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Category: 禎克君の恋人  1/2

禎克君の恋人 1

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金剛禎克、柏木大二郎、離れ離れになったまま、共に16歳になっていた。偶然の再会なんてものは、ドラマの中だけだと思っていた。******どこにでもあるような、繰り返される朝の風景だった。「ほら、さあちゃん。急がないと、合宿に遅れちゃうわよ。」「うん。大丈夫~。」「寝癖付いてるわよ。」「こういう髪型なんだよ。」さあちゃんこと金剛禎克は、高校生になっている。ずいぶんと、身長が伸びた。小学校5年生からスポ...

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禎克君の恋人 2

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自転車で風を切る。通いなれた道の反対側の坂の上には、温泉施設付きのホテルがある。周囲はもう忘れていると思っているようだが、幼稚園の頃の出来事を、禎克は薄く覚えていた。勿論、余りにちびだったので、詳しいことは忘れてしまったが、当時貰った卓上カレンダーと、その時に仲良しだった(らしい)友人と、並んで写した色の変わったポラロイド写真を大切に持っていた。今、どうしているんだろうかとか、どこにいるのだろうかと...

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禎克君の恋人 3

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上谷に声を掛けられたのは、三月前の、入学式後のことだった。「よお、来たな。金剛は、てっきり城聖高校に行くんだとばかり思ってたよ。この辺だと、あそことうちがいい勝負だからな。」「あの……?」「あ。ごめん、バスケット部二年の上谷彩(かみやひかる)だ。監督に金剛が入るって聞いて、すっげぇ楽しみで、待ってたんだ。」「ありがとうございます。見学したとき、ここがチームワーク良いと思ったんで……。」「まあ、部員が少...

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禎克君の恋人 4

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高校の練習は思っていたよりはるかにハードだった。インターハイへ向けて、暑さ対策を考えた練習は死ぬほどきつかった。体育館を締めきって蒸しぶろ状態にし、身体を虐めぬく。夏の試合は、半分は体力勝負と言ってもいいくらいだ。「おらっ!のんびりインターバル挟んでいる場合じゃないぞ。そのまま行くぞ。死ぬほど走って足腰鍛えておくんだ。熱中症にならないように、水分だけは取っておけよ。」「はい!」覚悟はしていたが、長...

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禎克君の恋人 5

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初日は散々だったが、それでもやがて禎克は、激しい練習に次第に慣れはじめた。合宿も終盤の頃には、試合形式の紅白戦でも、少しずつ思い通りのパスが出せるようになっていた。二人がかりでガードされながら、相手の隙をつきバックステップを入れてフリーになり、ついにパスを通した。「先輩!」「よっしゃ!ナイスパス!」綺麗な放物線を描いて、禎克のパスを受けた上谷の3Pが決まった。「ナイシュー!」紅白戦相手の先輩から、...

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禎克君の恋人 6

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その頃、禎克の留守にしている金剛家には、予期せぬ客が来ていた。「お久しぶりでございます。」まあ、醍醐さん……と言ったきり、母親は玄関先で固まっていた。懐かしい柏木醍醐が、花の風情で深々と頭を下げた。「大変ご無沙汰しておりました。旅から旅の稼業ゆえ、とんだ不調法をしております。」その存在が華と煌めく、柏木醍醐の姿がそこにあった。さすがに以前のような紋付き袴ではなかったが、首からかけたダイヤのちりばめら...

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禎克君の恋人 7

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湊は、居間のアルバムをありったけ引っ張り出して来て、大二郎に見せた。「ほら。小学生はさっきので終わって、中学からのさあちゃんは、こっちなの。デジカメになっちゃてからは、データにしちゃって写真は余りないんだけどね、雑誌もあるよ。バスケットはじめたらぐんぐん伸びちゃって、今は187センチとかあるのよ。あんなにちびだったのに、信じられないでしょ?」「へえ……おれと20センチも違うんだ。今もおれの中では女の...

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禎克君の恋人 8

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大二郎の姿が見えなくなったのを確かめ、醍醐は母親に打ち明けた。「今更なんですが、大二郎にはこまどり幼稚園の頃の思い出が、すごく大切な物だったようです。全国を回って色々な学校へも通ったのですが、いつも転校続きで馴染んだらすぐに次の学校へ移らなければなりませんでした。働いているのも、どこか色眼鏡で見られているのを感じてしまうらしくて、学校で浮いているのも、はっきりとは言わないのが余計に不憫でした。」「...

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禎克君の恋人 9

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醍醐が倒れたのをまだ知らない大二郎は、その頃ゆっくりと懐かしい道をたどっていた。誰にも気づかれないように、いつものように、深く帽子をかぶっていた。ふと見やった坂の三差路から、自転車が来るのが見えた。ついさっき、湊に見せてもらった写真の中と同じ色のジャージに目が留まる。まさか……とおもいながら、目が離せなくなる。少しずつ近づいてきた自転車の少年の輪郭がはっきりしてくると、大二郎は思わず一歩足を進めた。...

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禎克君の恋人 10

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その頃、禎克の携帯も鳴っていた。上谷に、姉からです、すみませんと律義に断って、携帯を開いた。「なんだろ……今頃、メールって。」『坂の上のホテルに劇団醍醐が来ています。幼稚園の時に仲良しだった大二郎くんとお父さんが、さっき家にご挨拶に見えたの。明日の合宿終わりに、挨拶に行ってね。湊もお芝居を見に行くつもりです。』「やっぱり、そうだったんだ。」「なんだ?急用か?」「ぼくの幼馴染が、この上のホテルに興行に...

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禎克君の恋人 11

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大二郎は、病院にいた。手術中の赤いランプをじっと見つめ、立ちつくしていた。ずっと傍に居たのに、なぜ異変に気付かなかったのだろう、何か予兆があったはずなのに……と、自分を責めていた。この町に来る仕事を入れたのに、かなり無理をしたと羽鳥に聞いていたから、醍醐が倒れたのは自分のせいのような気がしていた。*****「大二郎。さあちゃんに会えるぞ。良かったなぁ。」「え?ほんとう……?」「ほら。前に興行したホテル...

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禎克君の恋人 12

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一方、禎克は湊からのメールを読んで以来、ずっと浮き立つような気分だった。早く湊に電話をして様子を詳しく聞きたかったが、合宿中なのでそうもいかない。一年生でありながら、怪我の上級生に代わって、ほぼレギュラーは手中にしていたが、用具の手入れなどの雑用は下級生の役目だった。翌日、全体練習が終わった後、合宿の解散式が行われ、インターハイに向けて監督から檄がとばされた。一日休みを入れて、すぐに開会式に向けて...

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禎克君の恋人 13

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住む世界が違う禎克と親しくしても、どうせ再び直ぐに別れは来る。旅から旅の生活で、大二郎には失って来たものも多かった。悲しい想いをするくらいなら、初めから何も期待しない方が良い。だから、心にもなく迷惑だと告げた。大二郎のそんな諦めにも似た思いを、禎克は想像すらしなかった。「これから、お芝居の練習するの?見てたら邪魔かな?」「あのね、さあちゃんは……部外者だから。」「そう……か。そうだよね。気が付かなくて...

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禎克君の恋人 14

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「さあちゃん……さあちゃんっ……」下から伸びた大二郎の手が、ぐいと禎克を捉えた。押し付けられた唇が熱を持って、禎克を煽る。「んっ……!?」大二郎はぐいと頭を引き寄せると、禎克の唇を割って深く舌を捉えた。もう離したくない……そんな気持ちの込められた、手慣れた大人のキスに禎克は喘いだ。「んんーーーーっ……。」その場に倒れ込んで、やっと離れて息を吐いたら、大二郎が覆い被さってきた。「さあちゃん……離れないで。おれに...

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禎克君の恋人 15

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大二郎が禎克を見上げた。大きな瞳が濡れている。「ね、さあちゃん。ホテルの旧館の304ってね、ここに滞在中おれの部屋なんだ。もっと話しようよ。舞台の後で、時間作るから、さあちゃんも時間作れない?」「うん。少しくらいなら大丈夫だけど、長くはいられないんだ。インターハイがあるから。明日の朝には出発する。」「また離れ離れになるんだね……。なんか、おれとさあちゃん、織姫と彦星みたいだ。」「七夕は年に一度あるけ...

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だいじろうくんと (挿絵)

いただきものです。(*⌒▽⌒*)♪だいじろうくんと一緒に撮った写真です。ぽよぽよとしたさあちゃんと、しっかりしてそうな大二郎くん。大きくなったら大分イメージ変わったみたいです。禎克は、この写真をパウチしてお守りにしていました。こんな感じです~。くるみさん、ありがとうございます。(*⌒▽⌒*)♪成長した二人は此花ががんばります。←ほんとか~加工してみました。写真風です。本日もお読みいただきありがとうございます。...

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禎克君の恋人 16

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舞台が開演するまでのわずかな時間。禎克は、急いで自宅に帰った。「ただいま~!」「あら。さあちゃん、遅かったのね~。」「お母さん。湊は?」「部屋にいると思うけど?」「ありがと。シャワー浴びたら、直ぐに出かけるから。」「あら。忙しいこと。」「大二郎くんに会って来る。」合宿の洗濯物を渡すと、禎克は階段を駆け上がった。「湊!大二郎くんに会った!……じゃなくて、メールありがとう。これから、大二郎くんの舞台を見...

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禎克君の恋人 17

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手術を終えた柏木醍醐は、白く靄(もや)のかかった静かな世界にいた。一体、ここはどこなんだ……?おれは、どうしたんだ?誰かに問おうとしたが、辺りには人影はない。微かに誰かの気配がする。それは、早くに彼岸に旅立った最愛の妻、楓の姿だろうか……。それとも、いつも黙って傍に控える優しい男だろうか。身体が重く、泥のようだ。目を開けようとしても、目蓋が重かった。爽やかなシトラスの微かな匂いに、覚えがある。****...

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禎克君の恋人 18

さほど広くはないホテルの劇場内は、ざわめいていた。お目当ての柏木醍醐が病に倒れ、病院へ運ばれた話は既にファンの間に伝わっていた。詰めかけたマスコミのカメラに驚き圧倒されながら、人々は横断幕を眺め、ホテルの中に入ってゆく。200席ばかりの小さな劇場は立ち見も出るほどの盛況ぶりだった。禎克は大二郎が用意してくれた前列の片隅に座り、少し緊張して開演を待っていた。ふっと場内のライトが落とされ、大二郎のアナ...

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柏木大二郎 (藤娘)

着物の柄が違うと、イメージが変わります。大衆演劇は、一部がお芝居、二部が舞踊、歌謡ショーになっているところが多いです。夢溢れる素敵な世界です。にほんブログ村...

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禎克君の恋人 19

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禎克は思わず立ちあがって、その長身で周囲の人を驚かせてしまった。190センチ近い上谷と二人がそろうと、目だって仕方がない。息を飲む声に、慌てて腰を下ろした。「上谷先輩……?どうしたんです?お芝居に興味とかありましたっけ?」「金剛がチラシくれたから、どういうものなのか気になってきてみたんだよ。さっきの踊ってた子が、金剛の幼馴染の子?びっくりするくらい綺麗だったな。」チラシって……?と、問いかけて思い出し...

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禎克君の恋人 20

観客を見送る大二郎を遠目に眺めて、禎克はどこか誇らしいような心持ちになっていた。誰もが大二郎の一挙手一投足に注視し、微笑を浮かべて流される視線に狂喜していた。大二郎の似顔絵を染め抜いた手拭いをわたし、一人一人に声を掛ける大衆演劇と呼ばれる彼らの対応は、観客にとても優しい。扮装のまま最後の一人に別れを告げると、やっと彼らの当日の公演は終了となる。*****「さあちゃん。ごめんね、長いこと待たせちゃっ...

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禎克君の恋人 21 (挿絵付き)

浴衣に着替えた大二郎は、目を丸くしてタッパーを並べる禎克の手元を見ている。「おお~っ、おいしそうだ~。」小さなテーブルに、禎克の母親の心づくしが並べられた。「今日ね、合宿の打ち上げだったんだよ。しばらく家を空けてたから、ぼくの好きなものを作ってくれたみたいだ。先に食べる?」「ううん、ドーラン落とすよ。見られて困るすっぴんじゃないしね。待ってて。」*****ひょいと唐揚げをつまみ食いした大二郎は、大...

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禎克君の恋人 22

再会した大二郎は、少し慣れて来ると、とんでもない甘えん坊だったのが判明した。禎克も上に姉がいて、自分をそれほどしっかりしている方だと思ったことはないが、出会った時から大二郎は、禎克に常にべたべたと触れている気がする。まるで、触っていないと母親がどこかに行ってしまうような気がして、離れられない赤子のようだ。「大二郎くん。せめて、ぱんつ穿かない?直接、太ももに当たるんだよね。あの、ナニが……。」うる……と...

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禎克君の恋人 23

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食後、そそくさと洗面所に向かう禎克を追った大二郎が、背後にぴとっと張り付いた。「ん?どうしたの?」「だって……。見張ってないと、いなくなりそうだから。」ふと気づいて、禎克は聞いてみた。「そう言えば大二郎くん。ぼくのこと、昔っからさあちゃんって呼ぶけど、名前覚えてる?」「さあちゃんは……さあちゃんだよ。」「やっぱり、覚えてなかったか。そうじゃないかなって気はしてたけど。」「なんで?」「だって、久しぶりに...

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禎克君の恋人 24

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ベッドに腰を下ろした禎克の足の間に座り、強張った白い顔を向ける大二郎の顎を捉えると、優しく頬に触れた。「ばかだなぁ。そんな切ない顔するなよ……。いやだったら、こんなことしてないって。逃げてないだろ?ぼくだって、覚えていてくれて本当にうれしかったんだから……。信じろよ。」「うん。」触れるか触れないかの、禎克から降ってきたついばむようなキスに焦れて、大二郎はどんと体重を預け肩を押した。性急にTシャツをたく...

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金剛禎克

描写用に、イメージ画像です。さあちゃんのバスケットのユニホーム姿。まだまだ、お勉強中なので描線がぎこちないです……。しかも描くたび、顔が違ってたり……。(´・ω・`) 時間があれば、ちゃんとお勉強したいなぁと思います。がんばろう~!(`・ω・´)本日もお読みいただきありがとうございます。拍手もポチもありがとうございます。励みになってます。此花咲耶にほんブログ村...

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禎克君の恋人 25

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まるで悲鳴のような禎克の声に、驚いた大二郎がやっと顔をあげた。「さあちゃん?」禎克は紅潮した頬を両手で覆って、大二郎に当たった。「ばか、ばかっ!離せって言ったのに。大二郎くんがいう事聞かないからっ!こんなっ、こんなことっ……!ああっ、もう~。」禎克は大二郎の口元と、拭った手のひらに禎克の吐精の跡が白く残ったのを認めた。我慢できなかった自分に腹が立ち、羞恥が襲う。じんわりと涙が滲んだ。「さあちゃん。ね...

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禎克君の恋人 26

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「そんなおいしいものじゃないけどね、さあちゃんの物だからおれは平気。飲めるよ。」「……ごめん。こんなくそまずいもの出しちゃって。知らなかったよ……。」大二郎は、まじでへこんでしょんぼりとしてしまった禎克を見上げた。「さあちゃん、へこむなよぉ……。みんな同じだって。教えてあげるよ、何でこれがこんなにまずいか。おれ、神さまに聞いたことあるんだ。」そう言いながら、向かい合った大二郎はそうっと手を伸ばし、再び禎...

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禎克君の恋人 27

夜半、微かな人の声で目を覚ますと、大二郎は誰かと話中だった。「……ああ、うん。お師匠さんは、どう?」誰かと父親のことを話しているらしい。月明りの中に、大二郎の肢体が発光するように艶めかしく浮かぶのに、思わずぞくりとする。「うん……舞台は大丈夫だったよ。お客さまも喜んでくれたし、明日からもやれるよ。興行が終わるまでお見舞にはいけないけど、劇団のことは心配しないでって伝えてくれる?こっちは何の心配もいらな...

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