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夢見るアンドロイドAU 9 

ベッドサイドの明かりを落とし、厚一郎がリビングに戻るとルシガがうなだれていた。
衣擦れの音に気付いたルシガは、思い詰めた顔を上げた。

「…すまない。君のひよこを、あんなに泣かせるつもりじゃなかった。」

「うん……でも、ひどく泣いてしまったね。厚志は音羽に捨てられるって泣きながら眠ってしまったよ。ルシガ……、わかっているよね。ぼくのここには、厚志に貰った肝臓が入っている。」

「ああ……。」

「君は手術前に厚志に言ったよ。ありがとうって……厚一郎をおれから取り上げないでくれてありがとう、君は厚一郎だけじゃない、おれの命の恩人だ。厚一郎に何かあったら生きてはいられなかった。君は二人分の命を救ってくれたんだって言ったあれは、ただのリップサービスだったの?ぼくは君がそこまで愛してくれていると知って、震えるほどうれしかったのだけど……。」

ルシガの表情が凍りついた。あっくんに縋り付いて、「お願いだ、厚志。厚一郎を助けてくれ。お前しか助けられないんだ。」と、恥も外聞もなく泣きさけんだのが誰だったか思い出したようだ。

「ぼくはね……日本風にいうなら、彼岸に行ってしまったらルシガ……君が来るまで長い時間向こうの川岸で待っているつもりだったよ。来世に生まれて来る時も……離れ離れになったり後から来る君が迷子になったりしないようにね。」

「…厚志はおれに君をくれたのに、可哀想なことをしてしまった……。明日、ちゃんと謝らなきゃな……。」

「本当は……寂しかったんでしょう……?それとも、厚志と音羽がうらやましかった?長いこと、我慢させたから……ルシガ。」

「厚一郎、おれが無神経だったんだ。君が瀕死の時は、生きていてくれるだけでいいと願ったのに、元気になったらあれもこれも欲しくなってしまった。子供っぽい我ままだ、ごめんよ……。」

細く開いた出窓から秋風が入り、薄いカーテンの影が揺れる。
月明りに浮かぶ白皙の美青年は、羽織ったガウンを滑らせ足元に落とした。月下美人はルシガに向かって艶然と微笑みを浮かべ誘うように両手を広げた。

「いつだって、ぼくは君の物だよ。……ルシガ、ぼくだっていつだって君が欲しかったよ。」

マルセル・ガシアンの持って来た薔薇が室内で濃厚な匂いを燻らせて、月の女神(アルテミス)を包みこんでいる気がする。
……厚一郎は男だけど、ちっさいことは気にするな。

「……駄目だ。厚一郎……、まだセクスをしてはいけないって、今日あのやぶ医者が……。」

深い海の底の色が悪戯っぽく揺れた。耳の傍に有る巻き毛を指に巻き付けて小首をかしげた。伸ばされたしなやかな指が、ルシガの指が絡むのを待っている。

「ルシガ…ねぇ、厚志の音羽は「やぶ医者」なんでしょう……?」

「いや。天才肌の名医だ。そんなこと……どうだっていい。地獄に落ちてもいい、厚一郎――っ!おれのアルテミス。」

「いやぁん……。」

鼻にかかった艶めかしい喘ぎが、ルシガを野獣に変貌させてゆく。
ルシガはくんと芳しい恋人の匂いを嗅いだ。鼻腔に拡がる芳しい薔薇の体臭に眩暈がする。病み上がりの身体を入れ替えて、厚一郎は倒れ込んだ。

「駄目だ……もう、止まらない。厚一郎……っ!」

間近で厚一郎の香りをかぎ、ルシガは敢え無く陥落した。
無理もない、明けない夜だと思えるほどの長い禁欲生活だった。身体を開き、寝台に横たわったフェロモンだだ漏れの裸のマハの姿に、ルシガはそっと手を伸ばした。怪しく光るアルテミスの手にある剣に貫かれても悔いはない……この時を、十年以上も待って来た。大使館のパーティで、天上の美貌に魅入られた出会いの時から、ずっとルシガには厚一郎だけだった。
白肌に薄い花弁を落とす行為を繰り返しながら、ルシガは溢れる歓喜の涙をこぼした。喉元から、予期せぬ嗚咽がこみ上げて来る。

「本物だ……俺の胸に、帰って来たんだな。厚一郎……あぁ……磨かれた雪花石膏の滑らかな肌だ。冷たくて……でも中は熱いんだ。触れたら我慢できなくなると思って、俺はキスすらまともにできなかったよ。」

「待て……が長かったね。」

「腹ぺこだ。」

「たんと、召し上がれ。」

「いただきま~す!」

忠実な飼い犬は、やっと「よし」を貰って、完熟のアルテミスに掻きついた。甘い唇を割って口腔を蹂躙する。肩で揺れる豊かな金髪が少年神のようだ。
月の光を弾いて輝く金糸に、ルシガは何度目かの接吻を贈った。





(´・ω・`) 唯一、まともだった厚一郎が、こんなキャラ……?

(*⌒▽⌒*)♪厚一郎:「ちっさいことは気にするな!」

(*/д\*) あっくん:「音羽~~……」


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6 Comments

此花咲耶  

鍵付きコメントHさま

ご期待に添えたかどうかはわかりませんが、ちょっぴりエチがんばりました!(`・ω・´)

ルシガは厚一郎の事が、とても大好きです。あっくんに言った台詞に鳥肌が?~~わ~~、うれしいです。
引き続きエチなので、鼻血ぶ~になってください!(`・ω・´)←うっすらだけど、がんばった!

コメントありがとうございました。(*⌒▽⌒*)♪

2011/10/20 (Thu) 21:05 | REPLY |   

此花咲耶  

鍵付きコメントr様

あっくんを気に入って下さってありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪
嬉しいな~、そういっていただけてあっくんも大喜びです。

(〃^∇^)o彡T あっくん:「はい、これ~~」

幸せになるはずなので、もう少し待っててくださいね。
コメントありがとうございました。(*⌒▽⌒*)♪

2011/10/20 (Thu) 20:59 | REPLY |   

此花咲耶  

けいったんさま

> さすが、あっくんの兄ちゃん!( ≧▽≦)b Good Job!

(*ノ▽ノ)キャ~ッ!ちょっぴり、あやしいお兄ちゃんの本性が見えましたね~
美形だけど……うふふ~~
>
> 心打たれる言葉で ルシガも心から反省したようで・・・
> ・・・っで、この展開~~~ッ

(〃▽〃)……手玉に取られてます。この展開は必死こいてるんですが、何とかエチになるようにがんばります。
アルテミスだの、マハだので、ごまかし……(*ノ▽ノ)キャ~~ッ

> (*ノωノ)キャ...(*ノω゚)ノ チラッ...byebye☆

あ、けいったんさんが見てる~~www
コメントありがとうございました。(*⌒▽⌒*)♪

2011/10/20 (Thu) 08:20 | REPLY |   

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2011/10/20 (Thu) 01:06 | REPLY |   

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2011/10/19 (Wed) 22:38 | REPLY |   

けいったん  

さすが、あっくんの兄ちゃん!( ≧▽≦)b Good Job!

心打たれる言葉で ルシガも心から反省したようで・・・

・・・っで、この展開~~~ッ

(*ノωノ)キャ...(*ノω゚)ノ チラッ...byebye☆

2011/10/19 (Wed) 21:23 | REPLY |   

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