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露草の記・参(草陰の露)18 

照姫は、この時代の女子にしては珍しく進歩的な両親のもとで育ち、自分の考えをしっかりと持っていた。
そしてどんな相手にも、「ならぬものはならぬのです」と、臆せず口にもした。

戦国の世の最後に生まれた照姫は、例えどれほど血統が良くても、知恵がなければ足利将軍のように家が絶えると分かっている。生き馬の目を抜くような乱世の小さな諍いは、照姫の実家、佐々井家近辺でも起こっていた。

政治の道具として使われることの多い「姫」として生まれながら、双馬藩嫡男と年が近いのが幸運であった。

照姫と秀幸の母親同士は、従姉妹と言う関係である。
婚礼の朝が来るまで相手の顔を見たこともないのが普通の時代に、仲の良い従姉妹は子ども達のために度々文を交わした。
幼い頃から顔や性格を知り、思いあって添えるのが夢のように幸運なことだと、少女は知っていた。3歳年上の秀幸を慕い、指折り数えて、照姫は花嫁御寮となる。

「秀幸さま。照は幸せものでございますね。義元さまにお命をお守りいただいた、大好きな秀幸さまと添えるのですから……。」

照姫の側で、うんと頷く秀幸は、大人びて見えた。

だが、そんな微笑ましい二人を、いたずらな病魔が襲う。
近隣から流行した、恐ろしい痘瘡が、じわりと双馬藩に踏み込んだ

*****

秀幸と照姫は同じ頃、仲良く散策の帰り道、急な高熱を出した。お付きの老女が血相を変えて走り込み、城内は大騒ぎとなった。何しろ秀幸は、双馬藩唯一の男子である。

「誰かっ、照姫さま、秀幸さま、俄かの病にて……!早うっ!」

直ぐに輿が仕立てられ、城内に連れ帰ったが、皆同じ不安を抱いていた。
城下では既に領民が何人も、痘瘡に倒れ、流行の兆しを見せていた。

医師が呼ばれ、二人は診察を受けたが当時、効果のある薬はない。天然痘は病原菌自体は微弱だが、極めて感染力の強い、当時不治と言われた伝染病である。

「これは……痘瘡でございます。今後は殿も、お二方にお近づきになられませぬように。」

「間違いないか?」

「はっ、すでに城下では多くの患者が罹患しておりますれば……この発疹は痘瘡に間違いございません。隔離が肝要かと。」

「そうか……。」

痘瘡の症状は顕著であった。激しい頭痛と高熱に襲われて、一旦解熱した後、頭部顔面を中心に、えんどう豆ほどの肌色の粒状の丘疹が、全身に広がってゆく。
体表面を覆った発疹は、見えない体内にも広がり、やがて化膿して呼吸困難を伴い、重篤な場合死に至った。

双馬藩で発病した照姫の病状は、すぐに佐々井家に伝えられたが、過去に罹った御付の者が看病に当たるようにといってよこしたきり、手の打ちようがない。

「一大事じゃ。すぐに僧を呼んで祈祷をさせよ。」

秀幸と照姫は、城内の一室に別々に隔離され、病気平癒を願って、神社では護摩が焚かれ祈祷が始まった。

双馬騒動以来の出来事に、城内は大騒ぎになっている。






。・゚゚ '゜(*/□\*) '゜゚゚・。照姫 「痘瘡なんていやです~。あばたになってしまう~。」

(´・ω・`) 秀幸 「せっかく平和に暮らしてたのに……此花のあんぽんたん。」

♪ψ(=ФωФ)ψ此花 「うふふ~」

(`・ω・´) おギギ (策がございます……。)

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