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Archive: 2017年01月  1/5

年始のご挨拶

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いつもお読みいただき、ありがとうございます。穏やかなお正月です。現在、作品を直しながら再掲しています。いっそお引越しをした方が、作業が簡単だったかもしれません。ですが、いただいた沢山の感想や優しいコメントを全て大切にしたいので、頑張って続けてゆくつもりです。現在、BL小説人気ブログランキングと、B-LOVERs★LINK、、fc2ブログランキングに登録しております。作業が終れば、通常営業に戻るつもりですので、今...

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杏樹と蘇芳(平安) 3

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平安のころの話である。三人の旅の理由を聞き、船頭はいたく同情した。徒歩で陸路をはるばる行くよりも、船で海路を行った方がはるかに早く筑紫へ着くでしょうと親身に勧めてくれた。優しい言葉を鵜呑みにして、世間知らずの一行が小舟に乗り込もうとしたところ、もう一人の船頭が母はこちらへ乗るのだよと言う。「さあさあ。若い者はそちらに、母御はこちらにお乗りなさいまし」船が傾くからと言われ、そうしたものの小舟は川の支...

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杏樹と蘇芳(平安) 4

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平安のころの話である。「ならば、麗しい兄上の本気を見せて貰おうかな。次郎!弟の方を連れてゆき、飯を食わせてやれ。」引き離されると知り、弟は抗った。「蘇芳は兄上とご一緒でなければ、いやです」「心配せずとも大丈夫だよ、蘇芳。兄さまは山椒大夫さまと少しお話をするだけだから」「嘘です。あやつらは、兄上に酷いことをするつもりなんだ。兄上……」青ざめた杏樹の袖を引き、蘇芳は傍を離れなかった。杏樹はゆっくりと、蘇...

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杏樹と蘇芳(平安) 5

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平安のころの話である。その夜、約束通り寝所に現れた杏樹に、次郎は思わず眉を曇らせた。まさか、本当に自分から寝所へと足を運ぶ事はあるまいと思っていた。何も知らない無垢な美童を哀れに思い、そのまま来ずとも見逃してやろうと思っていた。これまで人買い、山椒大夫の元に連れてこられたものは、最初は殊勝でもすぐに自分の事だけを考える。次郎が抱いたものも皆そうであった。媚とへつらいを浮かべ、おもねる仕草で次郎を誘...

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杏樹と蘇芳(平安) 6

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平安のころの話である。兄の消えた部屋の外で、蘇芳はじっと息をひそめていた。知らずにいつか、頬を涙が伝う。ぽたぽたと落ちた水滴は、やがて廊下で小さな溜まりになった。耳を覆っても、聞きたくない声は漏れ聞こえて来る。「ああぁ……っ、あぁ……っ……」板戸の向こうから漏れ聞こえる、兄の引きつるような苦しげな声が、蘇芳の胸を苦しくさせた。「あに……うえ……っ」泣き声が中に聞こえないように、口を覆って蘇芳はその場に突っ伏...

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杏樹と蘇芳(平安) 7

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平安のころの話である。次郎は雄芯から溢れた白い精を、杏樹の差し出した布に吐き出し、大きく一つ息を吐いた。栗の花の匂いが、辺りにどっとたち込めた気がする。「いずれは、これをお前に受け止めてもらう」「は……い」「わしの指に喰らい付いた、そのきつい穴を広げて使う。お前は何も知らないだろうが、女子と違って、男の場合はそこを使う」「はい」「いつかは水飴を舐めるように、わしの物を口淫せよ」「……今宵はお役にたてず...

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杏樹と蘇芳(平安) 8

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平安のころの話である。蘇芳を送った後も、杏樹は非力な弟が心配でならなかった。屋根をふく材料の萱(かや)はそれ自体は軽いものだが、籠いっぱいに入れるとかなりの重さになる。葉の縁で指を切りはしないだろうかと、気をもんだ。「どうした、杏樹。蘇芳が心配か?」杏樹は物言いたげな顔で、問いかけた次郎の方を見やった。「夕刻にならないと、萱刈りは帰ってはこないぞ。荷車に山と積み上げて、牛が曳くほどの荷を作るのだ」...

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杏樹と蘇芳(平安) 9

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平安のころの話である。杏樹の細首を押さえつけると、山椒大夫は胸にどっと腰を下ろし動けなくした。火桶から焼きごてを取り上げると、じっと杏樹を見つめ気は変わらぬかと問いかける。地に転がった杏樹は、緊張しながらも静かに答えた。「変わりませぬ。蘇芳の代わりに、この兄が咎は受けます」「そうか。望みとあらば仕方あるまい」顔色も変えず山椒大夫は、杏樹の額に取り上げた焼きごてを押しつけた。じじ・・・と、肉の焦げる...

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杏樹と蘇芳(平安) 10

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平安のころの話である。山椒大夫は傷痕の残らなかった杏樹を見ても、何も言わなかった。むしろ綺麗な顔に傷を作らずに済んだと、深く安堵していたのは、その場で兄の狼藉を止められなかった次郎の方だ。「良かったのう、杏樹。観音様のおかげで、元の綺麗な顔のままじゃ」「はい、次郎さま。ありがたいことでございます」熱の引いた杏樹は変わらぬ笑みを浮かべ、心配する次郎の胸に身体を預けた。次の日にはもう、塩を汲みに出かけ...

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杏樹と蘇芳(平安) 11

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平安のころの話である。「塩の仲買人が都からお越しじゃ。挨拶せよ」広間に呼ばれて、杏樹はかしこまっていた。悪い予感は当たるものだと、内心密かに思っていた。藻塩の販路拡大の為、次郎は船に乗り遠く越後の方まで出かけていたから、しばらく館には帰らない。山椒大夫があえて遠くへ行かせたと、杏樹は思っていた。絡みつくような、山椒大夫の視線に、どんな思惑があるのか杏樹にはわからなかったけれど、里の住人以外の人間と...

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