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桃花散る里の秘め 11 

数日後、元服を控えた少年たちによる御前試合が行われた。
残念ながら、藩籍のない義高はその場に参加できなかった。
優勝は前評判通り、武芸指南役の嫡男、高坂一颯(かずさ)であった。

*****

優勝者が藩主にお目見えしたその席で、国家老は窮地に立たされる事となる。
高坂一颯が藩主に大姫をめとりたいと言い出し、藩主もそれは良いと言い出してしまったのだった。
元々、大津を姫として育てるのも子供時分だけのつもりであったから、藩主にも誰にも大津の秘密を打ち明けていなかったのが仇となった。

高坂の嫡男は義高と同じ年齢で、武芸に秀でていたが、いささか粗暴な所のある少年だった。
文武両道でなければならない藩内では、むしろ文よりも武の方だけに才を認められている。国家老もそれを知っていた。
藩主の前で見事に兜割の技を披露し、望みの褒美を遣わせて進ぜると言う藩主の言に、少年は堂々と胸を張った。

「殿。それがしは褒美ならば、是非とも見目麗しい女子(おなご)を頂きとうございます。」

「ほう……そなた、だれか意中の相手がいるのか?言うてみよ。」

「はい。そこにご臨席の国家老様のご息女、大姫さまを所望いたします。」

「なっ……!」

国家老は思わず席を蹴立てて立ち上がり、顔色を失くした。

「おお、そうか。国家老の家ならば家柄も釣り合う。だが、確か大姫は生来の病がちと聞いておるが?どうじゃ?」

話を向けられた国家老は、必死になって断りを入れた。

「そ、その通りでございます。大姫は生まれ付いて、心の臓に病を持った腺病質でございまする。細腰で、とても子など成しませぬ。せっかくのお申し出なれど、婚姻などとてもとても……」

「子など、天からの授かりものだと思っております。わたしは一度お姿を拝見してより、大姫さま以外に我妻はないと心に決めました。何もできずとも、お傍に居てくださればそれでよいと思っております。」

「一度……姿を見たと?」

「はい。2日前にご家老さまの家に居候している大槻義高殿の背に負ぶわれてゆく、大姫さまの御姿を……」

「2日前……」

川へ落ちた大姫を、義高がすくい上げた日だった。

「お手をお貸ししようと思ったのですが、お声を掛けそびれたのです。ちょうど濡れた着物を着換える途中で……声など掛けてはおそらくひどく驚かせてしまうと思いましたので、ご遠慮いたしました。」

じっと真っ直ぐに国家老に目を据えたまま、高坂の嫡男は片方の口角を上げ、にやりと確かに笑った。
小奴は、知っておるに違いないと感じた国家老は、その話は後日と告げたままふらりと立ち上がり、その場から退出しようとした。

「ご家老さま?」

「……突然のことで、いささか困惑しております。……朝から腹が渋っておりますので、これにて失礼いたす。」

「気を付けられよ。ご家老さま、良きお返事をお待ちしております。」

「いや……その話は、また後日に。」

「ただ一人の娘じゃ。気乗りがせぬもの仕方がない、のう?高坂も、焦るな。」

「はっ。」

何も知らない藩主は、武芸に秀でた家臣の若者らしい望みに、機嫌が良かった。




(´・ω・`) 国家老 「困ったことになった。」

(o・_・) 義高 「いったい、何が?」

(´・ω・`)国家老 「えっと~」

(〃゚∇゚〃) 大姫 「義高さまのお帰りはまだかしら。」

本日もお読みいただきありがとうございます。
よりによってとんでもない奴にみられていた模様です。この難局を乗り切ることはできるのか……


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2 Comments

此花咲耶  

ちよさま

> 義高~!!
> 大津が狙われているよ!! ヒィィィ(゚Д゚ノ)ノ

Σ( ̄口 ̄*)大変ですっ!大姫さまのぴんち!
>
> 高坂なんて ギャフンって言わせて、
> やっつけちゃってください!

(`・ω・´)何とかお守りしたいと思います。がんばりまっす!

> これからどうなっちゃうの…ドキドキ(゚∀゚*)です~!!

ちよさまのドキドキのお顔……(°∇°;) なんか期待が込められているような……

(〃゚∇゚〃) ドキドキ……←大津

(*⌒▽⌒*)♪ドキドキしてもらえるように、がんばりまっす!コメントありがとうございました。

2013/03/04 (Mon) 23:07 | REPLY |   

ちよ  

義高~!!
大津が狙われているよ!! ヒィィィ(゚Д゚ノ)ノ

高坂なんて ギャフンって言わせて、
やっつけちゃってください!

これからどうなっちゃうの…ドキドキ(゚∀゚*)です~!!

2013/03/04 (Mon) 21:35 | EDIT | REPLY |   

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