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Archive: 2009年12月  1/2

最後の局長「相馬主計」

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「新撰組だと、誰が好き?」と、聞かれました。何処までも誠の武士であろうとした、彼らの総大将は多摩の百姓の出でした。志の高かった彼らはどこまでも、崩れてゆく体制を守ろうとします。不器用な、けれども熱い生き方は、「新撰組」生き残りの永倉新八翁の手記、島田魁の日記にもかかれています。最初、司馬遼太郎先生の「燃えよ剣」「新撰組血風録」にはまって、「新撰組」と名のつくものを、手当たり次第読みました。(もう、...

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小説・初恋<作品概要>

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<作品概要>広大な領地と、莫大な財産を減らさないために、血族結婚を繰り返した、如月侯爵は、元々貧乏な公家だった。精神に欠陥のある侯爵の跡継ぎは、胸の病を得た。父亡き後、血と殺戮を愛した祖父の下で育った美貌の少年は、人と不器用な関わりしか持てない・・・。明治時代。私立華桜陰高校で、大名華族、湖上颯(こじょうはやて)は生涯忘れられない公家華族の麗人、如月奏(きさらぎかなで)と出会った。...

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小説・初恋・1(入学式)

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明治。・・・それは、愚かな血の歴史を終えた幼い国が、自分の足でおずおずと歩き始めた時代。一握りの自尊心の高い人種が、頂点に君臨していた。私立華桜陰(かおういん)高校は、明治14年次代のエリートを育むために、三人の豪商と如月侯爵の寄付によって新設された。今を盛りの桜並木と、真新しい豪奢なヨーロッパ風の建物に迎えられ、湖上颯(こじょうはやて)と、連れの芳賀清輝(はがきよてる)は、高揚する気持ちを抑えか...

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小説・初恋・2

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私立華桜陰高校は、高等学校令に基づく教育機関である。何しろこの学校の卒業資格を持つものは、公立と同じく、全員学部さえ問わなければ帝国大学へ入学を許される。約束された栄光の道を歩むため、颯は狭き門を越え、一身に一族の期待を背負って、晴れの日を迎えた。学習院のように、華族無試験で入れるところもあったが、自由な校風を求めて試験の難しい華桜陰高校を目指した。全国に学校が増えてきた当時、多数の財界人がこぞっ...

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小説・初恋・3

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入学式は、天鵝絨の幕の向こうの御下賜された「御真影」を拝む所から始まり、厳かに粛々と行われた。当時の政府役人の退屈な挨拶がすみ、校長が誓詞を読み上げた後、新入生代表が宣誓することになっていた。「新入生代表、如月奏(きさらぎかなで)」それまで無音だった大講堂に、前方から控えめにざわ・・・と、さざ波のように息を呑む音が走った。「・・・男子校だろ、ここ・・・」「女性・・・?」そんな声がそこかしこに起きて...

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小説・初恋・4(事件前夜)

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初めての寄宿生活は少しばかり不安だったが、幸い清輝と同部屋だったので颯はほっとため息をついた。「清輝が自分でぼくの小姓(日常の世話係)だなんて、名乗ったからかな。」「世が世なら、湖上のお抱え医師の家系ですから、当然です。」そういうのを失くすために、明治の代になったのに時代錯誤だと颯は笑った。それにしても・・・この部屋の広さ。「荷物が少ないと、片付けるのが楽でいいね・・・というと、負け惜しみに聞こえ...

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小説・初恋・5

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元来、人懐っこい性格の颯は、誰とでも話をするのが好きだった。村の古老達が、鳥羽伏見でどんなに勇敢だったか、池田屋の襲撃が無かったら、明治維新はもっと早かったに違いないと、同じ話を繰り返し語るのも、嬉しげににこにこと聞いた。やがて、全体の食事がほぼ終了した頃、明らかに古臭い颯の洋装をわざわざ笑いに来た者が居た。「君の衣装は、随分年代物のようだが、外国人居留地のテーラードかい?」「君。失敬だろう。」椅...

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小説・初恋・6

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静かに滑るように扉が開き・・・小姓と、数人の取り巻きを従えて、噂の如月奏が教室に入ってきた。皆、視線だけで追いかけて言葉は発しない。周囲を見渡して、まるで誰もいないかのように、当時はまだ珍しい黒板に触れ、そっと頬を寄せた。「これは、墨汁に柿渋を重ねてあるのだっけ・・・?」向き直って、誰に言うとも無く、可愛らしく小首をかしげて問うた。「なんだ、誰も知らないのか・・・」ただ、それだけのことなのに、妙にそ...

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小説・初恋・7(馬小屋)

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華桜陰高校の広い敷地内には、厩舎だけでなく十分な大きさの馬場もあった。軽いいななきと、懐かしい飼葉の匂いにつられて、颯と清輝は散歩がてら馬小屋までやって来た。世話をする厩務員は何人もいたし、愛馬と別れがたく馬車ごと馬丁も連れて来たという猛者もいた。貴人のやることは、時々考えも及ばない。ただ彼らの連れて来た馬は、どちらかと言うと馬術競技を競うための愛玩の粋を超えないもので、軍馬として連れて来たもので...

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小説・初恋・8

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颯には、それほど大したことではなかったが相手の自尊心はかなり傷ついたらしかった。「え?この馬は星龍号というのか?ぼくの馬と同名・・・あっ!」かけた言葉に、返って来たのは乗馬鞭の一振りだった。辛うじてよけたが、かわしたのも気に入らなかったらしい。先ほどの教室の花の風情など、見事に散らして激昂した。「僕の馬は、観賞用などではないっ!」しばらくかわしたが、なおもしつこく向かってくるので、仕方なく習い覚え...

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