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Archive: 2013年06月  1/3

優しい封印 15

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何て言って良いかわからないと涙ぐんだ、涼介の事が少しずつ分かってきた。「月虹さん~…」「なんて顔してやがる。お袋さんが逢いに来てるってのに、そんな面で会わせるわけにはいかないな。ほら、せっかく来たんだから入って洗って来い。」六郎に借りたぶかぶかの派手なジャージをすぽんと脱がせてしまうと、月虹は涼介を軽々と抱えて湯船に放り込んだ。「わ~~っ!」派手な水音を立てて、頭から落とされた涼介だった。「うわっ...

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優しい封印 16

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もう何ともなかったが、涼介は眠ったふりをして、襖越しに大人たちの話を聞いて居た。母にもどんな顔をして会えばいいのか、正直判らない。涼介は父を護れなかったことを、母に詫びたかった。「……川口由紀子と申します。この度は涼介が御厄介になりまして、お礼の言葉もございません。本当にありがとうございました。息子まで失っていたら、私はもう立ってはいられませんでした。」鴨嶋劉二郎は、手を付いた母親をねぎらった。「袖...

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優しい封印 17

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月虹はノートパソコンを持って来て、母親と鴨嶋に見せた。「ちょっと、ご覧になってください。彫り物は、個人でいろいろ工夫しますし、彫師によっても違ってきます。ですから、同じ物はないのですが、たぶん涼介が見たのはこの手じゃないかと思います。どうですか?おやっさん。」「どら、見せてみな。……いや、話を聞くと間島の背負ってるのは、龍魚や滝登りじゃねぇな。」覗き込んだ鴨嶋は、器用にマウスを扱うと、あるページで止...

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優しい封印 18

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涼介は、駅へと母を送って行った。それまでは、普通の生活に戻る母に心配を掛けないようにと、明るく振舞っていたが、駅が近づいてくると声のトーンが落ちた。「お母さん。じいちゃん達がきっと、力になってくれる。お父さんも、諦めてないと思う。だから……だからさ……」母も優しい笑顔を向けた。「お母さんは大丈夫よ。仕事がお休みの日には、涼介の好きなもの作って会いに来るわね。涼介が優しい人たちと一緒で、本当に良かったと...

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優しい封印 19

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「おやっさん。どうやら間島ってのはムショから出た後すぐに、向坂不動産のマンションに入っているみたいです。」「向坂不動産は、関東興産の二つ名だな。周囲が極道マンションって、言ってる所だな。入ってるのも大方極道だろう?」月虹は肯いた。「少しは一般人……食い詰めたライターなんぞが入ってるようですが、まっとうな神経の持ち主なら、知らずにうっかり入ってもすぐに逃げ出すでしょうね。」「違いねぇ。恐ろしい御面相の...

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優しい封印 20

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涼介の母親が越して来る日の朝、劉二郎は月虹を連れて法要に参列した。一度は出席を断った鴨嶋劉二郎が、関東興産先代の法要に顔を出すと言う話は、周囲に色々な憶測を呼んだ。いつも傍らにいる月虹の存在もあり、ついに引退を決意したのではないかと、顔役の面々は噂した。高齢とはいえ最後の侠客と言われる鴨嶋劉二郎の人気は、極道の間でも高い。「鴨嶋の叔父貴、ご苦労様です。」ざっと並んだ黒服の男たちが、並んで頭を下げた...

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優しい封印 21

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鴨嶋劉二郎の乾坤一擲(けんこんいってき)の見せ場が来た。ずいと膝を進めて、劉二郎は向坂に返杯した。鋭い眼光の前に、向坂は内心圧倒されている。懐の深さ、胆力、どれを取っても、目の前の年寄りの方が自分よりも数段上だと認めざるを得ない。くぐってきた修羅場の質が違う……と思った。「なぁ、坊よ。大昔の事だがな、俺ぁ、ムショに行ってる間にバシタをヒロポンで失くしてなぁ……。死んだ向坂が跡目を継ぐときに、言ってくれ...

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優しい封印 22

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男の向かったのは、劉二郎の想像通りなら、おそらく間島の所だった。鴨嶋の話を聞いて、側近が様子を見に行ったに違いない。*****「話をして分かったが、坊には情がある。この年寄りはこの場に出てきて、そう思ったぜ。頭のいい切れ者だとは聞いて居たが、それだけじゃねぇ。おめぇは先代や俺をはるかにしのぐ器だ。俺ぁ、足元にも及ばねぇや。」「鴨嶋の叔父貴……勿体無いお言葉です。」満座の中で褒められて、悪い気のする者...

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優しい封印 23

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出来ればすぐにでも、涼介の父親を救いに行きたいと言う鴨嶋劉二郎の願いは、あっさりと聞き入れられた。「鴨嶋の叔父貴。間島が興奮して暴れると厄介だ。うちの組から何人か助っ人を付けてやりますから。」「それには及ばねぇよ。手向かいするなって一本入れておいてくれればいい。人手なら何とかなるだろう?」振られた月虹は、その場に居る連中に向けて、蕩けるような営業用の極上の微笑を浮かべた。「はい。こちらのお兄さん方...

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優しい封印 24

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現場は汗と白濁と血にまみれ、臭気漂う惨憺たるものだった。間島の部屋に到着したとき、まだカメラは音を立てて回っていた。喧嘩や修羅場には慣れている六郎が、異様な光景に息をのんだ。六郎と数人の助っ人は、思わず寒気を感じ肌を泡立てながらそっと様子を伺った。鍵はかかっていなかったが、踏み込むには、間島が求に近すぎた。何をするか分からない。淫具に拘束された求が、意識を取り戻し、またすぐに痙攣しながら意識を手放...

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