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Category: こんにちは、あかちゃん  1/1

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こんにちは、あかちゃん

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「初産ですから、陣痛間隔が15分になったら、病院に来てくださいね。」最後の定期健診で、かちんこちんに緊張してメモを取る手が震えていた。とうの妊婦は、とても落ち着いていたのに、付き添いはこの有様だ。ついにその日、(出産兆候のおしるし)が来て、産科の医師が言うとおり時間を計った。一分がすごく長い・・・気がする。時計と睨めっこして、ちょうど15分になったとき沙耶さんは人事のように「さ、時間だわ。」といって立...

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こんにちは、あかちゃん・2

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分娩室に一緒に入る申請をしていたので、ぼくは白衣を着て沙耶さんの手を握った。脂汗の浮いた額。途切れる事無く襲う、激しい腰の痛み。子宮の筋肉線維の収縮が、産道を通る赤ん坊を外の世界へと押し出してくれる。ぼくもこう見えても医師の端くれなので、一通りは産科医経験もあった。それでも、大切な沙耶さんが当事者となると、ぼくは客観的ではいられなかった。胎児心音が気になって分娩監視装置のグラフを必死に見つめるぼく...

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こんにちは、あかちゃん・3

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それは、感動の出産だった。新しい命に立ち会う喜びを、何に例えようかと思ったがそれはもう言葉では例えようがなかった。パパもぼくに似ているといって大喜びで、二人してうれし涙で抱き合うほどの幸せだった。タイから帰って来たばかりの、成瀬のおじさんは「みぃに、そっくりだ。」といって、こちらも感動の面持ちだった。成瀬のおじさんは、実はぼくの亡くなったママの恋人だったりする。もう、写真を見てもぴんと来ない、ぼく...

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こんにちは、あかちゃん・4

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ぼくは、どうやら余りできの良いパパではないらしい。どちらかと言うと、思い切り「役立たず」みたいだ。沙耶さんは、病院から帰ってきてしばらく横になってる方がいいからと言っても、とても横になんかなっていられないわ・・・と眉をひそめて呟いた。「きゃあ・・・洸ちゃんが、ミルク吐いたぁ!わ~・・・どうしよう。パパ、小児科っ、小児科の電話。」その横では、パパが受話器を握りしめ、ぼくは赤ん坊をその辺りにおいて電話...

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こんにちは、あかちゃん・5

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でも・・・と、言わなければならない。洸一が天使みたいだったのは、小学校3年生までだった。天使のテンちゃんじゃなくて、乱暴者のランちゃんに名前を変更しなければならなくなった。さすがに、ご近所の奥様方からの「天使」の称号も、いつしか返上されていた。「やっぱり、男の子ね。」そんな風な、噂が聞こえてきた。見た目は天使のイラストのように儚くて、誰もが驚くほど綺麗な少年だったけど、洸一の中身はぼくとはまるで違...

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こんにちは、あかちゃん・6

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ぐらぐらと視界が揺れた・・・洸一の前ではなるべく、男らしく、父親らしくしようと思ってがんばっては来たけれど、きっと無理がありすぎた。父親参観日にスーツでネクタイして行ったのに、今日はお父さんのご都合付かなかったんですね、と担任は笑顔を向けた。髪も思い切って、長めだけど切ったのに・・・。「あの。松原洸一の父親です。」「はっ・・・!?あ、あ~っ、すみませんっ!」いつもそんな風だった。ぼくは、時々、洸一...

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こんにちは、あかちゃん・7

洸一に理解できるかどうか心配だったけど、隠し事はしないで、できるだけきちんと伝えた。パパの中には、神さまの気まぐれのせいで、産まれたときから「オンナノコ」が住んでいる。手術すれば本当の「オンナノコ」になれたけど、パパは、どうしても君のパパでいたかったんだと正直に話した。パパはママが大好きで、ママもパパを愛していて、だから洸一が産まれたんだよというと、洸一は分かってると肯いた。「それで、パパは今も女の...

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