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Archive: 2017年08月  1/1

16日から連載開始いたします(`・ω・´)

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タイトルは「明けない夜の向こう側」です。お盆近くになりますと、戦争の話や、空襲の話、原爆の話が、一過性の話題のように連日メディアで流れてきます。書いてみたい素材ではありましたが、きちんと書くには調べることが多すぎて、ちょっとハードルが高くて二の足を踏んでおりました。***着地点は、とうに決まっておりますが、そこまで到達するのに手間取りました。毎日更新は、ちょっと無理があるので二、三日に一度の更新に...

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明けない夜の向こう側 1

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上野にある地下道で、高い少年の声が響いた。「逃げろーーーっ!」「刈り込みだーー!」逃げ惑う小さな影と、彼らに襲い掛かる捕獲者たちの足音が入り乱れて響く。怒声と泣き声が、地下道の中で騒々しく共鳴していた。「刈り込み」というのは、捕まえた浮浪児を、トラックに放り込み各収容施設に送り込むことだ。まるで野犬狩りのように、一匹二匹と数えながら荷台に放り込まれた子供たちは、この先、劣悪な環境の収容先に放り込ま...

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明けない夜の向こう側 2

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櫂の背嚢(はいのう・背負う鞄)の中には、母親が持たせてくれた、わずかな食料が入っていた。少量の米と小豆、芋が、独りぼっちになった櫂の命を救った。母に貰った財布は肌着の中に隠し、誰かに荷物を奪われないように、細心の注意を払って櫂は、鞄を枕にして眠った。集まってきた子供たちは、不屈の精神力を発揮した。そうしなければ生きていけないと、本能で知っていたかのかもしれない。昨日までそこで生きていた子供が、次の...

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明けない夜の向こう側 3

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折角、親が迎えに来ても劣悪な環境で、すでに命を落としていた者も大勢いた。盗んだ残飯が腐敗していて、何日も腹痛と激しい嘔吐に苦しみながら死んだ一郎。「小父さん……一郎は……二週間くらい前に死んだんだ」「死んだ……?」「ああ。病気になったんだ……」何も食べる物がなくて、三日も何も食べられなくて、犬も食わなかった古い残飯を食ったんだとは言えなかった。「もう少し、早く捜せたら生きていたのか……あぁ、一郎……父ちゃんが...

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ま……間違えました~(´;ω;`)ウゥゥ

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火曜日の九時に上がるはずが、月曜日の九時にあがってました。さっき、確認して気が付きました。とうとう……予約投稿もまともにできないあんぽんたんに……(´・ω・`)←前から~すみません。次回は木曜日更新予定です。(`・ω・´)...

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明けない夜の向こう側 4

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上野に立ち戻った櫂と陸は、隠し持った食料と銭でなんとか暮らしていた。時々、買い出し帰りの通行人から、芋を安く売って貰って、拾った空き缶で煮てみたりもした。「今日も、固煮えだな。もう少し、水を入れればよかったな」「にいちゃ、平気。食べれるよ」陸は食べ物があるだけで嬉しそうだ。大抵は、生煮えで美味くはなかったが、腹が満たされればなんでもよかった。だが、平穏な日々は長くは続かない。何度目かの刈り込みに遭...

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明けない夜の向こう側 5

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櫂たちは、自分たちで飯を作り掃除をし、近くの農家の草取りをした。夕暮れになると、僅かばかりの食料を日当代わりに貰い、それを施設の子供たちみんなで食べる自給自足のような日々だった。櫂は他の子どもたちに比べると、体も大きかったので、自然と大人がするような重労働を強いられていた。施設長は、すまないねと櫂をねぎらってくれた。施設長自身も子供らと共に、農家で飼っている馬や牛の為に、近くの川から何杯も水を汲み...

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明けない夜の向こう側 6

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出かけていた施設長が、ある日、帰宅すると大声で櫂を呼んだ。「櫂!学校に行けるぞ!」「え?本当」「ああ。皆揃って村の小学校に通ってもいいそうだ。校長先生が約束してくれた」「やったあ!」学校に通うのは、櫂達の望みだった。三万人を越える戦争孤児を、そのままにしてはいけないと、政府の教育に携わる者も考え始めていたらしい。厚生省内に孤児の為の部署が設置され、福祉上の観点からの対策に取り組むことになっていた。...

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明けない夜の向こう側 7

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施設の子たちの学力は、めきめきと上がった。そればかりか、徒競争や掃除さえも村の子には負けなかった。歯を食いしばって努力した結果、やがて施設の子を見習えという声が、周囲や校長からも出るようになった。施設の職員も驚いていた。どの子も普通の子で、とりたてて優秀なわけではない。しかし、どの学年の子供もほかの子たちと比べると、際立っていた。他の子よりも努力しただけだったが、自分たちにもやればできると自信につ...

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