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桃花散る里の秘め 14 

義高は仕方なく高坂と連れだって門をくぐった。

いつものように、門の内側に大姫がいると困ると思いながらくぐると、そこには大姫の姿はなかった。ほっと安堵の反面、心配になる。
まだ熱がひかないのだろうか。

「義高さま。すぐにすすぎ(足を洗う水)をお持ちいたします。……そちらは?」

「菊さん。こちらは藩校の友人で、高坂殿です。大姫さまの見舞にいらしたのです。」

高坂は神妙に頭を下げた。

「まあ、義高殿。奥方さまは、ご重役の奥さま方と今日はお茶会の日ですよ。お聞きしてからでないと、姫さまを知らない方とお引き合わせなどできませぬ。」

「はい。わたしもそう思いますので、お見舞は後日にしていただき……」

小さな顔が様子を伺って、ひょいと覗いた。

「義高さま。お帰りな……あ。」

「お。これは、お可愛らしい。大姫さまですか?お初にお目にかかります。拙者、大槻殿の友人の高坂一颯(かずさ)でございます。共に藩校で学んでおります。」

「あの……お初に……御目もじ致します。」

「きちんとご挨拶もおできになる。利口な姫さまじゃ。」

侍女の菊は血相を変えて、大姫を退出させた。

「いけません!大姫さま。まだ歩き回ってはなりませぬ。やっとお熱が下がったのですから、早くお部屋にお戻りください。」

「……はい。」

義高を待っていたのに、思わぬ友人連れで話も出来ず、大津は……すんと鼻を鳴らした。

*****

「大槻殿。此度は無理を言ってすまなかった。この通りだ。」

義高は宛がわれた居室で、頭を下げる高坂に内心驚いていた。余り良い噂を聞かないが、やはり武門の家に生まれただけあって、礼儀をわきまえているように見える。

「いささか緊張して、喉が渇いた。茶を一杯所望してもよろしいか?」

「あ……これは、失礼した。しばしこちらで待たれよ。貰って来よう。」

「かたじけない。……そちらにある図鑑は、大槻殿のお国から持ってこられたものかな?」

「はい。食せる山野草を旅の僧がまとめてくれたものです。しばらくそれでも御覧になってお待ちください。」

高坂一颯を一人自室に残し、侍女の菊を探しに勝手に向かう義高は、何の疑いも持っていなかった。
しかし、ほんの少しの隙を付いて、高坂は大津を屋敷から連れ出してしまう。義高の姿が見えなくなった途端、野草の図鑑をほおり出して、そっと辺りを伺った。

大津の部屋に目星を付けた高坂は、少年らしく明るく声を張った。

「大姫さま。義高殿が後から迎えに参りますから、先に出かけましょう。」

「お出かけ?……義高さまが、お迎えに来て下さるの?」

閉ざされた部屋から、小さな声がする。
高坂はからりとあけ放ち、部屋を覗き込んだ。

「はい。それに大姫さまがわたしと出かけて下さらないと、ご家老さまが殿にお叱りを受けるのです。」

「父上が殿さまに……?どうして?」

「それは行きながらお話いたします。さ、義高殿の御背に乗ったように、私の背にお乗りなさい。」

「大津は知らない方の背には乗りませぬ。それに……当分、お出かけはならぬと父上が……」

高坂一颯はずいと膝を進め、大津に近付いた。
優しく笑いかけたつもりであったろうが、大津は高坂の笑みを怖いと思った。絵草子の地獄の獄卒に似ている気がする。

「……義高さまは、どこ?……」

「父上と義高殿を守りたければ、わたしの言うとおりにした方が良い。さ、お背に。あなたも痛い目を見たくはないでしょう?」

「義高さま……」

涙が盛り上がって頬を転がった。




(´;ω;`) 大姫 「義高さま……」

♪ψ(=ФωФ)ψ 高坂 「ちょろいもんだぜ。」

|゚∀゚) 義高 「お茶を持ってまいりました~……」

本日もお読みいただき、ありがとうございました。
昨夜はどういうわけか、ブログ村に反映されず、此花はしょんぼりでした。(´・ω・`)
いつも新着を見て覗いてくださる方、ご迷惑をお掛けしました。
今日、もう一度上げ直しましたら、上がりました。どうゆうことかしら…(*´・ω・)(・ω・`*)ね~
そろそろストックも少なくなり、お話も終盤です。
どうぞよろしくお付き合いください。(*⌒▽⌒*)♪ 此花咲耶


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6 Comments

此花咲耶  

nichikaさま

> やっぱり高坂殿は卑怯者であったか!

(`・ω・´)信用した義高があんぽんたん……

> くっそーあいつー (あら私とした事が・・・お下品ね お腐腐)
> 義高殿 あとはどう出るか?

武家は自尊心の塊ですから、その辺りをつつこうと思います。
でも、このままじゃ終わりません。始末をつけないとね。(´・ω・`)
 
> 此花チン 妄想一杯に新参者ひかえさせていただきますね

ありがとうございます。妄想していただけるようにがんばります。(*⌒▽⌒*)♪
コメントありがとうございます。

2013/03/08 (Fri) 21:02 | REPLY |   

nichika  

クス 残念ね

やっぱり高坂殿は卑怯者であったか!
くっそーあいつー (あら私とした事が・・・お下品ね お腐腐)
義高殿 あとはどう出るか? 
此花チン 妄想一杯に新参者ひかえさせていただきますね

2013/03/08 (Fri) 20:54 | REPLY |   

此花咲耶  

千菊丸さま

> 新作、1話から拝読しております。

(*⌒▽⌒*)♪ありがとうございます。うれしいです~
>
> 男でありながら姫として育てられている大姫と、互いに惹かれあう義高。
> でも、高坂の魔の手が大姫に!

本当は男子として教育するはずだったのに、大津の父は余りに病弱だったので断念したのです。
残念っ!……←古い……
かどわかされてしまう姫の、この先の運命は……(〃゚∇゚〃)大津 「なに、なに?」

> 義高、早く戻ってきて~!

Σ( ̄口 ̄*)早くお助けせねば!

とりあえず大津には脱いでもらって……■━⊂( ・∀・) 彡 ガッ☆`Д´)ノきゃあ~

コメントありがとうございました。うれしかったです。(*⌒▽⌒*)♪

2013/03/08 (Fri) 16:33 | REPLY |   

千菊丸  

お久しぶりです。

新作、1話から拝読しております。

男でありながら姫として育てられている大姫と、互いに惹かれあう義高。
でも、高坂の魔の手が大姫に!

義高、早く戻ってきて~!

2013/03/08 (Fri) 12:58 | EDIT | REPLY |   

此花咲耶  

Re: タイトルなし

> 高坂!! 許さないぞ ~!!(`・ω・´)ムー
>
♪ψ(=ФωФ)ψふふふ……

> 大津は非力ながらも、
> 不逞の輩の事は見抜けたのに…
> 脅されちゃったから・・(PД`q。)・゚・
> ピンチ継続中~!!

。・゚゚ '゜(*/□\*) '゜゚゚・。大津 「ちよさん~、こわいです~」
これから大姫はどこへ行くのか。無事なのか……

> 義高、超特急で早く追いかけて、
> こてんこてんにやっつけやってください!!

(`・ω・´)全速力で追いかけますっ!
(*⌒▽⌒*)♪まあ、このちんハピエン主義だから、だいじょぶ!……かも。■━⊂( ・∀・) 彡 ガッ☆`Д´)ノ

2013/03/08 (Fri) 07:24 | REPLY |   

ちよ  

高坂!! 許さないぞ ~!!(`・ω・´)ムー

大津は非力ながらも、
不逞の輩の事は見抜けたのに…
脅されちゃったから・・(PД`q。)・゚・
ピンチ継続中~!!

義高、超特急で早く追いかけて、
こてんこてんにやっつけやってください!!

2013/03/08 (Fri) 06:36 | EDIT | REPLY |   

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