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Category: 贈り物ss(貢もの)  1/1

「一輪花・桔梗」

ぼくは、カーペットの上に散らばったお金を数えてため息をついた。「380円かぁ。」貯金箱を眺めて、呻っているのには理由がある。大好きなお隣のおにいちゃんのお引越しが、昨日済んだとママたちが言っていた。就職が決まって、独り立ちするのよと叔母さんが言ってた。ぼくには何も言ってくれなかったおにいちゃん。でも、詳しい住所も、叔母さんに聞いたから大丈夫。隣町だから、自転車で行ける。引越しのお祝いをしてあげたかっ...

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「三年目のしるし」

いつも、強引だった。であった頃から、勝手に次の約束を取り付けて、こちらの予定なんてお構いなし。少しずつ会話を重ねて知り合ってゆくうちに、本当はおまえに断られるのが怖かった・・・と、君はぽつりと呟いた。明るい瞳を快活に光らせて、たくさんの友人に囲まれている君が、ぼくにそんな風に言うのが不思議だった。勇気を振り絞って最初、「お友達になってください。」と告げたとき、ぼくをちらと見て、悪戯っぽくくすりと笑...

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無限の森の王子さま

キリ番リクエストss                 昔々、一人の美姫を奪い合い、西と東の隣り合った国同士、長い戦いが続いていた。大地は荒れ、人々は長い戦に疲れ果てていた時、北の国の魔法使いがやって来た。王子二人が同時に国を出て求愛すれば、南の姫はどちらかの王子を選び答えを出すだろうと告げた。二つの国では、第一王子が后を迎える年頃となり、どちらの国が姫を手に入れるのか、両方の国民たちは固唾をのんで...

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Resident of the miniature garden<箱庭の居住者>

初めてこの場所に連れてこられたとき、ぼくは足を踏み込むなり周囲に圧倒された。そこにいるのは、息をのむほど端整な人達ばかりだった。それぞれが美しい一輪花となり、華やかに個性を持って咲き誇っている、そんな気がした。彼らが佇む空間は、まるで天使が造った完璧な箱庭のように見えた。ぼくは跳ね上がった心臓の音が、周囲に聞こえるのではないかと心配しながら、周りを見渡し胸をきゅっと押さえた。広い部屋の中には英国風...

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お礼ss 夕暮れの色鉛筆

夕暮れの空の色が、一番好きだ。ぼくは色鉛筆を取り上げた。青く澄んだ空にたなびいた白い雲が、少しずつ薄桃色に染まってゆく。橙色のお日さまが、西の山に沈む直前に一際大きくなって別れを告げる。スケッチブックの中に、色鉛筆が走って、お日さまの欠片が散らばってゆく。「なあ、また描いてるのか?」「あ、うん。この時間の空の色が一番好きだから。」見せてと言って、スケッチブックを眺める一つ上の君の目はとても優しい。...

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獅子の背に花散る

このお話は、くっくさんの「小さな愛の芽吹き」一周年に寄せて書きました。「くっく」というお名前を入れたかったので、頑張った末に強引な話になりました。ブログにあげてくださっていますので、こちらにも上げておきます。瑞々しい感性でお書きになる、少年が素敵です。中でも、此花は先ごろkikyouさんとコラボされた「黒天使」のお話がとても好きです。陰間茶屋の立ち並ぶ芳町の片隅に、下級の娼館があり、暗いふとん部屋に薄い...

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