げた。




本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)

大門は襲撃を受け、一連の抗争はどうやら終結に向かいました……|゚∀゚)ほんとか~
双葉が本当のママの所に戻るまで、もう少しです。 ヾ(〃^∇^)ノ


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2 Comments

此花咲耶  

けいったんさま

> 此処まで 周二は よくやった!

 ヾ(〃^∇^)ノあはは~、やった~!ついに褒められたぞ~!(ノд-。)不憫じゃのう……

> いつもは 何所かで ヘタレぶりが見えるのに 今回は ずっと 「漢」らしく 頑張ったもんね~♪
> 周二、( ≧▽≦)b Good Job!

(`・ω・´)これからも、かっこいい感じでがんばるぜ!|゚∀゚)そうは、問屋が……
>
> でも 朱美の心に残っていたのは、隼の あの言葉だったのか!
> ムダに ペラペラ喋るより 短くても 隼の心が籠った言葉の威力は さすがです(*´・ω-)b ネッ

(*/∇\*) キャ~、双葉ちゃんのママに伝わってた~
拙い言葉でも響いたみたいです。良かった、よかった。
>
> 双葉ちゃ~ん、ママは もうちゅぐ 帰って来まちゅからね~
> ((o(*^◎^*)o))バブバブ...byebye☆

もうすぐ話ができるかな。もう一波乱ありそうです。
コメントありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

2013/10/12 (Sat) 21:59 | REPLY |   

けいったん  

そうか あの 言葉が!

此処まで 周二は よくやった!
いつもは 何所かで ヘタレぶりが見えるのに 今回は ずっと 「漢」らしく 頑張ったもんね~♪
周二、( ≧▽≦)b Good Job!

でも 朱美の心に残っていたのは、隼の あの言葉だったのか!
ムダに ペラペラ喋るより 短くても 隼の心が籠った言葉の威力は さすがです(*´・ω-)b ネッ

双葉ちゃ~ん、ママは もうちゅぐ 帰って来まちゅからね~
((o(*^◎^*)o))バブバブ...byebye☆

2013/10/12 (Sat) 20:20 | REPLY |   

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