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Archive: 2015年07月  1/1

終(つい)の花 東京編 21

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「人斬り包丁は、もはや用済みの文明開化のご時世だからな。親子三人、地に足をつけて暮らせるなら、どんな仕事でも構わないとわたしも思う。」「はい。あの……それと、余計なことかと思ったのですが、何かの時にはあたしを頼ってほしくてここまで参りました。病人のお世話は、大変なこともあるでしょうし、邏卒はこれから泊まり込みで訓練があると聞きました。この子を誰かに預けてでも、あたしは恩人の一衛さまのお世話がしたいで...

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終(つい)の花 東京編 22

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警視庁は騒然としていた。このころ、武士階級を廃止して特権を奪われた不平士族が、各地で反乱を起こしていた。廃藩置県で家禄を奪われ、廃刀令で魂とも言える刀を奪われ、旧士族の不平不満は溜まりに溜まっていた。西郷隆盛、江藤新平、板垣退助など、新政府と袂を分かつ維新の志士たちも出始め、旧士族に影響を与えた。九州での暴動については直正も知っていたが、また新しく火種が起きたということだった。全国に暴動が飛び火す...

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終(つい)の花 東京編 23

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江藤新平率いる佐賀の乱が鎮圧されてから二年ほどの間に、西日本では多くの士族の反乱が続いた。佐賀、熊本、福岡と鎮圧され、敗れて行き場を失った多くの士族は、故郷を捨て西郷のいる鹿児島へと集結する。西南の役は、新政府に虐げられた武士達の、やり場のない最期の意地を西郷が受け止めて、仕方なく引き起こした内乱である。実は西郷も、新政府の中で孤立していた。一度は政府の中枢にいた西郷は、盟友大久保利通と政治を巡っ...

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終(つい)の花 東京編 24

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ふっと微笑んで、直正は顔を近づけてやった。一衛は病がうつるから近寄ってはいけませんと嫌がるが、いまさら失うものはない。じっと一衛が直正を見つめる。「直さまが見つけた死に場所は、薩摩ですか?」「一衛……」一衛にはわかっていた。帝都までこうして流れてきたが、いつも直正の胸には会津の汚名を晴らしたいと言う思いがあった。それは今や、散り散りになったすべての会津藩士の切なる願いだったかもしれない。「やっと一矢...

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終(つい)の花 東京編 25

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目を輝かせて覗き込む一衛の姿に、懐かしさがこみ上げる。「ほら。出来た。今度、一太郎が来たら窓から落としてやるといい。風に乗って、少しは飛ぶだろう。」「そうします……」ふっと小さく息をつくと、一衛は光る刃物を見つめた。「直さま……その肥後守(小刀)を……少しの間、貸してください。」「駄目だ。」「借りるだけです……から……」「駄目だと言うのに。一衛の考えることが、わたしにわからないとでも思うのか。」もみあって取...

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終(つい)の花 東京編 26

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直正の仕えた元会津藩家老佐川官兵衛は、鬼人といわれるほどの働きをし、明治政府の勝利に貢献した。だが、その姿は相馬直正と共に、帝都での戦勝の行列に並ぶ事は無かった。今も南阿蘇の地には、佐川に対する感謝の碑が十数か所も立っている。地元の村人がどれだけ好意的だったか、その数が示している。鬼佐川は、そのあだ名を本名と勘違いした村人から「鬼さま」と呼ばれ、慕われていた。阿蘇につくと配下の巡査たちを呼び、決し...

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終(つい)の花 東京編 27

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峠の道は、地の利を得た薩摩軍が草むらに潜み、思わぬ苦戦を強いられた。直正たちは、胸まで茂った草をかき分け進んだ。「鳴子に触れないように気を付けろ!そこかしこに下げてあるぞ。気取られぬように、ゆっくりと進め。」「はい!」「敵本陣は、おそらくこの先だ。」「高台から見つけられぬよう、腰を低くして行け。」縦横無尽に張り巡らされた鳴子に触れたが最後、敵に味方の場所を知られてしまう。注意深く進んでいた佐川の軍...

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終(つい)の花 東京編 28 【最終話】

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同じ時。まどろんでいた一衛は、下から呼びかける子供の声に気付いた。直正が九州に出立して以来、気の利くお染が時々差し入れをもって島原屋に顔を出す。食欲はなく、会うことも許されなかったが、気持ちがうれしかった。独りで横になっていると、いいことはあまり考えない。不安ばかりが胸に迫ってくる。直正が戦で倒れ、一人残されたらと思うと涙が溢れ胸が痛くなるばかりだった。「かずえさま~、かずえさま~。来ましたよ~。...

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終(つい)の花   【あとがき】

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長らくお読みいただきありがとうございます。拍手もポチもありがとうございます。何とか着地できました。(〃゚∇゚〃) でも、正直言ってしまうと、筆力不足を感じています。時代物は約束事が多いのですが、まだまだ勉強できていません。どのエピソードも、もう少し書き方があったのではないか、違う表現があったのではないかと思ってしまいます。好きな素材は、うまく表現できないから書かないほうがいいと言う話は知っていましたが...

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【Café アヴェク・トワへようこそ】始めます

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暑い日が続いております。皆さま、お変わりないでしょうか。お久しぶり~ふなのでっす。(〃゚∇゚〃) 明日から新しい連載を開始したいと思います。舞台は新しくカフェをオープンするところから始まります。主人公は、隼と周二のシリーズのチョイ役、「松本」です。これまであまり、いい役どころではなかった彼も、ついに主役です。そろそろ独り立ちさせてみようと、兄分の木本が店を持たせることを思いつきました。彼らの所属する木庭...

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