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Archive: 2011年05月  1/3

杏樹と蘇芳 14

BL KANCHORO・春企画参加作品 【杏樹と蘇芳 14】平安のころの話である。蘇芳がいなくなったのは、八つ時にすぐに明らかとなった。奴婢が逃げ出さぬように、軽い昼餉は共に取ることになっていたからだ。速やかに知らせは屋敷へと走り、浜で塩を汲んでいた杏樹はすぐに引き出され、山椒大夫の厳しい詰問を受けた。「蘇芳の行方が分からなくなった。答えろ、杏樹。お前が逃がしたのだな?」「知りませぬ。」杏樹は白い...

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杏樹と蘇芳 15 【R-18】

BL KANCHORO・春企画参加作品 【杏樹と蘇芳 15】平安のころの話である。杏樹は奴婢小屋に押し込められた。内側から、普段使われたことの無いかんぬきがしっかりとかけられるのを、ぼんやりと見つめていた。頭を押さえつけられた布団は、男たちの汗とカビの臭いがする。次郎が杏樹の為に気を使って、髪を洗う灰汁を作ってくれたり、ぬか袋で背中を擦(こす)ってくれたりしたことなどが、杏樹を蹂躙する男たちを惑わせ...

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杏樹と蘇芳 16

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BL KANCHORO・春企画参加作品 【杏樹と蘇芳 16】平安のころの話である。杏樹が知らずに求めた次郎は、まだ遠く里を見下ろす峠にいた。思いがけず遅くなり、松明を片手に時折山犬の遠吠えを気にしながら、家路を急いでいた。この分だと、夜明けごろには館に着くだろう。杏樹が次郎の名を呼んだ頃、次郎もまた小さく杏樹の名を呼んだ。「もうすぐじゃ、杏樹。よい便りを持って帰るから、待って居れよ。」******...

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4コマ漫画、いただきました♪

素敵絵と、お話しと、漫画のサイト様。カロリーハーフのchobonさまから、嬉し恥ずかし4コマ漫画をいただきました。かっこいいあ~ちゃんと、麗しいチカちゃんと、かわいいほたるくんのABCのお話を、笑ったり切なくなったりしながら拝見していました。最近では、ケモミミまで!(シロと小紋ちゃんが種を超えて、いけない世界に・・・)(*/∇\*) キャ~・・・で、いただいた4コマは・・・・・・何とっ!此花をモデルにしてくださ...

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杏樹と蘇芳 17

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BL KANCHORO・春企画参加作品 【杏樹と蘇芳 17】平安のころの話である。館の主、山椒大夫は説明のつかない苛立ちにさいなまれていた。原因は分かっていた。弟、次郎は、何が気にいったのか館に売られてきた杏樹という少年に入れこんでいる。確かに見目良い童子ではあったが、その美童の持っている何かが太夫の気に掛かるのだった。思えば兄弟二人、人買いに騙されて初めて屋敷に連れてこられた時からそうだった。杏...

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杏樹と蘇芳 18

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BL KANCHORO・春企画参加作品 【杏樹と蘇芳 18】平安のころの話である。膝をついたままにじり寄ってきた山椒大夫が、杏樹の肩に手を掛けた。触れようとしていくつもの擦過傷に気が付き、固まった手は下ろせなかった。暴行を受け続けた杏樹の柔肌には、あちこちにたくさんの傷が附いていて痛々しかった。「まさか・・・香月(かつき)・・・のはずがない。そうじゃ、香月ならば背中だけではなく、外から見えぬ内腿に...

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杏樹と蘇芳 19 【最終話】

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BL KANCHORO・春企画参加作品 【杏樹と蘇芳 19】平安のころの話である。元服も済ませ、凛々しい若武者となった蘇芳は、17歳になっている。父との再会も果たし、後は杏樹を取り戻すことだけが悲願だった。都から遠く離れた、杏樹の囚われている山椒大夫の里を目指していた。胸にある金無垢の観音像に、杏樹は蘇芳の無事を願い、今の蘇芳は杏樹の息災を祈願していた。あの酷い場所で、兄は無事でいるだろうか・・・...

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お礼ss 夕暮れの色鉛筆

夕暮れの空の色が、一番好きだ。ぼくは色鉛筆を取り上げた。青く澄んだ空にたなびいた白い雲が、少しずつ薄桃色に染まってゆく。橙色のお日さまが、西の山に沈む直前に一際大きくなって別れを告げる。スケッチブックの中に、色鉛筆が走って、お日さまの欠片が散らばってゆく。「なあ、また描いてるのか?」「あ、うん。この時間の空の色が一番好きだから。」見せてと言って、スケッチブックを眺める一つ上の君の目はとても優しい。...

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星月夜の少年人形 1

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ずっと、君を探していた。君が壊れた人形になっていても、この手に抱きしめたかった・・・。両手に抱えきれないほどの荷物を持って、神村優月(かみむら ゆづき)は帰宅を急いでいた。明日は、年の離れた弟の遠足がある。いつも以上に気合を入れて、最近はやりの戦隊ものキャラ弁を作るべく、学校帰りに食材を仕入れて来たのだ。優月の母親は、生来身体があまり丈夫ではない。両親は互いに子連れで結婚したが、お腹に子供が宿って...

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星月夜の少年人形 2

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少し離れた場所に、見慣れぬ黒塗りの高級外車が留まっている。「あれ、お客さんかな?」「かな~?」玄関先の父の書類を渡し、礼を言って頭を下げた優月に、羽藤は車中から声を掛けた。「優月くん。困ったことがあったら、遠慮なく言っておいで。」「はい。ありがとうございます。」羽藤は名刺の裏に素早く、私用電話の番号とメールアドレスを書いて渡した。短い間に、この子は何度「ありがとう」と言っただろうか。ぱたぱたと荷物...

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