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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 26 

おれ達が選んだ場所は、有名な観光地にあるリーズナブルな温泉宿だった。
ネットで調べるうち、二人の指先が自然に重なってそこを選んだ。きっと意味があると思う。

日本中が震撼した、3月に起きた東北地方太平洋沖地震の影響もほとんどなかったそこは、おれたちが旅行を決めたころは、心無い噂の真っただ中で根拠のない風評被害に遭っていた。
原発から漏れた放射能の脅威に晒されているなどと、まことしやかに言われ、遠く離れていると噂ばかりが先行して三崎のパパも相当心配して、独自にいろいろ調べたらしい。
どんだけ、過保護なんだ…と思うが、多くの個人が調べたことがネット上でも出回り、何とも無いと数字が示すことで、旅行者が増えるならそれもいいかもしれない。
美味い米も水も、何の影響もなかった。風光明媚な自然に囲まれた雪深い地方に、おれは何故か帰って来たという思いに、身体の芯が震えた。

親父の話によると、元々柳家はこの地方出身で、おれの曾爺様の代にお殿様に同道してはるばる江戸に下ったらしかった。
後年、曾爺様は体が弱っても横になることをせず、最後まで武士の頑な(かたくな)までの矜持を持っていたそうだ。雪輪に笹の家紋は、曾爺様が死ぬまでこよなく愛した故郷の出身の証しのようなものだった。
内戦については決して語らなかったそうだが、子孫は形見に残された日記で曾爺様の血涙の過去を知った。滅多に雪の無い都会に移住しても、常に故郷に向かい礼を欠かさなかった曾祖父だったらしい。その曾爺様の弟の名前が、源七郎と言う。
寺の過去帳を見せてもらったから、確かだ。
曾爺様は身体が弱かったらしいが、弟が出陣するのを知り急きょ床上げをして、馳せ参じたらしい。結果、身体が付いて行かず従軍は泣く泣くあきらめたが、源七郎はわが身のふがいなさに恥じ入る兄の手を取りこういった。

「兄上の分も、源七郎が働いて参ります。兄上は、どうぞ両親のお傍で柳の家をお守りください。」

自分がこうして生きながらえたのは、多くの同輩と弟が身を賭して守ってくれたからだ、決して忘れることの無いように。と、日記の最後にはしたためてあった。
そして、昔の藩校で曾爺様が学んだ教えの多くは、江戸に移った柳家の家訓になった。正義感ぶって言い訳するつもりではないが、そんな過去の生き方はおれの中に流れていると思う。
賊軍となって辛酸をなめた藩侯について江戸に来た曾爺様は、金の面でも相当苦労をしたようだ。
おれは、自分で調べたそんな話を貸切の露天風呂で、三崎を膝に乗せ語って聞かせた。

「あ…あんっ…。ちゃんと聞かないと…。」

逃れようと湯を掻く三崎の腰に、しっかりと腕を絡めておれは煽った。

「大事な話の最中に、こんなに感じちゃうなんて、みぃたんもふしだらな身体になったもんだ。お湯の中で出しちゃうと、後から入って来た人が妊娠するかもしれないから駄目だぞ。」

「みぃたんって、呼んじゃだめ。ヴィーナスじゃありませんよ~…先輩ったら、でも…あっ…ん。」

三崎の背中に鼻をこすりつけて、貝殻骨をくすぐってやった。おれが触れるたび、背筋を逸らして三崎は大きく息を吸い、息を詰める。
前に手を回して弄りながら、腰を浮かせて先端が三崎の後に当たるようにずらした。湯の力を借りて、先端がくっと難なく三崎の中に侵入した。
指一本すら入らなかった汗ばむ夏の初めての時から、季節は既に冬へと変わっていた。三崎の後孔はおれの容を受け入れて、しっとりとまとわりつくように蠕動していた。

「だ、めです。先輩…、お猿さんが…こっち、見てる。」

最近の猿は、露天風呂に入る…じゃなく。
とんだお邪魔虫に興をそがれて、おれはくるりと三崎の身体の向きを変えた。
己の屹立した分身に手を添えて、湯の助けを借り、向かい合った三崎の中に侵入した。俗にいう駅弁というスタイルのまま湯船からざっと立ち上がった。
必死に抱きつく三崎は、宿の売店にある小猿のぬいぐるみみたいだ。
どっと降り始めた雪の中、おれ達は露天風呂を後にした。ふと、視線を感じて振り返ったがそこには誰もいなかった。

雪深い国では地吹雪の荒れ狂う夜は、生きとし生けるものは皆ひっそりと息を詰めて朝を待つ。
夜なべ仕事にわら草履を編んだり、赤べこに色を塗ったりしながら眠るのをぐずる小さな子供にささやく。

「さあ、さっさど寝ないと雪女郎が来るよ。」

深々と雪は降り積み、翌日あたり一面の銀世界に、三崎は歓声を上げた。




ヾ(。`Д´。)ノ 三崎:「こら~~!此花¡駅弁とか書いといて~~~!!続きは~~!?」

( *`ω´) 柳:「おお、言ってやれ。テクなし!能無し!ってな!」

(*´・ω・)(・ω・`*)ネー 三崎 柳:「これも一種の朝チュンってやつ?」

ウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!此花:「だって~~~…」

(つд⊂) 此花:「穴があったら…挿れたいです…。」

このお話は、此花によるフィクションです。
多くのエピソードがありますので、参考にしましたが、二本松少年隊、白虎隊、あえてどちらと明言はしておりません。
拍手もポチもありがとうございます。
感想、コメントもお待ちしております。
ランキングに参加していますので、よろしくお願いします。   此花咲耶

■連日、一気読みしてくださった方、たくさんの拍手をありがとうございました!
 初めて、三桁を見たとき驚きのあまり、fc2が壊れたかと思いました~(*⌒▽⌒*)♪
 うれしかったです!

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8 Comments

此花咲耶  

かやさま

> おお!と思ったら・・・あら?

(〃ー〃)えへへ。

> さすが、このちんクオリティw
> エチがえんえん、だらだら~はうんざりするだけだけれども、ひでーあっさり具合ですw

一応がんばりたかったのですが、あっさりにしてしまいました。
いつになったら・・・(*´・ω・)(・ω・`*)ネー ・・・という感じです。
(`・ω・´)次こそ、がんばります!←

> 本が無事に到着してます。ありがとうございましたm(_ _)m
> オマケも萌えました♪
きゃあ~~。お知らせありがとうございました。
お買い上げうれしかったです。お気に行ってくださったらうれしいです。
これからも、どうぞよろしくお願いします。

2011/09/14 (Wed) 23:50 | REPLY |   

かや  

おお!と思ったら・・・あら?
さすが、このちんクオリティw
エチがえんえん、だらだら~はうんざりするだけだけれども、ひでーあっさり具合ですw

本が無事に到着してます。ありがとうございましたm(_ _)m
オマケも萌えました♪

2011/09/14 (Wed) 22:14 | EDIT | REPLY |   

此花咲耶  

鍵付きコメント様

甘さが伝わっているようで良かったです。(〃▽〃)

軽い語り口で、甘々の日々に突入するつもりが、書いてるとつい楽しくて過去の話が長くなってしまいました。
パパは、今頃カレンダーの帰宅する日を眺めながら、煮えくり返っていると思います。
パパは誰の生まれ変わりなんだろう。(*´・ω・)(・ω・`*)ネー

> 表紙が優しげで此花様らしく、ステキです~!

きゃあ~、コピー本届いたんですね。お買い上げありがとうございました。
次は←(作るの楽しかった~)もっと、上手に作りたいでっす!(`・ω・´)
少しでも気にいって下さって、よかったです。お読みいただきありがとうございました。(*⌒▽⌒*)♪
コメントもありがとうございました。うれしかったです。

2011/09/14 (Wed) 08:17 | REPLY |   

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2011/09/14 (Wed) 06:33 | REPLY |   

此花咲耶  

鍵付きコメントさま

三崎みぃたんが、ちょっぴり感じやすくなりました。
その辺りは想像力で、お願いします!(`・ω・´)←読み手さま任せ。

コピー本のお買い上げ、ありがとうございました。
少しでもお楽しみいただければ嬉しいです。
コメントありがとうございました。(*⌒▽⌒*)♪

2011/09/14 (Wed) 00:54 | REPLY |   

此花咲耶  

千菊丸 さま

> 此花さま、お久しぶりです。

こんにちは(〃^∇^)お久しぶりです。

> 舞台は会津へと移ったのですね。
> 悲劇の地が再び心ない噂によって傷つけられようとしていることが、辛いです。

はい、福島県のどこかだと思っていただきたいです。
大好きな地は、まだ一度しか行ったことがないのですが、いっそ嫁に行きたかったです。(`・ω・´)←迷惑!

> 風評被害を減らすためにも、いつか会津に行ってみたいと思います。

殆ど会津は関係なくて、観光に差し支えないはずです。少しずつですが、お客さまも帰ってきつつあるみたいです。モデルにした温泉宿の、宿泊状況を拝見したら、空きが僅かという日がいっぱいで嬉しくなりました。

> 三崎と源七郎は、もしかして・・と思ってしまいます。

Σ( ̄口 ̄*) ば・・・ばれてる?

時を超えて、甘くなればいいなと思っています。
コメントありがとうございました。(*⌒▽⌒*)♪

2011/09/14 (Wed) 00:51 | REPLY |   

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2011/09/13 (Tue) 22:29 | REPLY |   

千菊丸  

お久しぶりです。

此花さま、お久しぶりです。

舞台は会津へと移ったのですね。
悲劇の地が再び心ない噂によって傷つけられようとしていることが、辛いです。

風評被害を減らすためにも、いつか会津に行ってみたいと思います。

三崎と源七郎は、もしかして・・と思ってしまいます。

2011/09/13 (Tue) 21:38 | EDIT | REPLY |   

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