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Category: 王の金糸雀 三部  1/1

金銀童話・王の金糸雀(三部) 1

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王さまは、お后さまと共に神の側に行くことを、望んでいた。刀の切っ先が背中から胸に抜けるほど、強く力を入れて、お后さまの命を奪ったのは自分だったが、それはどう考えても仕方のないことだった。信頼できる配下が、既に緑の森に迫る異端審問の動きを、逐一報告していた。異端審問の裁判になれば、どこにも申し開きの出来ないほど、緑の国の王と后は殺戮を重ねてきた。緑の国の王は、これまで自分の軍隊が野焼きのように攻撃し...

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金銀童話・王の金糸雀(三部) 2

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音楽学院長の部屋に居たのは、奇しくも面会したいと望んでいた、カトリック教会の最高位の聖職者、教皇の姿だった。学院長は、教皇のお気に入りのミケーレの訪問をとても喜び、部屋に迎えてくれた。「今、おまえを迎えに行こうと思っていたところだ。さあ、お入り。」息を切らしながら、ミケーレは学院長にお願いしたいことが・・・と言いかけて、そこにいる第三者に気が付いた。「・・・申し訳ございません。お客人でございました...

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金銀童話・王の金糸雀(三部) 3

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老人の落胆振りを眺めても顔色も変えず、ミケーレは踵(きびす)を返すと、教皇に別室でお願いを聞いていただきたいのですと、跪(ひざまづ)いた。「敬愛する教皇さま。カストラート・ミケーレの、今後の生涯をかけてのお願いでございます。」行方不明の間に、学生ではなくなったミケーレが懸命に、教皇の庇護を求めていた。遠い外国の舞台で、歌手として契約する決意も反故(ほご)にして、教会の大聖堂付のカストラートとして、...

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金銀童話・王の金糸雀(三部) 4

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「悪魔の所業こそが、神をも恐れぬ背徳の異端、神の教えへの冒涜である。」「王子はたった10歳で、恐ろしい異端の犠牲となった!」「その証拠に、捕虜となったアナスタシオ王子の行方は知れぬ!その亡骸さえも慰み者にされたからだ!」異端審問の裁判の場は、怒号のるつぼと化した。人々は興奮し、足を踏み鳴らして騒ぎたて、悲鳴を上げた。壇上の王さまに向かって、その場にあったありとあらゆる物が投げつけられた。 王さまの...

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金銀童話・王の金糸雀(三部) 5 【R-18】

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いつか王さまに遮られた昔語りを、金糸雀は歌うように語った。「あの日・・・子どもだったわたくしは狼の遠吠えが怖くてずっと震えていました。」「抱いてくださった王さまの懐で、やっと眠りにつきました・・・・」「眠った頬に、涙の筋が残っていたな・・・おまえは、いつも可哀想なくらい聞き分けの良い子どもで、一人静かだった。」金糸雀の頬に、筋張った武人らしい手を伸ばしそっと止まらない涙を舐めると、王さまはじっとす...

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金銀童話・王の金糸雀(三部) 6 【最終話】

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半球型のドームが歌劇場の中心に設えられ、青い天国の門を背景に、金で塗られた天使達の彫刻が飾られた。天井には幾重にも白いアーチが連なり、つる薔薇を這わせたブランコに乗って、花形男性歌手は気高い英雄の姿で登場するのだ。歓声と喝采の中銀色のカストラート、ミケーレの遅れたデビュー公演は華々しくイタリア国内で行われた。各市でその優雅な天使の姿と、姿から想像できない驚異的な声量に人々はため息し歓喜することにな...

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金銀童話・王の金糸雀 【あとがきと、補足など・・・】

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長らくお読みいただき、ありがとうございました。相も変わらず、BLには程遠いような内容です。一応努力はしたのですが、まともなエチは最後の最後に、ただ一度しか出てきませんでした。(´・ω・`) しかも主人公も、まともな男性とはいいがたく、去勢されてしまったことで、医学的にもかなり男性らしさは削られてしまいました。泣いてばかりいるのは、そのためです。(`・ω・´)←書いといて。実際、作中で王様が語っていますが、カ...

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