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青い小さな人魚 (虹色真珠) 3 

ずいと進めた王の爪先を認めると、ガラス越しに見るよりも一回りも小さく見えた人魚は、輝く髪の間から王さまの方をおずおずと見上げた。
王は、影のように仕える宦官すらも人払いし、広い浴室に哀れな人魚と二人きりになった。

「わ……たしを自由に……して。あの人の眠る海の底へ行きたい……。どうぞ……。」

竪琴を奏でるような驚くほど美しい声を発すると、人魚は王さまの足元に縋った。声と姿から察するに、青い人魚は少年のようだった。

「……なんという声だ。人魚の歌を聞いた漁師は、誘われるように海の底へ行きたくなるというが……まさに胸震う奇跡の声だ。青い小さな人魚よ。わたしの為に歌ってくれないか?」

青い小さな人魚はふるふるとかぶりを振って、諾(はい)とは言わなかった。同じ言葉だけを繰り返した。

「わたしを自由にして。あの人の眠る海の底へ行きたい……。」

恐ろしい王さまに逆らう者は、この国には誰一人としていないのに……。
苛立った王さまは、長い髪を掴むとぱんと人魚の頬を打った。そして、知っていたのにわざと口にし人魚の様子を見た。

「海の底に眠るあの人とは、誰のことだ?名を言え。」

「……スル……タン、マハンメド王……。」

人魚は王さまの目が、愛するスルタンとは違い、これまで散々に自分を虐げて来た者たちと同じ物だと気が付いた。怯えて顔が強張り、両の手を胸のあたりで交差し震えた。

「青い小さな人魚よ、海に身を投げた臆病者のスルタンは、魚のお前を人のように抱いたのか?」

そんな意地悪な質問に人魚は答えず、ただ哀しそうに王さまを見つめていた。モザイクタイルで装飾された浴室に、静かに時だけが流れていた。

やがて、人魚は顔色を変えると、喉元を抑えはっはっと忙しなく息を吐き、水の溜まった浴槽へと、這って行こうとした。

「……あ……ぁ……」

「どうした?水が欲しいのか?一見したところ人と変わらぬように見えるが、やはり海の者だな。長く水から離れることはできないのだな。」

しばらくは陸上で過ごすこともできたが、もともと人魚は海の生き物なのだと、王さまも今更のように気が付く。水を求めて、人魚は手を伸ばし喘いだ。
薄い上半身にはないが、鱗の生えた青い足は、水がなければ乾いて痛むのだろう。王さまは、髪を掴むと浴槽に人魚を投げ込み首元に並ぶ鰓孔(えらあな)を押さえてみた。

「そら、水をやろう。水の中で……こうすると、どうなるかな……?」

「あぁ……っ、はなして……。」

人魚は大きく目を見開いて、自分を押さえる王さまの腕を掴み必死で逃げようとした。傍目には首を絞めているかのように見えたかもしれない。ただ、そっと鰓孔を塞ぐと人魚は呼吸が出来ず苦痛に身悶えた。烈しく首を振って逃れようとして抗っていたが、やがて気を失って固く目を閉じ浴槽の底に沈んでゆく。
小刻みに開く鰓孔が、弱った魚のように浅い呼吸を示していた。

「そうか、姿容は人と似ているが、魚と同じように、呼吸するのだな。」

意識を失った人魚のあちこちを、悪戯な子供のように好奇心を持って王さまは確かめた。
背中から腰下、足のふくらはぎの裏側には、薄く透明な背びれがそよいでいた。薄いオーガンジーでできたように、水の中で揺れる鰭は透き通り、儚く弱々しく見えた。
王さまは、連れてこられた敵国の王女や王子が夜伽に連れてこられる前に、身体を検(あらた)める浅い水槽へと人魚を運んだ。

どれほど幼いものでも、仇として王さまの首を狙うものは、これまでにも何人かいた。
王さまの閨房に侍る者は、必ず身体中の穴という穴を調べられる。

敗戦国の美姫たちは、敵国の閨房へ連れて行かれるのを覚悟すると、命を狙うため陰部に細い刃物を仕込んだり、後孔に毒の入った小袋を隱して王さまの前に現れた。
ある国の王妃を検めた陰部から、血まみれの短銃が見つかったときは、愛憎の深さにさすがの王さまも息を呑んだ。その場で舌を噛み自害した王妃の短銃には、二人分の命を奪う弾丸しか入っていなかった。隙あらば色仕掛けで寝首を掻こうとした気高い王妃の亡骸は、骸が散り果てるまで路傍に捨て置かれた。

だが、大抵の高貴な者たちの自尊心は、裸に剥かれ検めに遭うと、ことごとく痿えた。羞恥に打ち震え、身体を隱すものと引き換えに永遠の従属と奉仕を口にした。むしろ、そういう高い身分にあるもの達の方が平然と、楽に生きる為、王さまの足に躊躇せず口づけし股をひらいた。
抜け落ちそうな重い手鎖に人魚を縛めた王さまは、意識の無い人魚の脚を開き何もない最奥を探った。柔らかな鱗の生えた足の奥、慎ましく細かな鱗に覆われている場所に王さまは指を埋めた。

少しの抵抗の後、力を入れずとも呑み込まれて行く指に、王さまは夢中になった。入り口から内側へは細かな鱗が逆向きに生えている。
王さまは下肢をくつろげると自分の隆々とした持ち物を取り出し、そっと人魚の後孔へと先端を押しあてた。水の助けを借りて、ゆっくりと先端が呑み込まれてゆく。今や新しい玩具を手に入れたように、王さまはゆらゆらと水の中で腰を揺らした。
狹い場所に異物を押し込められて、気を失っていた人魚が薄く目を開けた。
自分を引き裂く怒張を感じ、じゃら……と無機質な音を立てた縛めに、置かれた状況を知る。

必死に逃れようとした青い小さな人魚が、高い弦を弾くように悲鳴をあげた。

「やあーーーーあぁっ……!」




(´・ω・`) 可哀想に……←書いといて。

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2 Comments

此花咲耶  

けいったんさま

> チクショーヽ(*`Д´)ノ
> あのオヤジ、欲の海に溺れるどころか 泳ぎきって 人魚王子に悪さまでシヤガッテーー!

♪ψ(=ФωФ)ψ←久しぶり~!
何とかお話が終わるまでに人魚が描ければいいなぁと思っています。
>
> 今も 王子を 必死に探しているであろう海の使者に 告げ口してやるぅ~~
> ぁぃつ(メ▼ノд▼)φε(`ゝ´メ)ゎヵゝったぜぇァニキ...byebye☆

(*⌒▽⌒*)♪海の使者がやたら大迫力のお兄さんだ~。
短編なのですが、このお話はいくつかに分かれているのです。虹色真珠は、あと二話くらいで終わります。
大丈夫かなぁ……(´・ω・`) ←だから~~

2012/02/29 (Wed) 22:08 | REPLY |   

けいったん  

チクショーヽ(*`Д´)ノ
あのオヤジ、欲の海に溺れるどころか 泳ぎきって 人魚王子に悪さまでシヤガッテーー!

今も 王子を 必死に探しているであろう海の使者に 告げ口してやるぅ~~
ぁぃつ(メ▼ノд▼)φε(`ゝ´メ)ゎヵゝったぜぇァニキ...byebye☆

2012/02/29 (Wed) 21:36 | REPLY |   

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