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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 25 

性急に流れる時を、止める手立ては誰にもない。

おれは毎朝、窓を全開にし冷気を浴びながら、西の山に峰雪がかかるのを待った。
「西の山に峰雪が積もったら…。」あれは、西の山で待っているという意味じゃない。
再び、雪男…思いを残した儚い六花が結晶するはずの、厳しい冬が近づいていた。
交わした約束は、きちんと守られるのだろうか。

「リツカ・・・いつ、会える?」

頬が濡れているのは、空から落ちてきた雨粒のせいだ。
涙なんかじゃない。

「先輩!」

「三崎。忘れ物はないか?」

「ないです。」

三崎の気持ちが弾んでいるのはおれと二人で、旅行に行くからだ。
だが、きっとパパ…副社長は、三崎に打ち明けられて以来、心中穏やかではなかったはずだ。おれのことを心の中で五回位は八つ裂きにしたに違いない。
パパの大事なみぃたん(三崎)が、親から離れて初めて好きな奴(おれ)と旅行に行くと言い出したのを止められるはずもなかった。三崎は本当に仕事をよく頑張っていたし、涙目で上目づかいに見つめる「お願い」を無下にする勇気は副社長にはないはずだ。

大きな荷物を抱えた三崎の向こうに、苦虫をかみつぶした副社長の姿が見えておれは思わず吹きそうになった。
なんだかんだ言いながら、運転手任せにもしないでここまで乗せてきたらしい。視線で人を殺せるなら、副社長はきっと迷うことなく刃に変えただろう。
たかだか2泊3日の旅行に(しかも国内だ)、三崎はパパと悲壮なまでの別れの抱擁を交わしおれの元にやってきた。

「おい。何で荷物こんなに多いんだ?スーツケース、二個って。着替えのぱんつだけでいいだろう?冬だから、もう汗もかかないし…。」

「先輩、何言ってるんですか。道中何が有るかわかりませんよ。思いつく限りのものを詰めたらこうなりました。先輩の分もいろいろ持ってきましたから安心してください。風邪薬とお腹の薬と、湿布薬も…。」

「枕も入れてきたのか?違うか?いつも一緒に寝ているクマのぷーさんとか?」

一瞬、強張って顔色が変わったぞ。冗談を振ったつもりだったんだ、まじか…?

「ぷーさんなんか、連れてくるわけないじゃないですか。ぼくのこと、いくつだと思ってるんですか、もう~。」

そうか、思ったよりも大人なんだな、と笑顔を向けたら、近づくなと言われたらしい副社長が何やらぶんぶんと振り回し大声を上げた。

「みぃ…深雪!これ、連れて行かないのかーー?夜、眠れなくても知らないぞー!」

「もう~…、パ…親父ったら。いつまでたっても子ども扱いなんだからっ!」

ぶつくさ言いながら走って行った三崎は、何やらやりあっていたがやがて手に下げた大きなボストンバッグの口を開くと、副社長がはるばる持って来た何かを隠す様に入れて戻ってきた。晴れ晴れと紅潮した笑顔は、断りきれなかったと言う言い訳を手にしていた。
くまではなく…うさぎ…だった。
若干の先行きの不安を残しつつ、ともかく出立だ。

*****

初めて降り立った東北の駅で、おれは深く呼吸をした。広がる山々が、初めての風景のはずなのにじわりとぼやけた。

「懐かしいな…。山の匂いだ。」

三崎も何も言わず、周囲の山々を見やっていた。
大きく見開いた目から、知らず零れ落ちる滴…。

「なん…で…?初めて来た場所なのに…。先輩、ぼく、ここを知ってます。」

「ああ、おれもだ。」と、声を掛け荷物を持ち上げた。





(´・ω・`) 副社長:「みぃたん~…心配だからパパ付いて行こうかな。」

ヾ(。`Д´。)ノ三崎:「何言ってんの!新婚旅行にパパがついてきてどうするの!!」

Σ( ̄口 ̄*) 柳:「し…新婚…って、違うだろ。ただの旅行…。」

(´;ω;`) 三崎:「せ、先輩~。違うの~?」

(〃▽〃) 柳:「ま、そんなもんかな~?」

(*ノ▽ノ)キャ~ッ 三崎:「ぃや~ん。らぶらぶ~」

( *`ω´) 副社長:「むかつく~…(死んで来い、柳!)」

急展開です。
昨日は、お休みしてしまいました。すまぬ~・・・。
もう少し、頑張ります。(`・ω・´)

今日は満月です。
輝夜が月に帰りました。←CM~

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