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桃花散る里の秘め 15 

所望された茶を運んできた義高は、自分の部屋から高坂が忽然と姿を消したのを知り、急ぎ大姫の部屋へと向かった。

「御無礼っ、大姫さまっ!高坂殿。」

何時も大事に抱えている糸手毬もなく、血相を変えた義高が、門へと走り門番を問い詰めた。

「大姫さまと高坂殿を見なかったか?」

「義高さまのご友人と大姫さまなら、あちらの方へ向かって行かれました。大姫さまは、ご友人の御背に負ぶさっていらっしゃいました。」

「何か言って居ったか?」

「いえ、何も聞いてはおりません。ご存じなかったのですか?」

「すまぬが、この事、急ぎ城へ使いをやってご家老に申しあげてくれ。わたしは、大姫さまを追う!」

人見知りの大姫が、高坂一颯を見て一瞬怖気づいたのを、義高は目の端で認めていた。初めて会った高坂に付いてゆくような快活な大津ではなかった。

「わたしのせいだ。」

*****

自分の迂闊さに腹が立ち、義高はぎりりと奥歯を噛んだ。
先日も自分の失態で、大津を川でおぼれさせたばかりだった。内心、油断ならないやつだと思っていながら、勝手知ったる屋敷内だと思い目を離してしまった。かどわかされた大津の身に、もしも何かあったら自分の責任だと思う。
義高は、いっそう早く道を駆けた。

「大姫さま!ご無事で……どうか、どうか。」

人質の身分に卑屈になっていないで、早く国許へ文を送るべきだったと思う。
いっそ、藩主に目通りを願い出て、包み隠さず本心を打ち明けるべきだったろうか。
父と年の変わらぬ藩主なら、義高の気持ちを理解してくれたかもしれない。

まだそれほど遠くには行くまいと、必死に義高は後を追った。

「あ!あれは……」

人馬しか通らぬ道に、ころりと紅い糸手毬が転がっているのを見つけた。

「これは……、大姫さまのものだ。」

小さな糸手毬は大津のお気に入りで、いつも懐に忍ばせているものだった。右手には急こう配の石段が有り、祭り以外ほとんど詣でるものもない人気のない神社があった。
おそらく大津が意図して落としたものに違いない。
石段を駆け上がると、古びて朽ちかけた祠の扉が少し開き風に揺れている。義高は確かに自分を呼ぶ、大津の声を聞いた。

「大姫さまっ!」

義高はその場の光景に、わが目を疑った。




本日もお読みいただきありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪此花咲耶

ヾ(。`Д´。)ノ 義高 「こら~、此花。大姫さまはご無事なんだろうな!」

|゚∀゚) 此花 「このちん、ハピエン主義だもん」

( *`ω´) 義高 「信用できるか~」

(*/д\*) 大姫 「早く助けて、義高さま~」


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