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Archive: 2011年09月  1/4

一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 15

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おれは、三崎に正直に言った。「さあ、話はついた。三崎も裏で、骨を折ってくれたんだろう?おかげで、首がつながったよ。ありがとう。」「いえ。これまでの先輩の働きが認められただけです。先輩の立ち上げたプロジェクトが専務の言葉を借りれば、今は金を産む鶏です。」三崎はおれを見上げたまま、懐の中に居た。その腰におれの手が添えられているのが、ちょっと笑える。普通、男に縋られたら飛んで離れるところなんだろうが、三...

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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 16

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ひたすら、自宅に向けて走った。脳内では、雪男がぽたぽたと溶けかけた氷の彫刻になっている。早く、早く、早く!ウサインボルトのように世界最速でおれは…、駆けた。あ、そういえばウサインボルトって、世界陸上フライング一発失格だったよな、惜しかった。ともかくまだ聞きたいことはあったし、あの哀しい雪の中の最期から、きりりと鉢金をしめたちびの桃太郎がどうなったのか知りたかった。部屋に飛び込んだが、雪男の姿は見え...

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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 17

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春も過ぎたころ、反逆の意思が見えなくなったからと、やっと新政府から埋葬許可が下りたそうだ。そこにあっても手を触れられなかった多くの少年隊士の遺体はやっと、遺族の元へ戻った。遺族は小さな木片に名を刻み、わが子が分かるように遺体のそばに印をつけていた。源七郎には多くの者と一緒に、鎮魂の碑が建てられた。だが、身内のいない雪男には墓標はなかった。これ以上は、本当は見せたくない…と、雪男は言う。「きっと目を...

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できました~♪

此花初めての、コピー本です。中綴じ40ページ、本文36ページです。(*⌒▽⌒*)♪うふふ~・・・パソコンのお利口さん♪ちゃんと、本になってる~♪10冊できました。何か、ちょっと自分のレベルが上がったみたいで、すっかりうかれぽんちです。(〃^∇^)o彡◇ 「ちょっと、見て見て~♪」という感じです。両面上質再生紙という紙を使いましたら、裏写りはしませんでした。思い切って紙の端っこを落とすのに、ロータリーカッターなるもの...

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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 18

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それは偶然の出来事だったようだ。稲荷山に住むお使い狐は、神仙女王に聞かれて荒れた里の様子を見に降りてきたらしい。神さまが心配するほど、野山は荒れ果て、豊かな田畑は見る影もなかった。じっと自分を見つめる子供の視線に、人の目には映らないはずのお使い狐は気付いた。「あれ?おまえ、何やってんだ。さっさと成仏しちまわないと、悪霊になっちまうぞ。」「いい…。わたしは、ずっと源七郎さまのお傍にいるんだ。」手を曳...

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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 19

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「リツカ…。」放心したおれは、背後の気配に気が付かなかった。雪男はほんの少量の温い水になり、やがてすぐに蒸発してしまった。雪男の痕跡はもうどこにもなかった。とん…と、背後でかすかな音がして、やっとおれは我に返り振り返った。「あ、三崎…。」「先輩。あの…あのね、約束のお土産持って来たんだけど、遅かったみたいですね…。あの人、消えてしまった…んですね。」「ああ…。六花が溶けた所を、見たのか。」三崎はこくりと...

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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 20

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ロマンチックな展開を台無しにしたおれは、三崎を追いかけた。階段を身軽に駆け下りる小猿のような三崎を、玄関ホールでやっと捕まえた。ちくしょう、殴られた頬がじんじんする。「こら、逃げるな、三崎。言いたいことがあるなら、逃げてないできちんと言え。」すっぽりとおれの腕の中に収まった三崎は、くると身を返しおれに抱きついてきた。「…薄情で不実な先輩。ぼく…やっぱり、先輩が好きです。」「なんだよ、それ。ひどいな。...

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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 21

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殆ど初心者みたいなおれは、持っている知識を総動員しながら、じっと三崎を観察していた。薔薇色に染まった三崎は、おれが触れるたびにびくびくと腹の筋肉を波打たせ、身を固くしていた。三崎も、初めてなんだろうか…。聞いたらまた、涙目になって怒りそうだから質問は止めにしておく。おれを受け入れる予定のそこは、固くしまって熱く、ぎちぎちに窮屈な場所だった。ゆっくりと指を入れてなじませるのさえ狭く、指先を食いつかせ...

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おまけ本ができました~♪

先日、「コピー本ができました~♪」と浮かれポンチに、大騒ぎしました。「おまけ本ができました~♪」 (〃^∇^)o彡□ 「見て、見て~♪」ご奇特な方が、通販はありますか~と、振ってくださって、舞い上がりながらコピー本とおまけを作りました。おまけ本はA5,12ページ、うち本文9ページのss(書下ろし)です。此花渾身のエチ…と書くと大したことなさそうなので止めときます。でも、がんばった~!(*⌒▽⌒*)♪本を作るのが楽しくて...

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一片(ひとひら)の雪が舞う夏に 22

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翌朝、目覚めると、冷蔵庫のあり合わせで朝食の用意をして、三崎の姿は消えていた。まだほんのりと、インスタントの味噌汁は温かだった。律義に書置きがあった。「おはようございます。家に帰って着替えてから出社します。三崎 深雪」「そういや、あいつの名前、深雪(みゆき)だったな…。」女みたいな名前だと言われて、中学の時に級友と大喧嘩をして廊下に正座させられていたのを見た覚えがあった。これまで苗字でしか呼んだこ...

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