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Category: 澤田詩鶴の物語  1/2

新しいパパができました・1

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俺の作ったカレーをてんこ盛りにして食いながら、昨夜、母親が言った。「あのね。会わせたい人がいるの。できれば、明日の放課後、早く帰ってきてくれないかな。」とうとうこの日が来たかと、密かに思った。「じゃ、バイト誰かに代わってもらえるか聞いてみるよ。会わせたい人って、彼氏?結婚するつもりなの?」「まあ・・・ね。澤田詩鶴さんて言うの。楽しみにしててね。」母親は、素敵な人なのうふふ、と、笑う。はいはい、ごち...

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新しいパパができました・2

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「何だ柾(まさき)、今日は学食なのか?」「ああ、何だか母ちゃん、最近忙しいらしくてさ、今朝は撃沈したみたい。」こいつは親友の松原朱里。全国でも片手に入るという、サッカーの有望選手だ。ジュニアユースで、ほとんどゼミプロのように試合に明け暮れている。「食う?彼女が作ってくれるのは嬉しいんだけどさ、母親にも断れないんで、弁当が余ってんだ。」朱里の彼女はかなり料理に自信があるらしく、豪華な重箱弁当だった。...

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新しいパパができました・3

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脱力したのは、安心したせいだ。笑顔の母ちゃんを見て、ほっとした挙句、思わず涙が出そうになった。ばかやろ・・・大事かと思ったじゃね~か・・・「柾、ごめんね~、驚かしちゃって。脚立の上で立ちくらみしてひっくり返っちゃった。」左手には派手に包帯が巻かれ、左足にはご大層にギブスが巻かれていた。「折れちゃった。てへっ。」てへって・・・母ちゃん・・・それ、可愛いと思えないぞ。て言うか、笑ってるけど大丈夫なのか...

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新しいパパができました・4

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「はじめまして。今日からきみのパパです。」驚いたのは、まず母親とのあまりの年齢差。俺より一個、年上ということだが半端無く若く見えるのは、少女めいた作りの繊細さとやたらと華奢なせいだろうか。これって、最近流れている携帯電話のCMでなかったっけ?若いツバメに入れ込んだ母親に向かって、白い犬のお父さんが吠えてた。「17歳って嘘だろ、おまえ。13,4の中坊にしか見えないぞ。」一瞬息を呑んだ後、そいつは悲しげに...

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新しいパパができました・5

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母ちゃんはさすがに痛みが出始めたのか、今日はもう寝るからといって、痛み止めを持ってさっさと自室にこもってしまった。居間のソファをベッド代わりに毛布を渡し、追い出すわけにも行かず、とりあえずそこが澤田の場所になった。たまに、人形のバイヤーが来て泊まるときも大抵はこの場所だ。家に来るのは、女性の方が多いけど。作業場と、人形のパーツや、布地などで部屋は2つもつぶれていた。「風呂は向こうで、隣がトイレ。後...

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新しいパパができました・6

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脳内の澤田が俺に叱られて涙目でくすんと鼻を鳴らしたとき、誰かが素っ頓狂に叫ぶ声が聞こえた。「すっげぇ!校庭突っ切って走ってくるあれ、裸エプロンじゃね?」「おお~~~~、あれぞ、まさしく憧れの裸エプロン。本物が拝めるとは。」「俺、写メ撮って置こうっと!」裸エプロンと言う単語に嫌な予感がした俺は、窓に鈴なりになったクラスメイトをかき分けて窓枠を掴み思わず小さく叫んだ。「げっ。あの、馬鹿っ・・・!」対処...

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新しいパパができました・7

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昼休み。澤田が持ってきた弁当を開けて、俺は絶句していた。めまいすら感じる・・・「うわ~、なんだ、これ。」「あの野郎・・・嫌がらせか。」朱里が覗き込んで、爆笑していた。何か、動物を模したらしいそれは、弁当箱の中央にでんと座りうずらのゆで卵を半分に切った目が、こっちに向かってガンを飛ばしていた。「キャラ弁かな?何か、すごいがんばって作ったのがよく分かるね。」「こんなので分かるのか?」「これまで、数多く...

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新しいパパができました・8

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見た目はともかくとして、中身は正真正銘「男」の澤田と俺のその場での会話は、客観的に見るときっと爆笑物に違いない。想像だけど、新婚家庭の会話ってこんな風なのじゃないかと思う。「亜由美さんに柾くんは動物の中じゃ、ぺんぎんが好きだって聞いたから・・・。おかずはハンバーグが好きって聞いて・・・だからぼく、教えてもらって・・・。」「そっか、がんばったのに悪かったな。でも、俺がぺんぎんが好きだったのって、たぶ...

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新しいパパができました・9

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まだ未成年なのに、こんなに家事の出来るやつは俺の周囲にはいなかった。しかも澤田のやることは、どこか年寄りくさい気がする。ハンバーグしか出来ないのかと思ったら、煮物は上手にできたりする。・・・かと思えば、沢庵が蛇腹になってるのを見て、クリスマスの飾りみたいと騒いだりもするけど。「ね。これ、ツリーに飾れそう?」「におうだろ。」少し考えれば、俺は甘えすぎだったと気がつくべきだったのに、つい楽なほうへ流れ...

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新しいパパができました・10

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「柾。ちょっと・・・。」風呂上り、呼ばれて覗いた作業場で、俺は思わず見とれた。遮那王の水干姿のまま、澤田がロッキングチェアの上で眠っていた。「詩鶴くんって、ほんと綺麗よねぇ。このまま、ケースに入れて飾っておきたいくらい。」そこは否定できない。「ああ。やることは、時々抜けてるけど。」「ちょっとは、優しくしてあげてよ。この子、色々遭ったんだからさ。」「色々って何?」何があったんだろう。母ちゃんははっき...

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新しいパパができました・11

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しばらく何事も無く日々は過ぎ、母ちゃんの足のギブスが外れてしばらくしてから、家事から解放された澤田は当初の予定通り、学校に来ることになった。進路を決める大切な時期に、転校することになって大変だろうと思うけど、ちびの澤田は俺のお下がりの制服を着て編入してきた。朝、鏡に映った自分の姿を見ているのは、どこか一年生の入学式の朝の風景のようでちょっと笑えた。「変じゃない?ぼく、ちゃんとしてる?」「大丈夫。似...

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新しいパパができました・12

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日が暮れるのを待って、俺たちは周囲をうかがいながら家に帰った。「豚ばら肉の固まり、タイムバーゲン狙ってたのに、間に合わなかったなぁ。」脳天気なスーパーの情報を、詩鶴がぽつりとつぶやく。何か、違う話をしていないと、不安なんだろうか。不安な余り、視線が泳いでいるのが、手に取るようにわかる。「おなかすいちゃったね・・・。」つぶやいた言葉は、きっとごめんねの代わり・・・「ちょっとだけ、ここで待ってな。様子...

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新しいパパができました・13

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温かいお茶を飲んだら少し落ち着いたようで、泣くのをやめた詩鶴は、ちょっと困ったような泣き笑いの顔を向けてきた。「おなか、すいたね・・・。」腹なんて、すいていないくせに。でも俺は頷いて、詩鶴は冷凍庫から煮込みハンバーグを取り出して、電子レンジにかけた。「・・・どんだけ、作ったんだよ、ハンバーグ。」「三食毎日食べて、一週間はあるように作ったよ。」「あ。もしかすると、柾くん。飽きたとか言う?」詩鶴は泣き...

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新しいパパができました・14

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どこか悲しそうな詩鶴の話は、いきなり核心を突いて、手首の傷の話になるのだろうか。俺は覚悟を決めて向かい合うと、一つの皿の上にあるハンバーグをつついた。視線を合わせて詩鶴の顔をじっと見るには、ちょっと勇気が居る。詩鶴は・・・本当にそこに居る詩鶴は、小さくて心もとなくて、そのくせ儚げな表情で消え入りそうに微笑むから・・・母ちゃんの人形のようなけぶる眼差しを向けて、小首を傾げたら俺じゃなくても、誰だって...

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新しいパパができました・15

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白い病院内は、恐ろしく近代的で眩いくらいに清潔だった。広い待合室、受付などはまるでホテルのようだし、重々しい空気じゃないのが気持ちまで軽くさせる。だから、安心して受付の美人のお姉さんに聞けたんだ。「澤田詩鶴君に、会いたいのですが呼んでいただけますか?」瞬時に二人居た受付のお姉さんが見交わした顔がこわばり、ほんの少し口が開いて表情が呆けたようになった。「どちらさまでしょうか?」「津田柾といいます。」...

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新しいパパができました・16

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エレベーターは俺と白衣の男を吐き出し、特別室と書かれたプレートの向こうで何かを投げつけるような物音がしていた。ドアが厚いせいで、何を言っているかはわからなかったけど、きっと詩鶴の声だ。それは、直感だった。思わず手をかけたが内側からしっかりと鍵がかかっているようで、俺はがんがんとドアを叩いた。「詩鶴っ!」途端に、物音と人の声が消えた。「お父さん。入ります。」白衣の男が声をかけると手馴れた仕草で鍵を開...

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新しいパパができました・17

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さてと・・・と、振り返った若い医者の言葉に、詩鶴は身をすくめた。「君。津田くんと言ったっけ。聞きたいことがあるなら、聞いても良いよ。」残念ながら回りくどい性分じゃない俺は、真っ直ぐに言葉をぶつけた。「あいつは、何故詩鶴のことを違う名前で呼ぶんですか?」「・・・あいつは・・・すみません、伯父さんって人は、詩鶴に何をしてたんですか?」「後、あんた・・・あなたは、詩鶴の味方?それとも、敵ですか?」「やれ...

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新しいパパができました・18

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詩鶴の本当の父ちゃんは、ここにいる澤田天音の父ちゃんと同じやつで、でも戸籍上の父親はベッドにつながれて器械で息をしている男だった。きちんとした家庭を持ちながら、他の愛も欲しかった欲張りな伯父というやつ。全ての不幸は、あの男から始まったということなのか。でも、あいつがいなかったら詩鶴も存在しなかったわけで・・・その詩津さんという詩鶴の母親と、瓜二つなのがきっと詩鶴の不幸だった。親に似ている不幸なんて...

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新しいパパができました・19

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真っ白に血の気の無い顔を向けて、詩鶴は今にも消え入りそうな風情で立ち尽くしていたらしい。母ちゃんが手のひらに固く握りこまれていたカッターナイフを取り上げたとき、詩鶴の体はぐらりと傾いて母ちゃんの胸に倒れこんできたんだそうだ。「誰・・・も、いない。いなくなってしまった・・・いなくなったほうが良いんだ、ぼくなんて・・・ぼくも逝く、連れて行って、おばあさまぁ・・・っ!」「わああぁ・・・っ・・・」かわいそ...

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新しいパパができました・20

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タクシーが滑り込んだ詩鶴の家は、一言で言うならまあ・・・高級和風旅館か料亭みたいな趣だ。母方の祖母と3年間ここで一緒に暮らしたわけではなく、当時詩鶴はここから少し離れたおばあさんの家に厄介になったらしい。「上がってください。掃除だけはお願いしてあるから。」人気のない家というのは、なぜこうもよそよそしいのだろう。ひやりと、硬質な空気が全身を包むような気がした。よそ者には、空気すらとげとげしい気がする...

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新しいパパができました・21

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しばしの静かな時間。俺はその時・・・庭の向こうに人影を見た。手招きをする長身の男、天音は、密かに俺だけを呼び口元に指を当てて内緒でという仕草をした。詩鶴の小さな頃の写真をデジカメで撮りまくっていた母ちゃんに、ちょっとその辺歩いてくると言って、俺は天音の元へと向かった。白衣を脱いだ澤田天音は、やはり父親に似ていて腺病質というのか、どこか人を寄せ付けない無機的な冷たさを持っている気がする。俺の理性が、...

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新しいパパができました・22

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俺をどんとその場に突き放すと、天音は庭を突っ切って去っていった。俺をにらみつけた顔がゆがみ、垂れた前髪から覗く目が辛そうだった。何故だか一瞬、天音が泣いているのかもしれないと思った。って、違うっ、泣きたいのは俺のほうだろっ。「うわぁあああああっ!!母ちゃん~~!!俺のファーストキスが~~~~!!」「キスくらいで、おたおたすんじゃないよ。まったく、情けない子だね~。減るもんじゃ無し。」「だって、母ち...

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新しいパパができました・23

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大切な思い出を語るように、詩鶴はおばあさんの話をした。「いくら母親がいないからって、普通の生活に必要なことを、あなたは何も知らないのねってすごく驚いてたよ。だって、ぼく、一人でご飯を炊いたこともなかったから。」「そういえば、オオアリクイのハンバーグ、笑えたね~。」「泣いてもいいの・・・?」「ごめん。冗談だって。」おばあさんと暮らした短い思い出話を、詩鶴は本当に嬉々として語った。和裁士として生計を立...

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新しいパパができました・24

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祖母が施設で命を終えたとき、途方にくれた詩鶴はカッターナイフを握り締めて死のうとしていた。「う・・・っ・・・」「柾くん?」「柾?」不意に俺は、そこで笑っている詩鶴がどうしようもなく愛おしくなってしまった。誰にでも愛される風貌を持ちながら、どうして詩鶴はこんなに愛情に恵まれていないんだろう。「泣いちゃだめ・・・だよ。」思わず手を伸ばして抱えた小さな詩鶴が、俺の腕の中で泣いた。もし、ここに母ちゃんが居...

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新しいパパができました・25

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詩鶴は、父親の病院へ行き別れを告げると言い始めた。このまま俺たちと一緒に暮らす覚悟を決めて、報告に帰ってきたのだという。問題は山積みなのだろうが、ともかく俺は泣いてばかりいるのではなく、腹を据えて自分で決めた詩鶴に感心していた。詩鶴は見た目の儚さと違って、意外にきちんと自分を持っているような気がする。「1人で行って来る。平気だから。」さすがに詩鶴を1人で虎穴に放り込む勇気はなかったので、口出ししない...

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新しいパパができました・26

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父親を荼毘に付した詩鶴は、小さな骨壷を抱き祖母の眠る公園墓地へ向かった。ほんの少しの骨をさらし袋に入れて、戒名を書いたプレートの下に埋める。いつか布が朽ちて、骨は自然に土に還る、そんな埋葬方法だった。俺の父ちゃんも眠る桜の下で、共に樹木葬にしてあげたいと言う。春になったら此処に座って、一緒に桜を見上げようね、と花のように詩鶴が笑う。本当はお母さんと一緒に埋葬してあげたいと、心から望んでいるだろうに...

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新しいパパができました・27

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その夜遅く、俺たちは家に帰ってきた。青い月明かりの中、薄い影を踏みながら家の前で小さく詩鶴が「ただいま」と呟いた。ドアノブを引く手が、ほんの少し躊躇っている。母ちゃんは人形の公募展で、なにやら賞を貰ったとかでどこかで祝杯をあげている途中ですごいテンションで電話をしてきた。「今日からここが、詩鶴の家だな。」そう言うと、嬉しそうな悲しそうな曖昧な表情を浮かべた。それはそうだろう。これまであったものを全て...

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新しいパパができました・28(★)

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控えめですがR―18です。少し加虐場面がありますので、苦手な方は回避してください。******************************「ぼくね、伯父さんのところにいたら、きっと心が壊れていたと思う。もうね、限界だったんだよ。」「亜由美さんに声をかけてもらって、柾くんに会えて本当に良かった。あのままだったら、きっとぼくは心の無い人形になってきっと生きながら死んでた。」詩鶴は一生懸命話をしようとし...

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新しいパパができました・29(★)

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控えめですがR―18です。少し加虐場面がありますので、苦手な方は回避してください。1度、ぷつりと突き入れてしまえば、温みを持って巻き込むように俺を迎える。無音の詩鶴に、何度も何度も腰を打ち付けえぐるように穿った。*****************************纏わりつく熱いぬるみに抜き差しする度、背筋を肌が泡立つほどの凄まじい快感が走り抜ける。初めてのセクスと、詩鶴の後ろの感触に俺は夢中にな...

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新しいパパができました・30

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その後、詩鶴はどうしても身体を洗いたいと言い、俺は忠実な家臣のように、詩鶴をそっと横抱きに抱き上げた。俗に言う「お姫さまだっこ」を詩鶴は嫌がったが、風呂場に行き着くまでに風邪を引きそうだった。「絶対に、覗いちゃだめだよ。」これは、風呂場での攻防。「何で?みんな見せてくれても、いいじゃないか。見たいよ。」ちょっと困ったように耳まで真っ赤になった詩鶴は、勇気を出して耳元に告げた。「柾くんが中に出しちゃ...

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