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Archive: 2012年01月  1/3

新年のご挨拶

旧年中は、拙ブログにお越しいただきありがとうございました。お読みいただき、とても幸せでした。たくさんの感想、コメントいただきました。すべて、此花の宝物です。皆様、ありがとうございました。とても励みになりました。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。                                 此花咲耶...

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淡雪となりて 6 【最終話】

一個師団の中の小隊を率いた大久保是道の挙げた小さな戦果は、苦戦続きの帝国陸軍にとっては大きなものだった。屍の山を築いていた日本軍は、ここに一つの糸口をこじあけ、蟻の一穴に28cm榴弾砲と共に肉弾攻撃を注いだ。弾薬も尽き、従軍した兵士の夥しい(おびただしい)肉体を犠牲にして203高地は、やっと陥落した。「大久保少尉。気が付かれましたか?」覗き込む下士官の顔が、詩音じゃないのに気が付いて是道は顔をしかめた。...

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花菱楼の緋桜 1

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まだ風も冷たい春先だというのに、十にもならない安曇(あづみ)は下帯ひとつで冷たい雪解け水の中に居た。ざぶりと潜り、水中で目を開くと眼前を川魚がついと通り過ぎる。水の中で逃げるなと叫んだら、どっと泡になった。安曇は、身重の母の為に魚を取ろうと必死なのだった。魚はするすると銛をかいくぐり、不慣れな安曇は息が続かなくなる。水面に浮かび上がると大きく息を求めた。「ぷはっ……!」薄日で温もった岩場に上がろうと...

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花菱楼の緋桜 2

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安曇が枕辺に座ったとき、母は難産で苦しみ抜いていた。子などいらぬと、産婆に向かって喚いていた。「母さま、どうぞお気を確かに。きっとまもなく遠くの父上もいらっしゃいますよ。しっかりなさって!」年の割に利発な安曇は、周囲の大人の噂を聞いて父が帰ってこない理由は、母にもあるのだろうと知っていた。炊事も洗濯も掃除も、妻らしいことの何もできない女は、今や主君という名の過去の遺物から下された無用の品物にすぎな...

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花菱楼の緋桜 3

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そっと裏口から外へ走り出ると、安曇は闇雲に走り出した。いつも赤子のむつきを洗う洗い場まで来ると、喰いしばった口からひゅっと嗚咽が漏れた。誰もいない所と、磯良の前でしか安曇は泣いたことがない。武家の子は、決して人前では泣かぬものと幼い頃より自然に身についていた。「父上……。どうして、わたしをお連れ下さらなかったのです。」「どうして安曇を一人、母さまの元に置いてゆかれたのです……。安曇は……もう、どうしてい...

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花菱楼の緋桜 4

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やがて安曇は、女衒の銀二に手を曳かれ、生まれ故郷を出た。帝都に着いて見上げた花菱楼の建物は、桟瓦葺の見たこともない黒漆塗りの二階建てで、安曇は張見世の華やかな紅の格子に目を瞠った。夕暮れになると雪洞を模した街灯がつけられ、あたりはまるで昼間のようになるという。「さあ。ぼんやり眺めていないで、お前はこっちから入るんだよ。」禿の見習いとして雇い入れられた安曇は、楼閣主の前で行儀よく手をつき挨拶を済ませ...

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花菱楼の緋桜 5

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「おや、できたのかい?可愛らしいこしらえだね。市松人形のようだ。」「あい。髪結いさんに綺麗にしていただきんした。」「赤い着物は初めてかい?」「……あい。紅もお振袖も初めてでありんす……。」「その大振袖は、兄さんが禿の時に来ていた物だよ。緋桜の方が色が白いから良く似合う。」緋桜は嬉しげに頬を染めた。素直に清潔な下着や着物がうれしかった。*****男が身売りをすると言えば、誰でも役者の卵が勤める陰間を思い...

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花菱楼の緋桜 6

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ぐいと引き寄せられると、浅木の膝の上に乗せられた格好になった。「あっ……あの……、一人で大丈夫です。洗えますから。」湯の中では身体は浮いて自由にならない。狼狽した緋桜は必死に身を捩った。確かめるように無言の浅木が全身を、あちこち撫でさすってゆく。逃れようとしても、緋桜の身体は抱え込まれたままだった。「は、なして下さい……っ!浅木兄……さん。ん~っ!」湯船で容易く体の向きを変えられ、口を吸われた。唇を割って...

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花菱楼の緋桜 7

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「……緋桜も……我慢しんす。早く、一人前にしてくんなまし。」「よし。いい料簡(りょうけん)だ。」下肢では、サボンの力を借りて滑る指が、狭い入口でずっと抜き差しされていた。緋桜は、浅木の話を聞いて、自分が借金の片に売られてきたことを思い出したらしい。一人前になるため必死に首を振って耐えていたが、やがて我慢できずに嗚咽が漏れた。緋桜の後孔は、指を受け入れても無垢な幼姿の皮かむりは身じろぎもせず、股間でただ細...

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花菱楼の緋桜 8

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青海花魁は、静かに禿を見つめていた。湯屋で辛い身体検めを受けても、覚悟を決めた緋桜はきちんと前を向いていた。涙の筋は残っていたが、面倒を見てくれる「兄さん」の前できちんとお行儀よく挨拶をし、運命を受け入れていた。強い子だと、青海花魁は思った。内心、ほっと安堵する。「青海兄さん。番頭新造の浅木兄さんに、ようく身体を洗っていただきんした。」「そうでありんしたか。わっちからもよくお礼を言っておきんしょう...

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