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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 20 

ロマンチックな展開を台無しにしたおれは、三崎を追いかけた。
階段を身軽に駆け下りる小猿のような三崎を、玄関ホールでやっと捕まえた。
ちくしょう、殴られた頬がじんじんする。

「こら、逃げるな、三崎。言いたいことがあるなら、逃げてないできちんと言え。」

すっぽりとおれの腕の中に収まった三崎は、くると身を返しおれに抱きついてきた。

「…薄情で不実な先輩。ぼく…やっぱり、先輩が好きです。」

「なんだよ、それ。ひどいな。」

三崎の目元から滴り落ちる涙をぺろりと舐めてやりながら、エレベーターの中に引きこみ、三崎の知らない深いキスをする。唇の端に付いた人形焼きのあんこは、甘さ控えめだった…。
上気した三崎の、真っ直ぐな視線がおれを射すくめていた。

「…教えてください。ぼくは、いなくなった雪男さんの身代わりですか?」

「そんなわけないだろう。おれから雪男に、あいつの大切な源七郎の身代わりになってやると言ったんだよ。だが、そんな話は叶わなかったよ。おれはおれでしかなくて、誰かの代わりになんてなりようがない。誰かの代わりになんて誰もなれないさ。そうだろう…?三崎も三崎以外の何者でもない。」

思い付く限りの甘い言葉を三崎に浴びせながら、おれは細心の注意を払って三崎に優しくした。潤んだ瞳を向けて、こくりと三崎は肯いた。
今更だが、自分の恋愛経験の乏しいのに気が付く。学生時代の濃い友人関係は、どこか疑似恋愛のようでそれだけで日々が楽しくて、今は仕事に追われて女性と付き合おうと思わなかった気がする。
周囲に女性がいなかったわけではないから、その気にならなかっただけなのか、それとも…まあ、いい。なるように、なれ。
三崎の肌は、吸い付くように肌理が細かく、触り心地はすこぶる良かった。勿論、男なんで、脂肪が少なくて肩や腰は骨がましかったけれど…。

「なぁ…風呂へ行って来いよ。走って汗かいただろう…?肌が湿ってる。しょっぱいぞ。」

ぺろりと首筋を舐め上げてやった。

「や…っ、先輩も一緒に入りますか?」

「ば~か。重ならないと、足伸ばせないぞ、いいのか?」

そんな、ガキみたいなやり取りをしながら、おれは脳内で先に三崎を剥いていた。薄い筋肉の乗ったしなやかな身体。まろみのない乳に、おれは発情できるのだろうか…?

「このスーツ、吊るしのウオッシャブルだから、洗濯機貸してください。放り込んだら風アイロンとかの奴ですよね。」

「ああ。」

腰にタオルを巻いた三崎が、風呂場から声を掛けてきた。艶めかしい三崎の鎖骨に…どっきゅん。
思わず、ぱんつの中身を褒めてやった。
大丈夫みたいだ、おれ…というか、節操ないだけなんじゃね…?

洗濯機の静かな音を聞きながら、おれと湯上がりたまご肌の三崎は睦みあった。愛し合うと言うには、御幣がある。三崎を可愛いとは思って居るが、そこに愛があるかと聞かれれば、これから育つはずだと返事をするしかない。
全身全霊で愛すると言うよりも、まるで互いの相性を確かめ合うようなセクスだった。




(´・ω・`) ・・・。大した表現でもないのに、自然に書こうとするとむつかしいエチへの流れ。

がんばろう、日本。←むしろ、此花。

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