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紅蓮の虹・6 

爺さんはお抱え運転手に、となりから色々と細かく指示を出していた。

時折、車の後ろを気にしていたが、どこかの国の要人じゃあるまいし尾行なんてされるわけないじゃん。

それとも、俺が誘拐されてるのか・・・?

俺は、物覚えは悪い方じゃないけど、走った道はややこしかった。

まるで何かをまくように、薄闇の中何時間も走り、やがてコウモリとか、カラスが似合いそうな不気味なシルエットの

建物の前に車は横づけした。

まあ、暗くてよく見えなかったのが本当だけど、古びた別荘っての?

やたらでかい洋館だった。

車が停まったと同時に、家に明かりがついた。


誰かが合図したと思えるようなタイミングで、一気に全ての部屋に灯が入り、俺はおどろいて爺さんをまじまじと見つ

めた。

「驚かせてしまいましたか?」

「申し訳ございません。旦那様は、普段灯をお使いにならないもので。」

どういうことだ・・?

おいおい、どこかのドラマみたいに、実はあなたは吸血鬼の息子ですなんてオチは要らないぜ。

お日さまの下で、サッカーボールが友達の、健全な高校生(なりたて)なんですから。



「こちらの部屋で、旦那さまがお待ちです。」

ここは、悪態吐くべきなのか、俺。

別に寂しいとか思わなかったけど、多少の不便はあったしね。

たまに月を見上げて、涙ぐんだ夜もあったのさ。

それとも泣いてすがった方がいいのか?

・・・て言うか、親子ってどうすればいいんだ?

初めてできた肉親という存在に、俺は戸惑っていた。

脳内でシュミレーションをしてみたが、それは無用なものとすぐわかった。

あのさ。

うつし鏡って知ってる?

鏡の中で振り向いたそいつが駆け寄り、俺の父親だと名乗った。



髪と目の色が違うだけの、俺と似たような顔がそこにあった。

まるで双生児じゃね~か・・・?

多少、俺より老けてはいるんだろうけど、誰が見てもぜったい親子には見えないと思う。

せいぜい、兄弟といったところだ。

印象が違うのは、髪の色のせいかな。

そいつの髪は黒かった・・・染めてるのか・・・?

まじで、こいつが親父なのかよ。

思わず、後ずさった俺は軽くパニック。

「これまで、見つけられなくてすまなかったね。」

「会いたかった・・・わたしの虹。」

「げっ!」

頼む、俺にしがみついたこいつをはがしてくれ!

初めての抱擁が、なんで親父となんだ。

これならまだ、百合と抱き合ってる方がましだ。



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