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さだかつくんの恋人 6 

子を持つ親同士の気安さからか、初対面だと言うのに、意外に話は弾んだ。
柏木醍醐は柔らかな笑みを浮かべて、勧められるまま盃を重ねた。

「柏木さん。お聞きしてもいいですか?」

両親は、やはりどこか雰囲気の違う柏木醍醐に、興味津々だった。

「はい。なんなりとお聞きください。」

「あの、柏木さんって、ずいぶんお若く見えますけど、おいくつなんですか?」

「はい。現在21歳になります。大二郎はわたくしが17歳の時にできた子供です。」

「そうですか~、そんなに若くして父親になったんですね。柏木さんとぼくとは、10も違うのか。年の割にずいぶん落ち着いて見えて、羨ましいです。」

「いえいえ。裏では劇団員に若年寄と、陰口を言われてますよ。実はわたくしのような稼業では、早く結婚して子供を持つことは、劇団の経営上にも必要だったりするんです。」

「へぇ。」

そんな話は勿論、初めて聞いた禎克の父だった。

「小さい子が踊っていると、どなたもつい応援したくなるようで、たくさんご祝儀を下さいますから。わたくしの初舞台は、一歳そこそこでした。おむつをしたまま踊っている写真が残っております。」

住む世界の違う柏木醍醐の話は、何を聞いても新鮮だった。

「今の一座で、一番の稼ぎ頭は大二郎だったりするんですよ。親のわたくしが言うのも何ですが、あの子はあれでなかなか舞踊の筋が良いんです。いつかは、ちゃんとした踊りのお師匠さんに入門させる気で居ります。」

「ほ~……。それでどうして息子さんを、幼稚園に通わせることにしたんですか?大衆演劇の子供さんは、物心つく前から芸事を仕込むのだと思っていました。ほら、以前テレビで良く見てましたよ。ちび玉……とか?厳しい修行だなぁって思いました。」

「はい。おっしゃる通り、この世界は一昔前まではそうでした。わたくしも、殆ど学校には通えないでおりましたから、世間様の同じ年頃のお子さんが、うらやましい時期もありました。」

「今は同業の皆さまも、お子さんをきちんと学校に通わせますけれど、劇団醍醐は少人数なもので、大二郎も一緒に移動するしかありません。周囲には子供が居りませんから、物言いも、わたくしを真似ているようですし、あの子はこましゃくれるばかりです。一年の大半を旅しておりますので、この度からまとまった公演をするときは、思い切って地元の幼稚園に通わせてやろうと思い立ちました。」

「そうだったんですか。それでこまどり幼稚園に。」

「大二郎は、まったく子供の世界を知らない世間知らずなものですから、子供同士のお付き合いの加減がわからなかったのだと思います。この度は坊ちゃんに、とんだご迷惑をお掛けしてしまいました。惚れた相手に手が早いのは、父親譲りかもしれません。」

「同じ年頃のお友達は、成長期には必要ですものねぇ。」

「はい。そう思っております。」

母は頷き、いそいそと追加の酒の肴を作る為、台所に立った。
気になって仕方がない湊と禎克が、こっそり様子をうかがっているのを見ると手招きをした。

「さあちゃん。あの方、大二郎君のお父さんなのよ。大二郎君の代わりにごめんなさいって、謝りに見えたの。ご挨拶していらっしゃい。」

「大二郎くんは?」

「大二郎君のお父さんに聞いてみたら?」

おずおずと部屋に入って行ったら、大二郎によく似た男がにこにこと人好きのする顔で破顔した。





(`・ω・´) 醍醐 「居心地が良くて、つい色々と語ってしまいました。」

(〃゚∇゚〃)  母 「気さくで素敵~。」

(〃▽〃) 父 「いや~、お酒が美味しいね~。」


本日もお読みいただき、ありがとうございます。
お絵かきする時間が取れません……(´・ω・`)

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