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Archive: 2011年08月  1/4

びいどろ時舟 26

「心配するな。きっと上手くいくよ。この子の記録が思ったよりも少なくて、よかったな。」セマノは物言いたげな瞳を揺らした。「気を付けて、鏡。忘れないよ・・・。」金色の髪のかぴたんは、そっと頬を寄せ、鏡に束の間の別れを告げた。「もし、ぼくが・・・今度のことで流刑になるなら・・・複製で良いから・・・」この子の写しをくれないかという、セマノの思いつめた言葉に本気だと分かる。作られた精巧な人形に、鏡の記憶を移...

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お絵かき練習中~♪

此花は下手くそですけど、たまに絵を描きます。美麗絵を飾ってある皆様のサイトを拝見するたびに、とても羨ましく思っておりました。で、ここは自分で書くしかない(`・ω・´)と一念発起!折っていた筆を拾って、少しずつリハビリ・・・練習中です。自分の場所で描くだけで精いっぱいなので、よそ様に描く勇気はありません。今回は、とあるブログの作品に感化されて、描きたいな~と思いました。恥ずかしいので、名乗れませんが、心...

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びいどろ時舟 27

しばらくすると、市井に留まった小さな命は、すうすうと安らかな寝息を立てはじめた。この命を救いたいと言い切った、セマノの気持ちが少しは分かる。シンもまた同じように、愛おしいと思い始めていた。まるで、幼い弟を思うように・・・。「新さん・・・よろしいでありんすか?」さら・・・と襖が滑り、衣擦れのかすかな音がして、鏡の姉の小さな顔が覗く。彼女もまた、しばらく行方知れずだった鏡が気になって仕方が無いようだっ...

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びいどろ時舟 28

「でもね、花魁。・・・病気が怖く有りませんか?あれは、うつるっていうじゃ有りませんか。あっしは、死病は怖いですよ。」ふふ・・・と、花が綻ぶ。「新さん。ちょいと、よろしゅうございんすかぇ・・・?」つと側に寄ると、千歳はやにわに、その白い指で胸をくつろげると、驚く新の頭を引き寄せた。椀を伏せたような豊かな柔らかい乳房の上に、そっと直に温もりが伝わるようにかき抱いた。新はといえば、言葉を失って千歳花魁のな...

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びいどろ時舟 29

新は思わず、正直な気持を吐露する。「ありがとうございました。鏡坊を助けたと、おっしゃいましたけど・・・あっしのほうこそ、長年の憂さが晴れてすごく気持が楽になった気がします。」「新さん。そういっていただけると、わっちもうれしいでありんすぇ。新さんの胸にも、どうやら風穴が開いていたようでございんすぇ ・・・わっちの胸にほんのりと良い香りのするあったかい紅い花が、咲きんした。 」とくん・・・と、一つ鼓動が...

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びいどろ時舟 30

すり寄せた頬は、ざりざりと髭が痛かった。「ずっと、ずっと逢いたかったよ。本当に、長かった。」「お父(と)しゃまも、お元気そうで何よりでありんすぇ。 」「蓮が亡くなって、ずいぶん苦労をかけたのだろう・・・。大事な時に傍に居てやれなくて済まなかった」。「いいえ。お父しゃまには、お帰りの時に十分、金子をお支度していただきんした。太夫お披露目の折には、お国からも支度の金子を大層送っていただいて、ありがたい...

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びいどろ時舟 31

父親が出島に着任してからと言うもの、忘八女将は人が変わったように優しくなってしまって、鏡は少し混乱していた。今朝も山ほど風呂用の薪を割った後、そっと顔色を覗いながら、父に逢う時間を貰ってもいいかと訪ねた所、二つ返事で快諾する。「一時ばかりですぐに、帰りますけん。」「いいよ、いいよ。父親に会うのに遠慮なんざしなくていいから、いっといで。」「あい。ありがとぉ・・・。」思いがけない言葉に、これまで散々理...

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びいどろ時舟 32

大きな金剛石(ダイアモンド)の周囲に、美しい煌く青い宝石が配置された指輪は、眺めていると確かにセマノの深い瞳を思い出させた。「天神様は、海のごと綺麗か青か目ん色ばいね?」新の手のひらに指輪を預けながら、鏡が指先で転がした。「姉しゃまが、鏡ちゃんの好いたようにすっとよかよって。新さん、天神様にお使いばしてくれんね。」大きな瞳で、じっと見つめる鏡はもう新を神使と信じて疑っていないようだった。「お使いば済...

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びいどろ時舟 33

これまでに関わったサンプルと、あの子はどこか違うんだとシンは繰り返した。「・・・あの子といると、どうも調子が狂うんだけど、言い得て妙だとも思うね。」「へぇ・・・どんな風に?」「上手く説明が、できないな。あの、柔らかい長崎弁のせいかな。君のことを天神様だと思ってるのを否定できなかったよ。」勘がいいのかどうなのか、鏡は何故か、朧げな異世界の記憶を手放していないようだ。天神様とその神使と言う表現をし、二...

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びいどろ時舟 34

千歳花魁のログを見つめるセマノの胸に、今も忘れられない面影が立ち上る。蜂蜜色の巻き毛の青い瞳の、健康な時は薔薇色に輝く様に美しい少年だった。ひどい環境に置かれ病を得て,陽の射さない部屋に閉じ込められていた。セマノが枕辺に降り立ったとき、王子は汚れた頬で信じられないと言う表情を浮かべていた。大きな澄んだ瞳だけが、姿を追って来た。「あなたは大天使、ミカエル様・・・?お父さまにお願いされて、ここへいらし...

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