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Archive: 2013年01月  1/3

あけましておめでとうございます

               あけましておめでとうございます。本年も、「里の野山に此花咲くや」どうぞよろしくお願いします。新しいお話は、澄川東吾のじいちゃんのお話になります。公家華族だったじいちゃんは、その昔華族制度が崩壊した時、大江戸(地下にある花街)に行くことになりました……。……というお話です。もう少し、待っててください。よろしくお願いします。        此花咲耶...

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落日の記憶 【作品概要】

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今回は、平成大江戸花魁物語の主人公、澄川東呉の祖父の若いころの話です。美老人、澄川財閥当主、澄川基尋が戦後、大江戸へ行った前後の頃の物語です。公家華族として何不自由のない暮らしを送っていた、柏宮基尋の生活は戦後一変しました。お金に困った多くの華族たちと同じように、苦労する父親(柏宮子爵)の窮状を見かねて、基尋は大江戸に行く決心をします。小姓の柳川浅黄を供に連れ、花菱楼の裏木戸をくぐった基尋の運命は...

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落日の記憶 1

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通いなれた洋館の螺旋階段を慌ただしく駆け上り、澄川財閥の直系、澄川東呉(すみかわとうご)は当主の部屋を訪ねた。大学を卒業してから、系列会社に入社以来既に数年の時が経っている。少年の面影を残し、東呉は26歳になっていた。「柳川さん。じいちゃんの具合はどうなの?」「ああ、東呉さま。少し高い熱が出ましたので、連絡させていただきました。今はお薬が良く効いて熱も平熱まで下がったようです。驚かせて申し訳ございま...

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落日の記憶 2

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かつて、華族と言う階層が有った。*****明治新政府が、公家、藩主諸侯、そして自分たちが特権を得る為に新しく作った華族制度は、大戦後GHQによって廃止され、それ以来華族階級の生活は一変することになる。平安時代から続く由緒正しき高貴な柏宮子爵家も例外ではなかった。50人もいた使用人も財政難で今や櫛の歯を抜くようにすっかり減っている。10万円以上(今の価値だと約5000万円以上)の財産を保有する華族に課せら...

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落日の記憶 3

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基尋は父の部屋の前で、一つ大きく息を吸った。普段、めったに直接顔を合わせることはない親子だった。「失礼いたします、おもうさま(お父さま)。基尋です。」「ああ、お入り。」「……とうとう、進退窮まってしまったよ。先祖伝来の土地を全て物納することになりそうだ。金庫の中に在る金は、価値の無いただの紙くずになってしまった。」「……そうですか。暎子お姉さまから頂いたお金を納めても、足りなかったのですか?」美貌で名...

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素敵な年賀状、いただきました(*⌒▽⌒*)♪

          いよいよ明日、沢木淳也が退院する。周二の家で過ごす最後の夜、隼はいつものひもぱんではなく、周二のぱんつを穿いていた。「うふふ~、周二くんとお揃いぱんつ~。」たった一枚しかないひもぱんつは、周二のお気に入りなのだが、洗濯が間に合わなくて一日おきに穿いている。「なぁ、隼。新しいひもぱん買いに行こうぜ。あれが一番似合うんだからさ。」以前、木本が隼の皮かむりを剥いた時、穿いてなさいと言...

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落日の記憶 4

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意を決して、ついに基尋は父に心の内を打ち明けた。「お父さま。基尋(もとひろ)に出来る事はありませんか?光尋(みつひろ)お兄さまは、戦場からやっとお帰りになりましたけど、ひどいお怪我をなすって療養中ですもの。ぼくが御家の為に何かできるのなら、おっしゃってください。……柏宮の屋敷を守る為なら何でも致します。おもうさま(お父さま)おたあさま(お母さま)に、これ以上のご苦労をおかけしたくありません。」「優し...

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落日の記憶 5

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基尋は記憶を探った。「花魁……?光尋お兄さまがお連れになっていた綺麗な方でしょうか。あの、前で帯を結んだ儚げな方……?」「そうだ。ああいう席に男芸者を上げるのはどうかと思ったのだが、光尋が今生で最後になるかもしれないから逢わせてくれと、頭を下げたのでな。遊びも知らない堅物だと思っていたが、たまに大江戸へ出かけていたようだ。」基尋はその時、酒席を離れた兄に紹介されて、雪華花魁とわずかに言葉を交わしていた...

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落日の記憶 6

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公家華族として何不自由のない暮らしをしてきた、柏宮男爵家の二男、柏宮基尋は思い詰めた顔をまっすぐに父親に向けていた。「もう、全てお話下さい。お父さま。基尋(もとひろ)は、何を聞いても驚きません。」「……しかし。」「よく考えた上で、お返事いたします。帝大病院に入院しているお兄さまの病院代のお支払いに、蔵の骨董品を二束三文で手放したのでしょう?お金が必要なのは基尋にもわかります。玄関の古伊万里の大皿もい...

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落日の記憶 7

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家を思う基尋は、何も知らなかった。基尋の手を曳きながら笑顔を向ける、本郷の宮と呼ばれる伯父には、昏(くら)い思惑があった。実は、縁戚の本郷宮は正室の子ではない。嫡男の早逝で、成人してから本郷宮を相続はしたものの、商家の出の側室腹風情と散々陰口をたたいた華族社会に溶け込めず、彼らをひどく憎んでいた。中でもその頃ずっと思い続けていた公家の姫君に、求婚しようとした矢先、あっさりと横合いから攫うように射止め...

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