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Category: 虹色真珠  1/1

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青い小さな人魚 (虹色真珠) 1

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世界中の珍しい物を集めている王さまがいた。欲しいものは他人の持ち物だろうがおかまいなし、すべて力ずくで手に入れるような、欲の深い残酷な王さまだった。王さまの手に入らない物はない。例えば、龍のひげを持つ美青年、猫の足音であるく少年、流れ星の欠片、虹で編んだショール、東の果ての黒髪の美童など。ありとあらゆる策を弄して手に入れたそれらは、王さまの宝物倉の中に大切にしまわれていた。時折り、王宮の深い場所で...

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青い小さな人魚 (虹色真珠) 2

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王さまは、奴隷商人に聞いた。青い人魚は瞳に悲しそうな色を湛えて、厚い水槽のガラス越しに、王さまをじっと見つめていた。口元からこぽりと溢れた泡(あぶく)がゆらめいて、水面へと昇ってゆく。「お前は、どこでこれを手にいれたのだ?」奴隷商人は返答に困り、顔を歪めた。言いたくはなかったが、王さまに問われては返事をするしかなかった。「実は・・・、王さま、この青い人魚は、東の大国のスルタンに寵愛されていたのです...

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青い小さな人魚 (虹色真珠) 3

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ずいと進めた王の爪先を認めると、ガラス越しに見るよりも一回りも小さく見えた人魚は、輝く髪の間から王さまの方をおずおずと見上げた。王は、影のように仕える宦官すらも人払いし、広い浴室に哀れな人魚と二人きりになった。「わ……たしを自由に……して。あの人の眠る海の底へ行きたい……。どうぞ……。」竪琴を奏でるような驚くほど美しい声を発すると、人魚は王さまの足元に縋った。声と姿から察するに、青い人魚は少年のようだった...

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青い小さな人魚 (虹色真珠) 4

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王さまは深く穿つように、人魚の下肢を押さえつけると、直も腰を進めた。息を詰めた人魚が苦しげに上半身を捩る。抗おうにも、両手は固く縛められたまま頭上の環に手鎖と共に繋がれ、ジャラジャラと浴室の壁に木魂するばかりだった。薄い皮膚が傷ついて、白い肌に筋を作る。水っぽい紅色の液体が、モザイクタイルに散った。「はなしてっ!……あーーぁっ……!いやーーっ!」人魚の細く長い哀訴が響いた。「思うさま泣け、小さな青い人...

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青い小さな人魚 (虹色真珠) 5 【最終話】

このお話は、東日本大震災の前に書いた作品でした。テレビで見た衝撃的な映像は、今も目に焼き付いていて、いまだに癒えない傷を負った方たちの事を思うと胸が痛みます。*****今回、最終話ですが、高波の表現が出てきます。出来る限り、恐ろしく大規模な津波を想像させないように、部分的な表現にしようと思い文章を直してきましたが、此花にとって作品上削れない個所なのです。せめてもの配慮として、追記に掲載することにし...

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