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Archive: 2012年10月  1/3

流れる雲の果て……14

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BL的性行為の描写があります。閲覧にご注意ください。部屋に入ると美千緒がすぐに抱きしめて来た。そのまま、すぽんとシャツを脱がされてしまう。美千緒の性急さに、どこか意外な気がして、大二郎は慌てた。「み、美千緒さん……?どうしたの?」「舞台を見てたら、綺麗な梅川に欲情しちゃったんだよ……」「あ……っ。」誘うように濡れた瞳が、これまで見たことの無いほど扇情的だった。激しく打つ鼓動が、美千緒に聞こえる気がする。深...

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流れる雲の果て……15

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BL的性行為の描写があります。閲覧にご注意ください。このまま弾けてしまうのは嫌だったが、思い通りに制御できない。寄せ来る放出の誘惑に他愛もなく陥落した。「だ……めっ、ああっ、あっ……」震える腰が数度固く痙攣したようになって、大二郎は美千緒の口中に吐精した。ごく……と嚥下して微笑む美千緒を、大二郎は精一杯抱きしめて身体の下に引き込んだ。「どうしよう、美千緒さん……。美千緒さんがすっごくやらしい顔するから、おれ...

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流れる雲の果て……16

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薄く目を開ければ、何度か腰を打ち付けた大二郎の、のけぞった喉元が汗で白く光るのが見える。何て、可愛いんだろう……と美千緒はぼんやりと考えていた。覚えのある質量が、やがてぐんとかさを増して、そこがいっぱいになる。「あ……あ……、大ちゃん……」動きを合わせてやろうと思ったが、身体が思うように動かなかった。ふと、脳裡に医師の冷ややかな声が横切った。「いいですか?この際、はっきりと言いますが、身体に負担のかかる性...

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流れる雲の果て……17

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くすん……と、背後で洟をすする音が聞こえた。「美千緒さん。痩せてるね。」「そうだね。昔から食べても太らない性質なんだよ。貧相で嫌なんだけど、仕方ないね。」美千緒は、結局大二郎に後始末を任せて、そのまま布団に包まった。「大ちゃんは、もう劇団に戻った方が良いよ。遅くなったら明日の打ち合わせに間に合わなくなるだろう?」「でも……美千緒さんが心配だもの。」「今日は、ぼくはここでこのまま眠るから、明日又会おうね...

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流れる雲の果て……18

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美千緒が毎日、劇団醍醐の芝居を見に来た理由は、きっとこの男の持つ切れ長のくっきりとした目許にあるのだろう。「あの……もしよかったら、美千緒さんの話をおれも聞きたいから、劇団の方に来ませんか?美千緒さんは何も話してくれないから……おれ、何も知らなくて。それに、明日の朝、いつも通りご飯食べに来ると約束したし。」「あいつはちゃんと飯を食ってるのか……。そうか、良かった。」男は腰を曲げて両膝に手をつき、大きく息...

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流れる雲の果て……19

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尾関美千緒と松井聡は、大学時代の同級生だった。学部は違ったが、ゼミで出会った当初から不思議と話が合った。ある日、明治大正の頃の建物に興味があるんだと、打ち明けた美千緒に運命を感じた聡だった。友人は多かったが、ここまでウマの合う相手は初めてだった。静かな声で話す美千緒は、線が細くとも女性的なわけではなかったが、同期生の中でも端整な容貌で目立っていた。もっとも本人にはそんな自覚はなく、本当かどうかわか...

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流れる雲の果て……20

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幸せな大学時代を過ごした後、二人は別々の仕事に就いた。聡は外資系の会社に。美千緒はゼミの教授の紹介で、学芸員の職を得た。「一緒に住まないか?」言い出したのは聡だった。「離れていても、美千緒の事ばかり考えてしまうんだ。正直に言うと、傍に居ないと不安でたまらない。自分でもこれほど独占欲が強かったのかと、驚いているくらいなんだ。」「ぼくを好き……?本気でそう言ってるの?ぼくは、君の子供なんて産めないよ?」...

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流れる雲の果て……21

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静かに聞いて居た醍醐が、話の腰を折った。「本当のところは、どうだったんです?」「そんなことで、松井さんは先生の手を放しちまったんですか?そういうお人には見えませんが……。」「おれの気持ちは、美千緒と出会った時から変わりません。むしろ美千緒の抱えていることを聞いても、どんどんあいつが愛おしくなるばかりで、離れたいとか一度も考えたことはありませんでした。」「そうですか。安心しました。」「じゃあ、なんで美...

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流れる雲の果て……22

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「でも……」と、松井聡はうなだれた。「それからしばらくして、美千緒の具合が悪くなりました。先ほどお話した通り、二人で闘病してゆこうと相談して決めました。おれも働いていますし、美千緒が職場で入った保険もありましたから金銭面で困ったことはありません。」「ただ、おれのいないときに美千緒に、疎遠になっていた母親から電話があったみたいです。」「それは、金の無心ですか?」松井は驚いたようだったが、世間をわかって...

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流れる雲の果て……23

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かたかた……と階段を昇る音がするのに気付く。「聡……?」……のはずはない。あれほど愛してくれた恋人を裏切って、何も言わずに捨てて来たのは自分だった。具合の悪くなった時も、ずっと傍で励ましてくれた優しいかけがえのない恋人を、棄てた。自分の甘さに気付いて薄く笑ってしまう。「あぁ、大ちゃん……どうしたの?」 「美千緒さんはおれに言ったよ。言わなきゃわかんないよ……って。おれにしてほしいことを言葉にしろって言った。...

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