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平成大江戸花魁物語 15 

余りに酷い折檻を見ていられず、六花の手を振り切って初雪が叫んだ。

「や、やめてーーーっ!雪華兄さんを許して、雪華兄さん、初雪のせいで、もうやめて……ぇ。誰か、雪華兄さんを助けてーっ!」

「初雪が好いた人に逢いたくて逃げてしまったばっかりに、雪華兄さんをこんな目に合わせてしまった。罰なら、初雪が受けますから……どうぞ、そこのお道具も、わっちの後ろをご自由にお使いくんなまし……。兄さんを助けて、お父さん。」

初雪はその場で、禿の着物を脱ぎ捨てると雪華太夫を庇う(かばう)ように着せかけ、縋り付いた。
しかし男衆は、初雪にも容赦なかった。すぐさま手首に手ぬぐいの枷がはめられて、初雪の手つかずの茎を幾本もの手が育ててゆく。

「い、いやーーっ!」

雪華の痴態に煽られて、今ここに、芯の育っていない者などどこにもいなかった。
そこかしこで、遊男と見物客との乳繰り合いが広がっていた。

「い、いや……雪華兄さん、兄さんーーーっ!」

*****

仕置きは必ず、元娼妓だった廓の男衆が受け持つことになっている。
彼等はどこまでいたぶれば花魁が落ちるか、追い詰める手練手管に長けていた。
花菱楼の楼主も長年の生業で、傷を付けずに苦痛を与える方法なども知っていた。
何処までも追いつめて、許されず、前を触ることもできない烈しい痒みにも似たもどかしさに比べるものはない。
弄られるのにずっと耐えて、ゆらゆらと揺れていた雪華は、吐精できない苦痛が最高潮に達したとき、全身を震わせか細い声で啼いた。

「ご、後生でございんす……どうぞ、わっちの後ろに……お父さんを挿れておくんなまし……」

楼主はくすりと笑った。

「この竿は、折檻で使うわけにはいかないよ。太夫、禿の仕置きを代わってやったのなら、いっそあの子に挿れて貰うと良い。月が替われば振袖新造に格上げしようと思っていたところだ。」

「あ……ぁ……あぁ……。」

とろりと悩ましげな紅い洞となった最奥が溶けて、熱いたぎりを求めてねだる。
どうしようもない身体を持て余して、雪華花魁は喘いだ。
初雪も縛めを受け、芯の通った自分の雄芯を握るわけにもいかず、頭(かぶり)を振っていやいやと拒み泣いている。

「雪華兄さんに、そんなことはできんせん……お大切な兄さんを、わっちがこの手で穢してしまうなんて、そんなことはできんせん。」

「どうぞ、許してくんなまし……。」

初雪の言など聞く者はなく、縄師が呼ばれると曲げられて白く色の変わった雪華太夫の足を下した。
緋毛氈の上に、薄く色づいた肢体を開いて雪華太夫は初雪を誘う。
じんじんと血が通う痺れに眉をしかめ、雪華は涙ぐむ初雪に声を掛けた。

「後穴が疼いて、えらい……辛いんでありんす……初雪、兄さんを……楽にしておくれ。」

「雪華兄さん。大江戸一の傾城と言われる兄さんを、わっちが……?」

雪華太夫は、縄から下ろされた初雪を胸に抱き寄せると、はっきりとした口調で耳元に小さく囁いた。

「いいよ。おいで、初雪。いつも言っているだろう。兄さんはお前がうんと可愛いんだ。冷たい道具なんぞより、血の通ったお前が良い。大勢の前で、花魁を抱くなんて思わずに、兄さんが筆下ろししてくれると思うんだよ。」

「……あい。勿体ないことでございんす。」

ほろほろと初雪の涙が、紅く縄化粧(縄目)に染まった雪華太夫の胸に落ちて散った。密かに盗み見している六花の頬にも涙が溢れていた。自由の無い花魁と禿、兄弟のような二人の思いが切なくて、胸が締め付けられるようだ。




本日もお読みいただきありがとうございます。此花咲耶


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