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Archive: 2013年05月  1/2

いつもお傍に 【作品概要】

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「夜の虹」の番外編です。仙道家に代々仕える執事、金剛氏郷(こんごううじさと)は、母親の元を離れて仙道家にやってきた月虹の教育係になっていた。今は亡き月虹の父親、仙道冬月(せんどうとうげつ)と金剛氏郷は、主人と使用人という立場を超えてひそかに愛し合っていた。冬月に託された愛息の教育と、垣間見える愛する人の面差しに、執事の胸は騒ぐ……月虹の幼いころのエピソードです。三話完結の短編です。しばらく更新できま...

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いつもお傍に 1

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それは、月虹が華桜陰学園初等科に入学する前年の話だった。6歳になったばかりの月虹は、本妻の子供よりも出来が良いとの理由で、母親から引き離されて一人、仙道本家に引き取られて来ていた。父の早逝で、母親と別れる日は早まった。あの日、母と暮らしていた小さなアパートを引き払って以来、月虹は母に会ったことはない。幼い頃から、いつかはこの日が来ることを、母親に言い含められてはいたが、たまに顔を見せる父親の家に行...

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いつもお傍に 2

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次期当主に選ばれた月虹は、執事の金剛を相手に、護身術の練習をしていた。仙道家の跡取りともなれば、誘拐の危険にさらされる確率も高い。自らの身を守る護身術は必須だった。「悪を野放しにはしないぞ!とぉっ!変身っ!」「よし、来いっレッド。」まるで戦隊ごっこの延長のようだが、金剛は月虹が日々の遊びの中で、無理なく色々なことを覚えるように苦心していた。怪我をしないように床一面にマットレスを敷き詰め、大広間に飾...

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いつもお傍に 3

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金剛氏郷の忠誠は、月虹が成長し華桜陰学園高等部に進み、初めて真実の恋を知っても変わることはなかった。奔放に育った月虹の全てを受け止めて、金剛氏郷は常に無償の愛を貫いた。恋人を失って泣きぬれる月虹に、氏郷は最後の指南をした。「月虹さま。いっそ仙道家を出て、広く世間をご覧になってはいかがですか?」「ぼくに……家を出ろと?高校をやめて?」「はい。月虹さまには、客観的にご自分を振り返る時間が必要だと、金剛は...

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いつもお傍に 4 【最終話】

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数年後、月虹が身を寄せている鴨嶋組に、尋ね人があった。「仙道月虹さんをお願いいたします。」「は……い?え~と……?」舎弟の涼介は、慇懃に頭を下げた背の高い男に、思わず反射的に頭を下げた。「お初にお目にかかります。わたくしは、こういうものです。」差し出された名刺には、仙道家筆頭執事、金剛氏郷(こんごううじさと)と書かれてあった。涼介の知らない月虹の顔を知る男だった。「兄貴……の家の執事さん?」年齢は40歳...

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優しい封印 【作品概要】

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仙道月虹の舎弟、川口涼介は月虹に出会う前は、どこにでもいる普通の少年だった。*****涼介が家を出る前、母が涼介に紹介した男は、間島求(まじまもとむ)という母よりも6歳年下の男だった優しい再婚相手と暮らすうち、涼介は初めて父親の温もりを知ったような気がしていたが、許しを求めに行った田舎の両親に、二人の結婚が祝福されることはなかった。散々に侮辱された妻を、間島求は庇い、全てを捨てて共に生きると誓う。...

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優しい封印 1

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どこにでもある話だと思う。父と離婚後、苦労して自分を育ててくれた母親が、あんたに逢わせたい人がいるのと打ち明けた。「それって、母ちゃん。再婚したいってこと?」恋をした少女のように、頬を染めて母は肯いた。「その人とは仕事先で知り合ったの。涼介の事話したら、仲よくできると嬉しいなって言うの。再婚とか堅苦しく考えないで、自分と友達になって欲しいなって。」「いくつくらいの人なの?」「母ちゃんより6歳年下な...

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優しい封印 2

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母の恋人は、間島求(まじまもとむ)と名乗った。「求でいいよ。お母さんと結婚するけど、涼介君に無理やり「お父さん」なんて呼ばせたくないからね。いつか、自然にそう呼んでくれたら嬉しいけど。」無理強いしない間島に、涼介は直ぐに懐き、しばらく経つとごく自然に「お父さん」と呼ぶようになった。父親と暮らした記憶が、ほとんど皆無だったのもあったかもしれない。涼介が何気なく初めてお父さんと呼んだ時、求は驚いたよう...

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優しい封印 3

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そんな会話を涼介が知る由もなかったが、学校から帰宅したとき、何もない部屋で母が一人泣いていたことがあった。「え?母ちゃん、泣いてんの?どうしたの?求さんと喧嘩でもしたのか?」「ああ、涼介、お帰りなさい。あのね、求さんのご実家に、ご挨拶に行って来たの。あたしは、結婚なんて形はどうでもいいって言ったんだけど……でも、あの人はご両親に別れる気はないって言ってくれたの。それがすごくうれしかったの。涼介……求さ...

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優しい封印 4

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母を送った後、作り置きのカレーで夕食を済ませ、涼介は塾へ向かった。「涼介君、帰ってきたら思いっきりゲームな!」「うん。母ちゃんがいないから、やりたい放題だな。おやつと夜食、買っといてね、お父さん。思いっきり夜更かしするから。」「よっし!今夜は寝かせないぞ~。」「なんだよ、それ。使い方を間違ってる気がするぞ。つか、おれもうすぐ受験だけどいいのかな~。」「たまには息抜きも必要だって。」二人、どこか弾ん...

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