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Category: Café アヴェク・トワで恋して  1/2

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【Café アヴェク・トワで恋して 】 始めます

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お久しぶり~ふでっす。(〃゚∇゚〃) 「Café アヴェク・トワへようこそ」の続編です。恋する松本と、パティシエ相良直のその後のお話です。お話しの方は正直言うと、まだ最後を書いている途中なのですが、着地点が決まっていますので連載開始することにいたしました。トラウマ持ちの直くんと、直を精一杯包み込もうとする松本の恋のお話です。松本は木庭組という水商売を家業に持つ、小さな組に属しています。ヤクザと言っても、地域...

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Café アヴェク・トワで恋して 1

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カフェが開店して以来、驚くほど売り上げは順調だった。荒木の作ったメニューは、老若男女問わず人気で、店長の松本は毎日上機嫌だ。「すげぇよなぁ、荒木。やっぱり決め手は味かな?」ちらりと松本を見た荒木の手は、せわしなく野菜を刻んでいる。「産直野菜のおかげっすよ。完熟の物が多いから、野菜の甘さが客にもわかるんだと思うんすよね。」「俺さ、茄子やトマトにこんな種類があるのさえ知らなかったぜ。」ふりふりと振って...

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Café アヴェク・トワで恋して 2

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同じ賄いを食べながら、松本と荒木は味のチェックをしている。余り濃くはない味付けが、野菜の味を引き出していた。「ちゃんとした飯を、そこそこの値段で食わせるのが受けたのかもしれねぇな。日替わりが20食限定ってのも、いいかもしれない。限定ってのに、皆弱からな。直……それは?」「食後のドリンクに付けた、苺大福です。」「うまそうだな……俺のは?」「ありますよ。後、今日は賄いにサーモンの南蛮漬けを作ってます。おい...

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Café アヴェク・トワで恋して 3

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結局、次の休みの日、店内には菓子用のショーケースが入ることになった。「スイーツの種類をいくつか用意できれば、尾上くんが言うように選ぶ楽しみもできるし。作るのは好きだから嬉しいです。」直は張り切っていた。「店としては助かるけど、直が無理しそうで心配だな。」「大丈夫です。すごく凝った物は無理だけど、大福とかは和洋どっちにもアレンジできるし、数を増やすのはそれほど大変じゃないから。あ、でも……厨房に入る時...

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Café アヴェク・トワで恋して 4

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頼みの荒木は視線を彷徨わせながら、いかにもとってつけたような棒読みで、話をした。「そうそう……熊ね……確か、えっと、灰色熊だったかな。とにかく、遊んでいるときに後ろの木陰からがばーっと熊に襲われて、それ以来、直は背後を取られるのが弱いと言うか……あれだ、ほら、とにかく直の背後に立つなってやつだ。」「あ~!それって、ゴルゴ13じゃない?」由美が話に割って入った。「ほら。俺の後に立つなって、デューク東郷の台...

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Café アヴェク・トワで恋して 5

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小さくため息をついた直に、松本が気が付いた。「どうした、直?」「何でもないです。みんな、優しいなって思って。」「そうだな。」「店長。……おれ、熊に襲われたことになったんですね?」熊に襲われたなどと、突拍子もないことを良く思いついたものだと思う。松本には、何の衒いもなかった。「ああ、あれな~。とっさに口から出ちまったんだよ。コモドオオトカゲに襲われた事にしたかったんだが、どこに住んでるかわからなかった...

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Café アヴェク・トワで恋して 6

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松本は不安げな直を引き寄せ、強く抱き込んだ。そうせずにはいられなかった。「直。どうしたんだ?」「店長……」「俺は直に、どうしてやればいいのかな。俺は馬鹿だから、直にとって何が正しいのかどうか、わからねぇんだよ。だがな、俺は直が可哀想だから抱いたんじゃない。抱いたのは俺が直を欲しいと思ったからだ。可愛くてどうしようもないから手を出したんだ。店を手伝ってもらう以上、俺が店長で直がスタッフになるわけだが、...

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Café アヴェク・トワで恋して 7

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二人、抱き合って、布団の中にいた。一つの卵の中で羽化を待つ二羽の雛のように、明方の透き通った時間の中、静かに互いの心臓の音を聞いていた。「直……?」返事の代わりに、両方の手が伸びて松本の首に巻き付いた。そのまま懐に深く抱き寄せて、体を入れ替える。「起きていたのか。疲れて眠ってしまったのかと思った。」心地よい疲れが、二人を包んでいた。横になっているだけで、すぐにまた、微睡が深くなりそうだ。細い顎に指を...

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Café アヴェク・トワで恋して 8

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直が眠ったのを見届けて、家に帰るはずの松本は、寝顔を見ながらそのまま寝込んでしまった。翌朝。短いアラームの音に飛び起きた松本は、慌てて服を着始めた。「うわっ。やべぇっ!着替えに帰る時間がない、直、悪いっ。すぐ出るから。駅前でタクシー拾うわ。」「あっ。待ってください。」「いや、いくらなんでも、このままじゃあかんだろう。せめて下着くらいは帰って替えないと、店に行けないからな。」「あの……ありますから。店...

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Café アヴェク・トワで恋して 9

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共働きの夫婦のように、caféアヴェク・トワに共に出勤した松本と直は、言葉を失った。カウンターの上に、大量の食材が乱雑に置かれていた。すでに荒木は、下準備に取り掛かっていたが、かなり不機嫌だった。「荒木。」「松本さん。これ見てください。」「どうしたんだ、これ。使えねぇのか?」広げられた食材の肉が変色している。「原因は?」「店に来たら、冷蔵庫の電源が落ちてたんすよ。しかも、ご丁寧に扉が開けられていたから...

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Café アヴェク・トワで恋して 10

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二人が調理に取り掛かったのを見ていた松本は、静かに電話を取り上げた。業務用の冷蔵庫のコンセントは、がっちりとしていて簡単に抜けるはずがない。荒木は口にしなかったが、その不機嫌さから意図的に抜かれたのを知っていると松本は理解していた。もしも、誰かが抜いたのだとしたら、それは店の営業妨害を狙ったのに違いない。考えたくはないが、鍵を直と荒木が持っている以上、普通に考えればどちらかの犯行になる。ありえない...

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Café アヴェク・トワで恋して 11

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尾上に責められている気がしていた。それでも、そういわれても仕方がないと直は思う。「……うん。何も気が付かなかったんだ。鍵をかけるときに、次からは電源もきちんと確認するようにするよ。尾上くんもみんなも心配かけてごめんね。」「直くんが悪いわけじゃないよ。誰にも迷惑なんてかけてないじゃない。荒木さんと二人で、朝早くから頑張ってたんでしょ。ご苦労さまだよ。」「ありがと、由美ちゃん。ボードにランチメニュー書い...

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Café アヴェク・トワで恋して 12

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その日はまるで、caféアヴェク・トワにとって厄日のようだった。ランチ時間が終わりに近づいたころ、妙な三人連れの男が来店した。「ランチ。」「おれも。」「同じものを、くれ。」既に12時を回り、限定20食を超えていた。客には丁重に断るしかない。後、二食分しかランチは用意できなかった。「お客さま。申し訳ございません。ランチは限定20食となっております。どなたかお一人さまは、こちらのセットメニューからお選びい...

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Café アヴェク・トワで恋して 13

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扉のあく音に、直は何気なく顔を向けた。「いらっしゃいま……あ、店長……」引きつっていた直の表情が、松本を見てわかりやすくふっと解けた。反して穏やかな表情だった松本の方が、一人の男が直の手を掴んでいるのを見て、ぴくりと眉根を寄せた。それでも、まだ物腰は丁寧だった。「……うちのスタッフが、なにか失礼なことを致しましたか?」松本が向けた鋭い視線に、男が思わず直の手を放す。僅かに赤くなっているのを目の端でとらえ...

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Café アヴェク・トワで恋して 14

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ぺたりと座り込むと、整髪剤で完璧に整えた頭を床に擦り付けて、彼らは深く謝罪した。「因縁つけて、申し訳ありませんでしたっ。」「許してくださいっ。」腰かけた松本は冷ややかな視線を向けた。何処かで見た光景だなぁと、呑気に考えたりしている。「増本はなんて言ったんだ?」「……許してもらえるまで、帰ってくるなと言われました。すみませんっ。増本さんのお知り合いだとは露ほども知らなかったんで。二度とこんなことはやり...

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Café アヴェク・トワで恋して 15

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松本は厨房に入ると、一人皿を片付けている尾上に声をかけた。「どうした?あっちで皆と一緒に賄い食わねぇのか?」「……いえ。……後でいただきます。」目線を合わせようとしない尾上の、視界にわざと入った松本は正面に立った。「尾上。いいか?一度は大目に見てやる。だが、そう何度も見逃せるほど、俺は大人じゃないからな。次はないと思え。」「……何の話ですか……?」「何の話か、言わなきゃならないか?」蒼白の尾上は、思わず後...

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Café アヴェク・トワで恋して 16

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尾上は事務室でしばらく泣いていたが、やがて顔を上げた。「荒木さん……冷蔵庫の……犯人、俺です。」ソムリエエプロンのポケットから、カチャリと鍵を取り出すと、尾上は静かにカウンターに置いた。「これ……勝手に作った合鍵です……」「そうか。俺も直もロッカーに鍵なぞ掛けないからな。仕事中に抜けて、ホームセンターで作ってきたのか。」「そうです。……直くんを困らせたくて……」「直を困らせたかった?……何だ、お前、松本さんが好...

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Café アヴェク・トワで恋して 17

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一方、松本は苛々と靴音を立てて、あてもなく歩いていた。店が開店して以来、うまくいってたと思っていた人間関係に、いつの間にかひびが入っていたのに気づけなかった自分に腹が立つ。気を付けていたつもりだったが、浮かれた自分が気付かぬうちに直だけを依怙贔屓して、尾上が不快に思う態度をとっていたのかもしれない。元々、無我夢中になると一つの事しか見えなくなるタイプだと、自覚している。だとしたら、罰せられるべきは...

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Café アヴェク・トワで恋して 18

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「マイセンのオルゴール人形みたいな女だな。……直のほうが美人だ。」松本の目前に置かれた小さな栗のケーキは、どこから手を付けていいのか迷うほど完成された形をしていた。直の作る素朴なケーキとは違い、一部の隙もない洗練されたケーキは、真っ白の皿の上に置かれた精緻な芸術品のように見える。こちらも上品な細工を施された銀の匙を片手に、どこから手を付けるべきか、松本は逡巡した。「……お客さま?何か御不審なことでもお...

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Café アヴェク・トワで恋して 19

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口の中でほぐれたケーキの欠片に、思わず松本はうなった。「……美味い。あんた、すげぇな。」「そうですか。ありがとうございます。おかげさまで小手先の技術だけは習得できているようです。」「俺は、ケーキの事はよくわからんが、うまいかどうかと聞かれたら、これまでに食ったケーキの中で一番うまい気がする。あんた、フランスなんかに行かねぇで、このままここでケーキを作ったほうがいいんじゃねぇか?店の客だって、悲しむだ...

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Café アヴェク・トワで恋して20

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おそらく、余計な話をせずに、もっと早くそうしたかったのだろうが、切り出すのに躊躇していたようだ。松本は少し冷めたコーヒーを、ゆっくりと口にした。「あの……相良は元気にしていますか?酷い目に遭わせてしまったので、ずっと気になっていました。渡仏前に心残りがあるとすれば、彼に謝れなかったことです。訪ねて謝るつもりが、結局は顔を見た途端血が上って、取り乱してしまいました。……その節は……お恥ずかしい姿をお見せし...

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Café アヴェク・トワで恋して21

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黒崎を目の前にしたら、きっと怒りがあふれるだろうと思っていた。下手すると殴りつけずにはおれないだろと思っていたのに、意外にも松本は静かに黒崎と会話をしていた。「惹かれていましたが……同時になんでもない顔をして、後を追ってくるのが怖かった。もしも相良が菓子ではなくて、違うものを追ってくれたら、どれだけ愛おしい存在になったかしれません。私は容赦なく相良のすべてを取り上げました。親との確執があって、家に帰...

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Café アヴェク・トワで恋して22

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ずっと脳裏の片隅にこびりついた、相良の痛々しい顔を忘れ去ることはできない。自分がどれほど酷い事をしてきたか、忘れるはずもない。だが、この男の傍にいれば、いつかきっと相良の傷が癒える日が来るのではないか、都合のよい確信にも似たそんな思いが浮かぶ。「あのさ、俺は今、螺旋を離れて店をやっているんだ。」「そうですか。螺旋にはいらっしゃらないんですね。……どういったお店ですか?」「カフェだよ。雇われ店長だ。」...

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Café アヴェク・トワで恋して23

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勝手に座ると、聞かれもしないことを、饒舌にしゃべり始めた。直は思い切り不愉快そうな顔をして、そっぽを向いている。「参ったわ~。尾上の事で、苛々しながら歩き回ってたら、疲れた上にのどが渇いてな。たまたま入ったら、そこが黒崎の店だったんだ。え~と、トンダトラブル……とかいう名前だったかな。」「……トゥジュール・アンサンブルです。」「ま、いいや。そのトラブルでな、たまたま黒崎に会ったわけよ。後、人形のような...

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Café アヴェク・トワで恋して24

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直は、にこにこと笑う松本の心中がわからず戸惑っていた。以前、アパートの玄関で初めて会った時には、黒崎を激しく面罵して追い返してくれた松本が今は別人のように、黒崎を肯定する。「……どうして……?おれがあいつをどれだけ嫌っているか、店長は知ってるのに?」「余りに美味かったんで、直に一口食わせてやりたかったんだ。」「欲しくない……」「あのな、ケーキには罪はないだろ?それにな、俺がこれまで食ったケーキの中で、こ...

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Café アヴェク・トワで恋して25

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泣きぬれた顔のまま、耳を疑った直はゆっくりと視線を巡らせた。「え……?」いそいそと直のデニムを下ろし、シャツのボタンを外してゆく松本に、直はあきれた。「しよ。」「そういう流れじゃないでしょう……?おれは今……あ……っ。」泣いてる直が可愛いのが悪いと、語彙の少ない言い訳が下肢の方から返ってくる。這い上がって来て、はだけたシャツの中に顔を埋めて、じっと何もない胸を舐めていた松本が、色を濃くしてぷくりと尖った小...

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Café アヴェク・トワで恋して26

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直に触れる松本の大きな手は優しい。シャワーを浴びた後の温かい手は、癒す力を持っているような気がする。直は松本の手にすりすりと頬を寄せた。「甘えん坊の直猫。」「にゃあ……。」「ここにおいで、直。」膝の間に座らされた直は、背後から抱きしめられていた。肩口に、ざらついた顎が当たる。「俺は直に、できない無理をさせようとしたんだな。悪かった。」そう言う松本が決して適当なことを思いついたのではないと、直は知って...

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Café アヴェク・トワで恋して27

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しばらく、ルセットを眺めていた直が、着替えを始めた。「直?」「店の厨房、借りていいですか?」「いいけど、もう遅い、明日にしないか?……と言っても、行くんだろ?」「はい。これを作ってみたいんです。」「黒崎のルセットを?」「だって……あの、ケーキに罪はないから。」自分と同じことを言う直に、松本は笑ってしまった。結局、直は、菓子を作る誘惑に負けてしまったようだ。*****月に追いかけられながら、二人は店に急...

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Café アヴェク・トワで恋して28

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いつもの時間に出てきた荒木も、すぐに食材の下準備に取り掛かった。尾上の事を、松本に話すつもりだったが、直がいるので仕方なく後回しにした。直のケーキは、パティシエの勉強をしてきただけあって、本格的な垢ぬけたもので、荒木は口にこそしなかったが流れるような手際を間近で見て驚いていた。松本に近寄ると密かに打ち明けた。「ちょっと、松本さん。」「ん?」「直はやっぱり、ケーキの道に進んだほうがいいんじゃないか?...

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Café アヴェク・トワで恋して29

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誰にも話したことはない。尾上は寂しい子供だった。物心ついた頃に両親が離婚し、尾上は母と、兄は父と暮らすことになった。「お兄ちゃあん……」家を出てゆくとき、振り返った小さな弟に、兄は手を振り返してはくれなかった。厳しい顔をして、何度も振り返る弟と、出てゆく母の背中を見つめるだけだった。家事の苦手な母の代わりに、幼稚園の弁当を詰め、お迎えに来てくれた優しい兄と、もう二度と会うことはできないと母が言う。「...

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