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夏の秘めごと 15 

二人はしばらく抱き合っていたが、やがて、どちらかともなく見合った。
ぐ~……

「大二郎くんのおなかが鳴った。」

「おなかすいた~。」

「そうだね。ぼくも。」

それからルームサービスを頼んで、軽く食事をとった。
何もせず抱き合っているだけで満足げな禎克に、本当はもっと愛し合いたいと大二郎は少し物足りなさも感じるが、元々淡白な性質なのかもしれないと思う。
傍に居るだけで、そこかしこに散らばった至福のかけらを拾い集める時間のようだった。

大二郎には仕事があるし、禎克にも練習がある。休みとはいえ、自主練も予定している。明日からはまた互いに忙しい日々が始まると、自覚していた。

「大二郎くんは、お父さんの代わりに、劇団を引っ張っててすごいよ。えらいなぁ、尊敬する。」

「飯の種だし、好きな仕事だから苦労は平気。さあちゃんだって、そうでしょう?きつくても好きだからバスケット続けてるんだよね。」

「うん。今回負けて、悔しかったけど、足りなかったものがたくさん見えたのは良かったと思う。ぼくが成長しないとチームが上にいけないって自覚も出来たし。」

「おれも、そう。これから病院代もうんといるし、劇団は借金抱えてるし、劇団員の生活もあるし。がっつり気合いれないとね。」

「そっか。大二郎くんが抱えているものの方が、はるかに大きくて大変だ。ぼくなんて、好きな事やらせてもらっているだけだもの。」

「お師匠さんが帰ってくるまで、きっちりと仕事して、劇団醍醐を守らなきゃね。」

「早く、戻れるといいね。」

「ん。時間かかると思うけど……。」

「容体はどうなの?……聞いてもいいのなら教えて。」

大二郎は、父親の状態を告げた。
脳内出血の量は多かったが、出血箇所を特定できて、直ぐにクリップで血管を押さえることができたこと。
ただ場所が視神経の近くなので、普段の生活に戻ることは心配いらないが、眼球の動きがとても限られているんだ……と、大二郎は話をした。

「お医者さまが、リハビリにかなりかかるだろうって、言ってた。ファンの方とか、大勢お見舞いに来て下さるんだけど、当分面会謝絶でお願いしますって病院には伝えてあるんだ。だってね……さあちゃん。流し目若さまって二つ名で呼ばれていたお師匠さんが、流し目が出来ないなんて知ったら、きっとマスコミも書き立てるよ。本人にもまだ伝えてないし。」

「そっか。命が助かってよかったって思ったけど、これからが大変なんだ。」

大二郎は凜とした顔を向けた。

「でもね、病院は羽鳥が傍について居てくれるから、安心なんだ。お師匠さんが、帰ってくる場所を失くさないように、これまでお世話になった分、今度はおれが頑張る。もっともっと踊りもお芝居も上手にならなきゃって思ってる。見ててね、さあちゃん。」

「ぼくも、もっと練習頑張って上手になるよ。でかいやつにぶっ飛ばされないように、もっとスタミナとウエイト付ける。」

「さあちゃん。これ以上でかくなるのか?」

「うん。幅も、ど~んと。」

「ごついさあちゃんって、想像つかないなぁ。でも、誰が見たってさあちゃんの方がでかいから、おれの方がネコに見えるだろうなぁ。」

「ねこって……?」

「あのね、愛される側をネコっていうんだよ。受けともいうけどね。」

「大二郎くんはねこ?」

「おれは、タチ。」

「ねこと、いたちかぁ……。」

「ぷっ。さあちゃん、動物の名前じゃないよ。ほら、歌舞伎なんかの男役の事を立ち役っていうでしょう?タチって、そこから来たんだよ。」

「それは決まりなの?いたちは、ねこにはならないの?」

初めての禎克の向けた素朴な疑問は、けっこうとんでもないものだった。

「決まり……ではないだろうけど。考えたことなかったなぁ。おれ、入れられる側になったことって、あんまりないし……あっ。あわわ。」

うっかり発した自分の言葉に気付いて、大二郎は慌てた。




(〃゚∇゚〃) 大二郎 「えっと……なんでもない。」

(°∇°;)  禎克 「さらっと、ものすごいことを言ったような気が……?」

(*⌒▽⌒*)♪大二郎 「さあちゃん。気のせいだよ~。」

( *`ω´) 禎克 「あやしい~。」

二人が抱き合った挿絵を描きました。
肌色なので、ちょっと恥ずかしいので、追記に入れておきます。もしよろしければご覧になってください。
袋とじでっす。(`・ω・´)←どこが。見れるかな?

本日もお読みいただきありがとうございます。
拍手もポチもコメントもありがとうございます。
とても励みになっています。もう少しです~♡ (*⌒▽⌒*)♪此花咲耶

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2 Comments

此花咲耶  

拍手コメントロンさま

(〃゚∇゚〃) お読みいただきありがとうございます。

知識がないので最強のさあちゃんです。知らないってこんな感じかなぁ……と思いながら書きました。
大二郎くんの初体験とか、また違うお話で書いてみたいです。此花には「エア・てぃんこ」しかないので、想像するしかないのですが、いつか自然にさあちゃんも大二郎を愛したいと思うようになるかな~と考えたりしています。

コメントありがとうございました。がんばります。(*⌒▽⌒*)♪

2012/09/11 (Tue) 08:25 | REPLY |   

此花咲耶  

拍手コメントさとうさま

(〃゚∇゚〃) 本日もお読みいただき、ありがとうございます。

部活三昧のさあちゃんは、見た目に反して中身がまるで子供なのです。
何となく勢いで流されてしまった初体験です。(〃ー〃)
バリタチの大二郎くん←調べた……(*/∇\*) キャ~、ばりばり攻める系の大二郎くんという意味でした~。さあちゃんは案外、お友達の「達」だと思ってるかもしれません。(*⌒▽⌒*)♪かまとと~。

まだまだ練習中のお絵かき、褒めてくださってありがとうございます。せめて、描く度顔が変わるのを何とかしないと。
コメントありがとうございました。がんばります。(`・ω・´)

2012/09/11 (Tue) 08:18 | REPLY |   

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