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Category: アンドロイドSⅤは挑発する  1/1

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アンドロイドSⅤは挑発する 【作品概要】

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「最愛アンドロイド」シリーズの続編です。登場人物紹介上田厚志(通称あっくん)(マルセル・ガシアンはヴィーナスと呼ぶ)幼いころはとてもみにくい子供だった。近所の高校生のお兄ちゃんの一言でがんばって綺麗に変身し、今は世界的に有名なデザイナー、マルセル・ガシアンの専属モデルをしている。ユニセクスモデルとして名をはせた美貌のあっくんだが、大人になった今もその時の高校生(秋月音羽)を妄信的に愛している。愛する...

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アンドロイドSⅤは挑発する 1

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世界中の耳目を集める、超絶美形のユニセクスモデルのATUSHIこと上田厚志は、最愛の恋人、秋月音羽と結ばれてアメリカで暮らしている。厚志は大好きな音羽の傍に居たいという幼い頃からの願いを叶えて、誰よりも幸せだった。秋月音羽は肝移植の権威でもあり、長い間肝臓の病気で闘病していた厚志の兄も助けてくれた。厚志のお腹には、兄への生体肝移植でできた手術跡、メルセデスベンツ・マークと呼ばれる大きな傷がある。生...

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アンドロイドSⅤは挑発する 2

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やがて、あっくんは、健気にもきりりと涙を拭いた。「……音羽が家政婦さんを頼みたいのなら、ぼくは反対しません」「そう?君がいいなら、ちょうど家政婦を雇うべきだと考えていたから、渡りに船でいいかなと思っていたんだ。兄貴に、電話しておくよ」「あっくんは、音羽に迷惑ばかりかけているから……止める権利がありません」「あっくん。権利だなんて……違うよ。僕は君に迷惑をかけられたなんて思ってない。まあ、時々は失敗はする...

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アンドロイドSⅤは挑発する 3

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視線が外されないので、あっくんは困ってしまった。「どうしよう、音羽。あっさり契約されてしまったみたい。胸に手を置いて、指紋と声紋の認証をするはずなんだけど」「そうだね。何か不具合かな」「音矢に連絡を取ることは可能?」音羽は既に、連絡を取っていた。「今、つながったんだけどね、一度契約を結んだアンドロイドは、研究所に持ち帰って初期設定に戻さなければいけないって言っている」「初期設定……って?」「まあ、簡...

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アンドロイドSⅤは挑発する 4

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翌日から、アンドロイドは家事を引き受け、音羽とあっくんは、玄関先で熱いキスを贈りあい、抱擁を交わすとそれぞれの仕事先へと向かった。音羽は勤務先の病院へ向かい、あっくんには、来年のカレンダーの撮影が入っていた。「わたしのヴィーナス」世界的デザイナー、マルセル・ガシアンはあっくんの事をそう呼んだ。「さあ。始めよう」マルセルの指示で、次々とポーズを決めるトップモデルのATUSHI(あっくん)は、薄絹だけ...

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アンドロイドSⅤは挑発する 5

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メイクを落としたあっくんの大きな荷物を、マルセル・ガシアンは自ら車に運んだ。「さあ、送ってゆくよ。わたしのヴィーナス。君のお手伝いロボットにも会ってみたい」「もう仕事はいいの?遠回りになるのに」「好奇心には勝てないよ」「まだ、あの子の作ったものを食べたことはないけれど、きっと何か作ってくれているはずだから、食べてゆく?」「嬉しいね。ロボットはどういう形?変身して戦闘形態になったりするのかい?」「ま...

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アンドロイドSⅤは挑発する 6

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アンドロイドの傍に寄ったあっくんは、まじまじと眺めた。「でもSV……ってコードで呼ぶのは、余りおしゃれじゃないよね、何か可愛い名前はないかなぁ。どうマルセル?」「では、ショーはどう?わたしの好きなショー・コスギのイニシャルなんだが」「ショー?」マルセル・ガシアンが身を乗り出してきた。「彼は単身米国に渡り、英語に堪能。武道を極め礼節を重んじる日本の忍者なんだ」「素敵。じゃあ、これから君の名前は、ショー...

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アンドロイドSⅤは挑発する 7

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清潔なテーブルクロスの中央にはライナーが敷かれ、センスの良いアレンジ花が飾られている。あっくんの作る料理(恐らく、見た目はほぼ生ごみ)とは、どう控えめに見ても雲泥の差なのは、誰の目にも明らかだ。マルセル・ガシアンにテーブルセッティングのセンスと、料理を手放しでほめられたアンドロイドのショーくんは、プログラムされているだけですと謙虚に微笑んだ。何でもできるアンドロイドは、万能すぎてほんの少し気に入ら...

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アンドロイドSⅤは挑発する 8

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そしてどこか誇らしげに、胸を張って答えた。「わたしはご主人様のものです。全てがご主人様のために作られています」「うん。そうだね。あっくんも同じことを言うよ。ぼくのすべては、君のものだよってね。君は、あっくんと二人で写った写真があったらどうする?」「二人の写真ですか?それでしたら、わたしは……大切に……とても大切にします」「そうだろう?写真立てが割れても、君はあっくんと二人の写真をごみ箱に捨てたかな?」...

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アンドロイドSⅤは挑発する 9

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風呂上がりのあっくんは、素肌に白いバスローブだけを身に着ける。家事はアンドロイドのショーくんがやってくれるので、ストレッチをして、仕事関係のメールの確認をしたら、他にすることはない。ゆっくりとモード雑誌を広げたり、バロック音楽をかけて本を読んだりする優雅な時間が好きだった。だが、長椅子に横たわった時、視界に入った景色が、いつもとどこか違うのに気づく。「……ショーくん。マルセルが贈ってくれた薔薇のブー...

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アンドロイドSⅤは挑発する 10

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「ご主人様なんて、呼ばないで。たまたま運よく起動しただけで、きちんとショーくんのご主人様になった覚えはないんだから。ぼくの気に障る事ばかりしているのに、どうしてそんな風に嬉し気に呼ぶの?」「……わたしはご主人様に喜んでいただきたいです。どうすればいいですか……?どうすれば、ご主人様に許してもらえるでしょう?」「どうしてもぼくの役に立ちたいのなら、泥棒が入らないように、表で番犬のように首輪でも着けて立っ...

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アンドロイドSⅤは挑発する 11

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気配に気づいた音羽が、薄く目を開けた時、あっくんはアンドロイドSVを力の限り揺さぶっていた。「出て行って!どうしてぼくのベッドにいるの?ショーくん!起きて!」「……あっくん。もう朝?どうしたの?」「音羽……なぜここに、ショーくんがいるの?」「ああ……朝早くに帰ってきたら、この子の様子がおかしかったんだよ」「……どういうこと?」「雨に打たれながら、玄関先に座り込んでいたんだ。シャットダウンができなくて、熱を...

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アンドロイドSⅤは挑発する 12

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残念ながら音羽は、相変わらずあっくんの一途な恋心に、ものすご~く疎い朴念仁なので、今一つ悲しみを理解できていない。あっくんの心は、今や嵐の海に浮かぶ木の葉の船のように、港を見失って危うく揺れ続けていた。「雨に濡れた子犬を温めるようにしたのかもしれないけれど、音羽はどれほどぼくが……音羽を大事に思っているか考えていない。ぼくたちのベッドに、アンドロイドが寝ているなんてあんまりだよ……許せない……」「あっく...

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アンドロイドSⅤは挑発する 13

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心がざわつくのは、きっと自分の良心がとがめているせい……とわかっていた。乱れた髪をかき上げながら、腫れた目を隠すように大きなサングラスをかけたあっくんは、約束の時間よりも数時間も早く到着して、マルセル・ガシアンを驚かせた。「わたしのヴィーナス。どうしたんだい?撮影機材も、まだ搬入されていない時間だよ。綺麗な蜂蜜色の髪にブローもしないで……何かあったのかい?」「マルセル……に逢いたかったの……え~ん……」「お...

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アンドロイドSⅤは挑発する 14

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仕事を終わらせたあっくんが、やっと帰宅した時、大学のロゴマークの入った大きな車が家の前に止まっていた。「音矢……?」アンドロイドの様子がおかしくなったと聞き、急ぎ音矢は訪れたらしい。「今頃、どうしたの……?何かあった?」「アンドロイドが故障したんだ」「え……ショーくんが……?壊れてしまったの?どうして?」「思いがけない結末だが、厚志は返品したがっていたそうだから、丁度良かったんじゃないか?音羽から引き取り...

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アンドロイドSⅤは挑発する 15

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音矢の話は、二人には思いがけないものだった。アンドロイドSⅤには、モデルとなった儚い少年の存在があったという。「まぁ、性格をコピーすると言っても、参考にする程度でオリジナルと同じになるわけはないんだよ。行動や思考をあらかじめ予測できるように調整しているから、今回は少しばかり人間らしい部分が色濃く出たという事なんだろうな。アシモフのロボット三原則を知っているだろう?アンドロイドが人と暮らしていくため...

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アンドロイドSⅤは挑発する 16

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数時間後。共に荷物を受け取りに来た研究員に撤収を命じると、音矢は早々と研究室に帰ると告げた。「世話になった。おかげで良いデータが取れたよ。以後の研究に活かせると思う」木箱に入ったアンドロイドは、再びしっかりと梱包されて去ろうとしていた。上蓋が閉じられ、しっかりと紐で荷造りをされていた。きっとこれが最後の別れになる……。「あっくん。お別れしないの?」「……音羽……」「兄さん。アンドロイドはどうなるんだ?」...

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アンドロイドSⅤは挑発する 17

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「いや!ショーくん!」「あっくん。落ち着いて」「ぼくが……ぼくがいけなかったの……何もわかっていなかった……ショーくんはぼくを見ていただけなのに……ぅわぁ~ん……」音羽の胸の中で、綺麗な顔をゆがめて取り乱したあっくんの心中も知らず、車は角を曲がった。車は静かに研究室へと向かっていた。車中では、研究員があっくんの噂をしている。「さすがにモデルというだけあって、綺麗な子でしたね、博士。泣いちゃって可哀想だった」...

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アンドロイドSⅤは挑発する 18【最終話】とあとがき

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「そうだったのか……。これまでこういう事がなかったから、失念していたよ。強制的にシャットダウンされた場合、通常の指紋認証と声紋認証と、一連の起動作業で回復されるんだった」「なんだ、それ……初歩的な設定じゃないか……自分で作ったくせに、そんなことも忘れていたのか?精密機械が聞いてあきれる。うちのパソコンと同じレベルだぞ」音羽は呆れ、音矢は居直った。「アンドロイドが壊れたからすぐに来てくれと、慌てふためいて...

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