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風に哭く花 40 

それまで、柏木を絶対に許せないと密かに思っていた青児の心境が変化していた。
翔月によく似た弟の存在に、心がざわついていた。
もし、翔月が同じような目に遭って、そのあと儚くなってしまったら……?

翔月を拉致監禁して、凌辱に及んだ柏木の犯罪まがいの行為にも、何らかの理由があったと言う事なのだろうか。

「あの……さっきから、何度も出てくる光揮君の被虐性って、SMのMってことですよね?翔月も……?」

「ああ、でもたぶん君の想像しているものとは、おそらく少し違うと思う。アダルトビデオに出てくるような鞭で打ったり、蝋燭を垂らしたりする暴力で屈服させるショー的なものではない。光揮君の不幸は、自分の被虐性に気付いたことだと思う。ショックが大きすぎて、まだ幼かった精神がもたなかったんだろうね。今となっては、想像するしかないけど……」

当時はネットもそれほど盛んではなかったし、中学生の光揮が理解するための情報量は少なかっただろうと俊哉は語った。

「何より、光揮君は大人しくて、誰かに相談できるような子ではなかったんだ。今なら俺たちも、光揮君のような子を理解する方法もわかるけど、あの時はどうしようもなかった。そして直樹は、方法を間違っていた自分を責め続けたんだ。多分、今も。」

*****

それから流されるようにして、柏木は大学へ行き何も考えぬまま教職へと進んだ。

「うさぎちゃんが、君にキスをしたのを見つけたのは、本当に偶然だった。夕暮れの教室で、とても美しい光景だったと直樹は話してくれたよ。内緒のキスが余りに可愛くて、思わず写真に撮ってしまったんだってね……でも、そこで直樹は思いだしてしまったんだよ。」

「光揮君のこと……?」

「そう。それでも、忘れようとしたんだよ。君達とは関係ないってね。中学での課程が終わっても時々、話をしていたよ。あの子はどうなんだろう、やっぱり風に哭く花なんだろうかって。ちゃんと幸せにやっているだろうか。あの子の好きな子は、ちゃんと受け止めて愛してやれるのだろうかってね。そして、赴任した高校で、再びうさぎちゃんに会ってしまった。」

「……でも、それは翔月には関係の無い話です。翔月は、先生のせいでとても苦しんだんです。おれは、翔月が酷いことをされているのを知って、許せなかった。確かに翔月は泣くのを我慢するとすごく色っぽい感じになるけど、それだっておれは昔から知ってた。翔月が酷くされないとおれを信じられないのだとしても、おれはあいつを傷めつけたりしない。」

ベッドの翔月が、くすん……と鼻を鳴らした。




本日もお読みいただきありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

それから、過去作品をたくさんお読みいただいて居ります。たくさんの拍手、ありがとうございます。
うれしいです。きゅんきゅん~ ヾ(〃^∇^)ノ


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