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Category: 恋人たちの一番長い夜  1/1

隼と周二 恋人たちの一番長い夜 1

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松本は木本に頼まれ、木庭組管轄の店に変わりがないか確認に回っていた。ミカジメ料を取れる店はかなり減ってきているが、一応、これもシノギの出る彼等の大切な仕事の内だった。夜はメンズキャバクラの仕事もあるが、昼間も結構仕事は忙しい。「あれ、今のねんね?そんなわけないか」肩を抱かれて、抗うでもなく安ホテルの中に消えていった少年を、隼のような気がしたがまさかね~と一人ごちた。「メンズのアフターだな、きっと」...

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隼と周二 恋人たちの一番長い夜 2

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周二は一瞬隼に取りすがるようにし、そして後ずさった。様子を見るために剥かれた白い太腿に、紅い糸のような筋がつっと走る。「嘘だろ?なんだよ、これ……血……?」足に伝わって流れた液体には、血と周二のよく知る白いものが混濁していた。「周二坊ちゃん、ちょっといいですか」気道を確保して、木本が息を吹き込んだ。両手を組んで、心臓の辺りにとんと強く刺激を与えた。真っ白な顔で、固く眉をひそめて苦しげな表情のまま、隼は...

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隼と周二 恋人たちの一番長い夜 3

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救急車が来ても、周二は同乗しなかった。「何もできずに隼の側にいるより、俺は俺のすべき事をするから。おまえ、行ってくれ。松本」「……わかりました。何かありましたら、すぐに連絡入れます」今はぐったりと物言わぬ恋人を松本に託して、赤色灯は忙しなく大学病院へと走り、周二は気合を入れて両手で顔をぱんと張った。「ふんっ!!」そして、傍に居る木本に一言掛けた。「さ、行こうか」「どこへです?」「出し惜しみするなよ、木...

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隼と周二 恋人たちの一番長い夜 4

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強い西日は、遮光カーテンで薄日になっていた。ベッドの傍らで、長い指を組んで沢木はじっと最愛の息子の顔を見ていた。浅く息をするだけの青白い横顔に、遠い過去の痛ましい姿がかぶる。まだ学校に上がる前、自分に対する妄執を受けて隼は誘拐された。精神的に追い詰められた誘拐犯が、幼い隼に一体何をしたか……それは、隼の傍に居る周二にはまだ話せずにいた。長い病院暮らしの記憶は、昨日のことのように鮮明だった。リハビリが...

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隼と周二 恋人たちの一番長い夜 5

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周二は傍らの椅子に、崩れるように座り込んだ。やりきれなかった。恨み言も泣き言もないなんて……「その後、隼は長いこと苦しんだじゃないっすか。なのに何で、そんな……犯人を庇うようなこと、言うんだよ。俺、仇を討ってやるって決めたのに」「最初、聞いたときは俺もそう思った。警察も、今の地位もどうだっていい、やったやつを同じ目にあわせてやるつもりだった。そのことしか、考えられなかった」その場で拳銃で犯人を撃った後...

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隼と周二 恋人たちの長い夜 6(最終話)

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まんまと、木本と沢木の策にはまり、周二は犯罪者にならずにすんだ。こいつを誰が護るんだと言われて、上機嫌の周二は泣き喚いたことも忘れて、沢木に認めてもらったような気がしていた。「木本、悪かった。俺が、考えなしだった」素直に頭を下げる周二になんの悪びれた所もなかったが、木本は約束どおり、隼を襲った男を引きずってきた。「どうぞ。始末の方法はおっしゃってくだされば、こちらの方で片づけます.ミンチにかけて魚の...

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