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風に哭く花 14 

放課後、いつものように柏木に呼び出された翔月は、強い意思を持った目を向けた。
青児の思いに応えるためにも、きちんと拒絶するつもりだった。
だが、翔月は自分の甘さを思い知ることになる。
柏木のカードはそれ一つではなかった。

「もう、放課後、ぼくを呼び出すのは止めてください。」

「……おや。昨日まで震えていた可愛いうさぎさんが、たった一日でずいぶん強くなったものだね。自転車で仲良く帰ったと思ったら、お互いの絆を確かめ合ったかい?でもねぇ……」

精一杯の勇気で毅然と伝えた翔月に、柏木は片方の口角だけを上げて、「残念だけど、それはできないな。」と答えた。
翔月の嫌いな狡猾な男の表情だった。
どちらかと言えば、整った顔をしている柏木が、時折ひどく野卑な表情を浮かべる時がある。他の生徒に向ける好ましい清潔な笑顔と反する、舐めるような視線で翔月を眺めた。
柏木は翔月の下肢に手を伸ばすと、制服の上からこの上なく優しく容をなぞった。

「や……めてください。どうしてですか?青ちゃ……青児君には、ぼくがキスをしたことを伝えました。だから、ぼくはもう先生の言いなりになるつもりはありません。」

「そう……?」

「キスの事なら、荏田君も知っています。」

「でも……他にこういうものもあるんだけど?」

「え?」

柏木は部屋の中に在る本棚から、手のひらに収まるカメラを取り出した。

「これに気が付かなかったのかな?ごらんよ。綺麗に映っているだろう。」

開かれた小さなモニター画面に、黒い椅子に縫い止められて喘ぐ姿が見える。翔月は棒を飲んだように言葉を失った。四肢をはりつけにされた白い身体が、そこで蠢いていた。

「最近の機種はすごいね。動画も長く何本も保存できてしまうんだ。自宅のパソコンのフォルダの中に、きちんと日付を追って整理してあるんだよ。僕もね、キス位可愛いものだと思うよ。でもね……ここには君の乱れた姿が、たっぷりと収められているんだ。……可哀想にね。固く目をつむって、大好きな荏田青児の名前を口走った君の姿だよ……これを見たら、きっと他の誰かは君と君の大事な青ちゃんの、ここで行われた情事だと「誤解」するだろうねぇ……気の毒に。」

「なんで……何で、こんなものを……」

「何で?僕が君の行動位読めないと思ったかい?残念だね。大人は子供の思惑など、容易く読めるんだ。経験値の差だよ。……君が、僕を何とか懐柔しようとか、話せば分かってもらえるんじゃないかと考えて、ここにいることもわかるよ。」

図星だった。言葉を失った翔月は力なく柏木を見つめた。
蒼白の翔月は恐ろしい処刑人をただじっと見つめていた。

「写真を消してやるって……」

「覚えておくと良い。大抵の大人の優しい言葉には裏があるんだよ。更科翔月君。真っ直ぐで疑うことを知らないまっさらな綺麗な心を、泥靴で踏んでしまって申し訳ないね。先生はね……翔月君の泣きそうな顔が好きだよ。もっと、もっと、泣かせたいと思うね。」

視界がぐにゃりと、歪んだ。




本日もお読みいただきありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪

(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚「青ちゃん……」

翔月のなけなしの勇気は、脆くも崩れ去りました。
この先、翔月が取る行動は……(´・ω・`)


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2 Comments

此花咲耶  

nichikaさま

> 柏木先生たらったら~~~~ 夏休み企画ホラーみたいです(笑)

うふふ~♪ψ(=ФωФ)ψ真夏のいじめっ子企画です。
張り切って書きはじめたら、稼業が忙しくなってしまって、筆が止まっています。(´・ω・`) いかんね……

> あ!!またしばらくコメできませんが。。。此花ちんのまた涼しげなお話ウィット 楽しみですう  水分・ミネラル補給+BL妄想でしょうか?  楽しんで乗り切れますように♪

冷やかに甘いお話になるように、がんばります。
暑いので体調にお気を付け下さいね。
コメントありがとうございました~(*⌒▽⌒*)♪

2013/07/20 (Sat) 22:04 | REPLY |   

nichika  

もう~~

柏木先生たらったら~~~~ 夏休み企画ホラーみたいです(笑)
あ!!またしばらくコメできませんが。。。此花ちんのまた涼しげなお話ウィット 楽しみですう  水分・ミネラル補給+BL妄想でしょうか?  楽しんで乗り切れますように♪

2013/07/19 (Fri) 23:18 | EDIT | REPLY |   

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