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花菱楼の緋桜 7 

「……緋桜も……我慢しんす。早く、一人前にしてくんなまし。」

「よし。いい料簡(りょうけん)だ。」


下肢では、サボンの力を借りて滑る指が、狭い入口でずっと抜き差しされていた。
緋桜は、浅木の話を聞いて、自分が借金の片に売られてきたことを思い出したらしい。一人前になるため必死に首を振って耐えていたが、やがて我慢できずに嗚咽が漏れた。
緋桜の後孔は、指を受け入れても無垢な幼姿の皮かむりは身じろぎもせず、股間でただ細い太腿に哀れに張り付いているばかりだった。排泄する場所に、何かを受け入れる違和感に身悶えしていた。
時折り腕に縋った指に力が入る。未通の禿を哀れに思いながらも、浅木は勤めを続けた。

ざっと湯を掛けると、番頭新造は湯の熱さにゆだったように染まった若茎をぱくりと口腔に頬張った。
小さな茎は、双球ごと吸ってやっても何の変化もなかったが、番頭新造にとっては赤子のような緋桜を陥落させることなどは容易いことだった。指の先を鉤にして、良く知る丘をこすりあげてやる。左手でぴっと茎をこすりあげ息を呑んだ時に、一気に幼姿の皮を剥き濡れた先端を露わにしてやった。
先端に現れた白い小さな鶉卵が、露を含んで哀れだった。切れた薄皮にじわりと血が滲んだ。

「やぁっ……!」

大きく目を見開いた緋桜は、のけぞって逃れようとするが、しっかりと懐に抱きこまれたまま逃げることはできない。うごめく指を抜いてくれるように言いたかったが、浅木は静かだった。「堪忍……」と口にした緋桜はじっと自分を抱いている男を呆然と見つめていた。もう、身体は疲労困憊し、意識は朦朧としていた。

「け……て……磯良さん……。」

別れを告げたばかりの、故郷の思い人の名を呼んだ。
霞んだ目に、自分に無体をする男が磯良に見える。自分を抱きすくめているのが大好きな磯良なら、どれ程よかっただろう。

「磯……良さん……。」

幼い緋桜は吐精もできず、げんまんをして別れた人の名を呼んだ。
首を絞められて、どこかへ追い詰められるような辛い気のやり方をして、緋桜は気を失った。

「よしよし。」

番頭新造が、そっと軽い身体に単衣を掛け青海花魁の私室へと運んだ。

「ご苦労だったね、浅木。緋桜はものになりそうかい?」

「はい。おそらくは花菱楼随一の太夫に。」

躊躇することなく、浅木は言い切った。

*****

気が付いたとき、緋桜が開けた目の先には満開の桜があった。
良く見れば襖絵だったのだが、緋桜は故郷の桜に手を伸ばし触れようとした。

「……うっ……。」

苦痛ではないが、身体の内側に妙な鈍痛があった。
寝返りを打とうとして、柔らかい褥(しとね)に顔が埋まった。
緋桜の知るせんべい布団ではなく、上等の羽二重の布団に寝ていると気づき、飛び起きそのままもんどりうって転がった。

「緋桜。足元に気をつけなんし。」

「あ……っ。青海兄さん。」

優しい青海花魁の美しい顔がそこにある。
笄(こうがい)や、簪(かんざし)を下した洗い髪を、緩くまとめて緋桜に微笑みかけていた。

「身体は、もう大丈夫でありんすか?今日は、わっちの布団で一緒におやすみなんし。」

そう言われて、湯殿での出来事を思い出した。
緋桜は、身体中隅々まで『検め』を受けたのだった。
勿論、それは本格的なものではなかったし、遊女の「会陰検め」などとも違っていたが、後孔に何も受け入れたことの無い未通の緋桜には衝撃的なものだった。
優しい眼差しに、ふと涙ぐみそうになる。





今日もお読みいただきありがとうございました。 
この作品は、加筆改稿してありますが再掲になります。 

                         此花咲耶
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